Beethoven 交響曲第2/7番(シューリヒト/パリ音楽院管弦楽団)Beethoven
交響曲第2番ニ長調 作品36(1958年録音) シューリヒト/パリ音楽院管弦楽団 EMI CZS7 62910 2 5枚組 購入価格失念〜おそらく4,000円弱 Beeやんアレルギーのワタシではありますが、シューリヒトだったら聴きたい。有名な録音だし、このCDも1990年頃には購入していたはず。ま、文句を言えばキリがなくて、何故クリュイタンスがベルリン・フィルと録音して、シューリヒトがパリ音楽院なのか、逆でしょ?とか、録音年代のワリに音質がイマイチだなぁ、とか。 「第1・3・4楽章は、弾むようにリズムにのって演奏しなくちゃいけなんですよ。Mozart やHaydnがそうでしょう。まずリズム。中後期の曲みたいに『重厚』じゃいけない。冒頭からそうとうノリノリでしたし、最終楽章の勢いがとても良かった。(スケルツォは、もう少し元気があってもよかったけれど) 第2楽章の旋律の魅力に目覚めました。最初、弦だけで始まりますが、これが練り上げられたハーモニーで極めつけ。ナマじゃないと発見できない美しさでした。」〜これ、2000年7月の岡大響サマーコンサートで、交響曲第2番に目覚めたときのワタシの感想です。 オーケストラのコシが軽量で明るすぎるし、録音のせいか響きも少々濁りました。奥行きだって、全然足りない。でも、第1楽章からノリノリで溌剌、怒濤の勢いが止まらない。快速第3楽章の推進力はかつてないもので、これはもう優雅なメヌエットじゃなくて、スケルツォの世界に入ったことの証明なんです。この人の演奏には、いつも飄々とした即興性がありました。 終楽章は、一歩一歩確かめるような着実な歩みが感じられて、リズム感に曖昧さは一切なし。でも粘らない、威圧感はないが、表情はキリリと厳しい。第2楽章は、岡大響ナマとは別の魅力を発見しました。この楽章も、リズム感豊かなんです。テンションの高さ、繊細な味わい、どこをとっても魅力たっぷりでした。
お次は最近、避けて通りがちの元気いっぱい第7番です。スッキリ・サラリとして、押しつけがましくない表情はいつも通り。フルートを始めとする木管群がとても美しく歌います。第2番に比べるとやや慎重な姿勢ながら、キレのあるリズム感がじょじょに熱を帯びる第1楽章。音の悪さ、ものともせず。 こども時代、あんなに愛していた第2楽章アレグレット〜あれはコンヴィチュニーだったか、クリュイタンスだったか〜現在のワタシなら、淡々と、むしろ素っ気ない演奏が好ましい。シューリヒトこそ理想・・・イン・テンポであり、余計な思い入れも過多にならず、一見ラフなようだけれど、じつは相当のニュアンスが〜あまりよろしくない録音状態の中から〜ちゃんと聞こえてきます。 スケルツォは肩の力が抜けていて、思わずカラダが左右に揺れるような楽しさ。金管の絶叫が気持ちの良いこと。終楽章は、冒頭をしっかり、明快に初めて、少しずつテンションを上げていく、じつは名人芸。それに免じて、オーケストラの奥行きの足りないのは許します。たっぷり興奮させてくれました。 パリ音楽院管との相性は悪くない。でも、無い物ねだりながらドイツ・オーストリアの歴史ある団体との共演なら、もっと中低音に厚みがあって、シューリヒトの即興性がいっそう生きるはず、と想像できます。モノラルなのは仕方がないが、劣悪EMIの録音というのも残念。 同じ曲の組み合わせで、シェルヘン盤がありました。あれはどうしようもなく滅茶苦茶なバランスで、しかも滅茶苦茶に楽しかった。クリップスの極上の上品さ、色気も素晴らしい。音楽はいろいろな個性が存在するのが楽しいんです。Beeやんを楽しんだのは、ずいぶんと久々でした。(2001年9月14日)
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