Beethoven ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61(原典版)
(クリスチャン・テツラフ(v)/ミヒャエル・ギーレン/南西ドイツ放送交響楽団)


am@do classics Cascade 02200 Beethoven 87枚全集より9枚目 Beethoven

ロマンス ト長調 作品40
ロマンス ヘ長調 作品50

ユージン・シェファー(v)/ピエール・ナラト/ベルギー・フェスティヴァル管弦楽団

ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61(原典版)

クリスチャン・テツラフ(v)/ミヒャエル・ギーレン/南西ドイツ放送交響楽団(1988年)

ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 WoO 5 (断章)

カール・ズスケ(v)/ハインツ・ボンガルツ/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

am@do classics Cascade 02200 Beethoven 87枚全集より9枚目

 Beeやん苦手と千度サイト上で繰り返しており、聴く機会は相対的に少ないが、世評人気No.1!先人への敬意は失っておりません。こうして、珍しい作品も取り揃えた「全集」も棚中常備、機会があれば拝聴しております。件の全集は3年ほど前?入手時より3倍くらいに値上がりしております。在庫あるだけマシか?音源は玉石混淆状態、まず作品を揃えるといった趣旨らしいが、一貫性には欠いております。例えば、弦楽四重奏曲はコダーイ弦楽四重奏団(NAXOS)にて揃えて欲しかったが(珍しい作品別として)いくつか他の団体のもの含まれます。ヴァイオリン・ソナタに於けるエミー・ヴェルヘイも同様(BRILLIANT全集では揃っている)、ピアノ協奏曲は(かつて)幻の名盤と噂された中島皇恵さんで全曲揃えて欲しかったが、2曲しか収録されない・・・

 けっこう(懐かしい)幽霊演奏家音源も多く含まれており、このロマンスを担当する「ベルギー・フェスティヴァル管弦楽団」もそのひとつ。Eugene Schaefferはいくつかネット上で検索可能だけれど、Pierre Narratoは寄せ集め音源ばかり、実在に自信ありません。

 閑話休題(それはさておき)、2曲のロマンスは珍しく上機嫌、優しいBeeやんの側面が表出されて、お気に入り作品なんです。(ヘ長調は数少ない実演経験〜チェロ・パート〜作品でもある/触れたくないない過去)これが音質も良好、ヴァイオリン、オケとも素直に、しっとり演奏して下さって、なかなかの出来。柔らかく、小ぶり親密なヴァイオリン、粛々と甘美な音色にて歌って下さいました。オケも小編成で充分美しいアンサンブル。木管など極上の音色であります。

 メインはヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61(原典版)でして、これは(既に消えた)INTERCORD録音?ピアノ協奏曲では第2番にエリザベート・レオンスカヤ音源が起用され、もともとこのテツラフ音源と一緒にCD化されておりました。音源借用の際、セットだったんじゃないか。「原典版」というのはワタシ如きド・シロウトには悩ましいものでして、曰く”いつもと違うフレーズが聞こえてきます。三連符が4つになっていたり音階になっていたり大きな違いはないものの、「あれ、なんか違うな」と気づくところがいくつも出てきます。展開部ではオクターブの違うところがあります。カデンツァはベートーヴェンのピアノ版からのアレンジ”とのこと(ネットより勝手に引用)。カデンツァはピアノ協奏曲版用に(作曲者自ら)作ったティンパニを伴うもので、既にシュナイダーハンとかクレーメルにて拝聴しておりました。これは「原典版」とは無関係と思うんだけれど・・・

 冒頭より速めのテンポ、すっきり素っ気ない歩みで開始されるのは、いつものギーレン節。おそらくテツラフ22歳のデビュー録音であって、淡々と表情も変えずクール怜悧、知的な佇まい表現は世代なのでしょう。纏綿と表情豊か、情熱の魂宿る!的前世代の方向とは異なる世界であります。技巧の冴えはもちろん、細部ニュアンスの配慮は充分であり、仕上げも、流れも見事なんです。南西ドイツ放響も分厚い浪漫を旨とする響きじゃないので、粛々としたテイストに溢れて、全体的に軽快モダーンなサウンドに仕上がりました。

 テツラフは2005年に再録音していて(未聴)、例の如し、そのユーザーレビューが興味深い。ほとんど大絶賛の中、ひとりだけ「旋律の流れが単調で硬く、この曲の哀愁が表現できていない感じ」コメント有〜なるほどなぁ、この旧録音と同一方向の演奏だとしたら(やや)納得。哀愁を旨としておりませんから。稀代の名曲故、太古SP時代より往年の名演奏が揃うじゃないですか、その辺りの価値観に馴染んでいると許せない世界に至るのかも。

 静謐を感じる第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」に至ると淡々とした風情が、むしろ作品個性にいっそう相応しく感じます。旋律はけっして粘らない。さらさらと流れ、もたれない。終楽章「ロンド・アレグロ」に於ける弾むような軽快リズム感、ノリは晴れ晴れしい表情。ここ最近聴いた中では出色の鮮度でした。

 ハ長調 WoO 5 (断章)は作品そのものが珍しく、それだけで聴く価値有。カール・ズスケも独逸正統の名人ながら、ボンガルツ(1894-1978)/ゲヴァントハウスのサウンドが前曲と違い過ぎ。寄せ集めCDの哀しさは、あまりにサウンド、音質が違って組み合わされること(CD一枚に現代楽器、古楽器の演奏が組み合わされたものを聴いたこと有/ピッチが違うんです)。旧東独逸ETERNA音源にはかなり旧態な、分厚く重いサウンドに驚かされます。作品そのものは端正で、思わぬ健康的かつ可憐な旋律を堪能させて下さいました。

 カール・ズスケのヴァイオリンは、後輩若手クリスチャン・テツラフとは桁違いの余裕と表情豊かで、しかも、(やはり)センスはモダーンに感じました。約9分。ときどき流れが途切れる感じ、そしてラスト突然終わってしまうのはいかにも残念。

(2011年8月14日)

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written by wabisuke hayashi