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バッハクライス神戸 第4回定期演奏会
(神戸市東灘区民センターうはらホール)
2009年5月2日(土) 16:00開演〜1,000円
Bach
カンタータ第192番「いざもろびと、神に感謝せよ!」
カンタータ第78番「イエス、汝わが魂を」
カンタータ第133番「われは汝にありて喜び」
カンタータ第70番「目を覚まして祈れ!」
李 善銘/バッハクライス神戸(合唱/管弦楽)/頃安利秀(t)/今泉仁志(b)
ちょうど一年ぶりの再会となります。李さんのお母様のお姿を舞台上に拝見できなかったことが少々心配です。それ以外は前年とまったく同じ深い感銘+凄い勉強となりました。現代楽器だけれど、器楽、合唱とも高水準のアンサンブルであって、コンマス氏のソロの見事さ、通奏低音の充実(チェロのソロ、コントラバス+ファゴットの安定、オルガンの暖かい響き)、時に声楽ソロに絡む木管の味わい深さ・・・声楽ソロ男声はプロの応援を仰いだけれど(一部テナーのレシタティーボは団員であった/お見事!)、女声ソロは全員団員が担当して,楚々として初々しい味わいも悪くない。
演奏は上記に尽きてタップリ堪能させていただいたけれど、パンフレットの解説がありきたりではなくて、読み応えタップリ!持ち帰って同じ作品を再聴したいくらい。まず、李さんの「最近思うこと」・・・彼は学生時代からカンタータを研究され40有余年、リリングのバッハ・アカデミーにも参加しているし、自ら団体を主催したり、日本古楽器の黎明期よりその主たるメンバーとして活躍された方です。バロック演奏スタイルの激変はちょうどワタシがこどもの頃から現代に至る時期と軌を一にして、あっという間に全世界古楽器が席巻して、まるで現代楽器は”アナクロ”であるかように思われている現状。
「古楽器=正しい姿=作曲当時の姿」〜これで良いのか、神髄はもっと他のところにあるのではないか、との主張です。その通り!今や、テクニック的には洗練された古楽器アンサンブルは日常となりました。ワタシは古楽器派だけれど、現代楽器で演奏したバロックでも素敵な演奏を知っておりますよ。ましてや、現代の会場音響を考えると古楽器がすべてとは考えられない・・・そのひとつの答えが本日の演奏会でした。
あとはパンフレットの受け売り。カンタータ第192番「いざもろびと、神に感謝せよ!」〜大Bach の死後、その遺産である作品の楽譜は散逸しております。カンタータの楽譜を相続したのは長男のウィリアム・フリーデマンだけれど、総領の甚六は生活苦から売り払っちゃったんですね。幸いこの作品はパート譜で発見されたが、テナーのパートが欠落したとのこと。演奏機会用途も不明らしい。
カンタータ第78番「イエス、汝わが魂を」は、表現のパターン(figure/フィグール/現代のフィギュアと同じ用語)を持っていた,という解説有。第1曲はバス・パートが一定のパターンを繰り返す3/4拍子、これが有名な「シャコンヌ」であります。次は「逡巡」(女声に重唱は清楚ですよ)、「叫び」、「キクロシス Cyclosis」(これはサイクルのことじゃないか)、「Suspiratio ため息」(これはElgarの「ソスピーリ」でしょう。こんなところにルーツがあったのか)。ラスト、オーケストラ付きの独唱、あるガン演奏、少年合唱、参列者全員の合唱で解散パターン〜これは現代のライプツィヒ・トーマス教会日曜礼拝で継続されているスタイルなんだそうです。
カンタータ第133番「われは汝にありて喜び」・・・これ明るく、喜ばしくて大好き。器楽中心の第1曲であって、途中途中に合唱が挟まります。弦楽のパッセージはいかにもイタリア風協奏曲を連想させることから、散逸した協奏曲が原曲かも、ということで、本日はコンマス氏が途中からソロになっておりました。お見事!
ラスト、カンタータ第70番「目を覚まして祈れ!」・・・けっこう大がかりな2部からなる作品で、トランペットが登場するとぐっとスケールが広がります。合唱の皆様はほんま楽しそうに、幸せそうに歌っておりましたよ。会場は昨年同様満員でした。 (2010年5月2日)
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