Mozart 音楽の冗談 K.522(グイド・カンテッリ)/
嬉遊曲第14番 変ホ長調K.270(デニス・ブレイン)/
嬉遊曲第2番ニ長調K.131(トマス・ビーチャム)


MEISTERKONZERTE100枚組 Mozart 音楽の冗談 K.522「村の音楽家の六重奏曲」

グイド・カンテッリ/フィルハーモニア管弦楽団/デニス・ブレイン、ニール・サンダース(hr)/マヌーグ・パリキアン(v)(1955年)

嬉遊曲第14番 変ホ長調K.270

デニス・ブレイン(hr)/レナード・ブレイン(ob)/ガレス・モリス(fl)/スティーヴン・ウォーターズ(cl)/セシル・ジェームズ(fg)(1957年)

嬉遊曲第2番ニ長調K.131

トマス・ビーチャム/ロイヤル・フィル・ソロイスツ/デニス・ブレイン(hr)(1947/48年)

MEISTERKONZERTE100枚組より50枚目

 「協奏曲100枚組」なのに、この一枚には協奏曲含まれず、見ての通りデニス・ブレインの活躍を集めたもの。いずれ英EMI録音からの復刻でしょう。少なくとも前2作品はステレオ録音、ラストK.131は現在発売されているビーチャムのCDより以前の旧録音が存在するらしい(Dutton/CDLX7037)。「音楽の冗談」はEMI CZS568217 2(正規盤)でも所有していて、ほんのちょっぴり音の鮮度が落ちる・・・ような気がする。

 その「音楽の冗談」K.522が凄い。我らがヴォルフガングの音楽を軽んじているわけではないが、誰のでもエエんちゃうか、そんな態度でこの作品に接してきました。こちらカンテッリの指揮が素晴らしい!颯爽としてきりりと引き締まったリズムとアンサンブル、優雅だけれど清潔な歌に溢れて惚れ惚れいたします。「村の音楽家」は素晴らしく深い音色のホルンで(豪快に)音を外すんです。名手パキリアンのヴァイオリン・ソロは上手すぎ、じょじょに崩れて、技術的に破綻して、ピツィカートで誤魔化す!ワザは使えなかったのか。あまりの美しさに惚れ惚れしちゃうじゃないですか。この演奏の趣旨はどちらが正しいのか。

 嬉遊曲、セレナード辺りはワタシの守備範囲でして、けっこう数多く聴いているはず〜でも、K.270ってほんの10分ほどの作品だけど、こんなに素敵な、軽快に躍動する音楽でしたっけ?技術的に優れているとか、そんなことは前提にして、華やか。そして(親密なる作品には相応しくない称揚表現ながら)スケールが大きく、ヴィヴィッドな躍動に溢れるんです。当時のザ・フィルハーモニアには名手が揃っておりました。別にブレインが突出するわけでもなく、むしろモリスの(この人、木製フルートでしたっけ?)暖かい明るい音色が印象に残りました。

 ラストK.131は、驚くほど良好な音質でして、ビーチャムは例の如く瑞々しくも優雅、豊かなアンサンブルを聴かせて下さいます。何故か?第5楽章「メヌエット・トリオ」が嬉遊曲第15番 変ホ長調K.287第3楽章「メヌエット」になっていて、油断すると違和感なく聴き過ごしてしまう・・・オリジナルは冒頭からホルンの掛け合いが大活躍なんですけどね。作風的にはよりシンプル。編集上のミスかなと思ったら、ビーチャムが意図的にやったらしい。ブレイン(もう一人のホルンは誰?)ともども太く、力強い響きを聴かせて下さいました。終楽章はホルン大活躍ですよね。もちろん、フルートも弦も充分美しいが。終楽章標記が「Adagio」のみとなっているけれど、実際は「Adagio - Allegro molto - Allegro assai」でちゃんとラスト迄収録されております。

(2011年3月25日)


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written by wabisuke hayashi