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贅沢三昧

シベリウスを例に


 不況、不況といわれながら、なんとか妻子は養っていけるのは幸せなことです。「LP一枚が月給の1/10だった」時代は本でしか読んだことはありません。世の中が(ま、親の世代から比べると)豊かになり、音楽を楽しむのに、そう大きな経済的負担は必要なくなりました。ありがたみが薄れた、みたいな論議は「貧乏礼賛」で好きじゃありません。チャップリンだって、彼の自伝の中でそんなことを言っていたはず。

 で、つくづく自分で贅沢だなぁ、と思っていることをシベリウスを例に挙げて振り返ってみましょう。ま、思い出話しと現状です。

 中学生の時に、音楽室にあった交響曲第2番/フィンランディア(カラヤン/PO〜ステレオ録音)をはじめて聴きました。(担任が音楽の先生だったので、音楽室を私物化していた)一発で気に入って、いまでも欲しい録音ながら何故か買う機会を得ず。その頃テレビで見た、ハイティンク(おそらくLPO)の演奏にも感心した記憶もあります。

 時は流れ、社会人になったワタシは中古LPを必死に集めておりました。(その数延べ3000枚〜夢のまた夢)件の第2番は、セル/コンセルヘボウ(PHILIPS)を購入。これがどうもイメージと違う。で、モントゥー/LSO(LONDON)でどうだっ、とばかりに購入したら大当たり。大自然の中で深呼吸するようなスケール大きな演奏に満足。ただし、ちょっと「暖かい」(緑豊かな)シベリウスなんです。

 最近見かけないが、カラヤン・コンクールで優勝したばかりのカム/ベルリン・フィル(DG)のも買いました。これは、まだまだ未整理で重いオーケストラに悪戦苦闘しているようで面白かった。第1番も買いましたよ。オーケストラはフィンランド放響だったかな。(DG)嫌いな演奏ではありませんでしたが、オーケストラの技量が落ちるようで気になりました。で、買ったのがストコフキー/ナショナル・フィル(CBS)で、これがけっこう雰囲気があって良い演奏でした。(この辺り、なかなかCDで手に入りにくい)

 ここまで来ると全集がほしくなる。マゼール/ウィーン・フィルで、4・5・6・7番を買ったはず。(DECCA)これはもの凄く人工的で、意欲的でアクの強い演奏でした。「3番がない」と、探しているうちにみつけたのが、ロジェストヴェンスキー/モスクワ放響の全集。(メロディア)たしか、5枚組で2500円くらいだったはずで、やや骨太ながら荒涼とした雰囲気があって満足。(いまでも見つけたら手に入れたい)

 LPだけでも充分「贅沢三昧」状態。全集での欠番を探すうちに、別全集を買ってしまう病気はいまだに治らない。で、LPは1992年にきれいサッパリ売り払って、CDに乗り換えました。以下、CD編は現在も含めて最近のお話しです。

 エコーインダストリーの海賊盤(第1期)で、カラヤン/ベルリン・フィルの4・5・6・7番を買いました。(@1,000)細部までカラヤン臭が充満した、極上に美しい厚化粧的演奏。完成度は高いが、これはシベリウスではない。セルの第2番は、なつかしくて買ったけれどLP時代と評価変わらず。(アンサンブルの充実度はさすが)マゼールの5・6・7番も再購入したが、熱っぽい異端の演奏ぶりに意外と感動。(中古で600円)横に並んでいた第1・3番を翌週買いに行ったら売れておりました。(残念)

 リーパー/スロヴァキア・フィルの全集(NAXOS)は、安かった(3000円台だったはず)ので購入しました。ずいぶん地味で田舎臭いサウンドながら、そのうち味わいを感じるように。ベルグルンド/ボーンマス響の1・5番(EMI)を中古で見つけて驚愕、「これぞシベリウス」とおおいに納得。海賊盤(FIC)で定評あるバルビローリ/ハレ管の5・7番を手に入れ、思わず膝を叩いたのはわりと最近です。バルビローリ/NYPOの第2番(DUTTON。900円)は、テンションの高さとオーケストラの実力に脱帽。(これが第2番では一番感動したかも)

 ベルグルンド/ボーンマス響の全集(ディスキー・コミュニケーション)を安く見つけたので買いに行ったら、たまたま品切れで、ヘルシンキ・フィルの全集(EMI。2枚*2。計3000円程度)を購入、仰け反りそうな研ぎ澄まされかた。

 バルビローリの全集も格安で出ていて、気になる存在。オーマンディのはもっと安く出ないものか、プレートル/NPOのRCA録音はどこにいった?バーンスタイン/NYPOのがなんとか安くならないか。LP時代持っていた演奏はすべてCDで揃えたい・・・・・・・・・てな、かんじのCD購入事情ですが、たまたまシベリウスのみ抜き出しました。(ほか、マーラー、Brucknerなど腐るほど似たようなストーリーは存在する)

 こんなことしていても、廉価盤ばかりなので金額は知れているし、博打(パチンコも)は一切しないし、ゴルフとも縁がないし、フツウの暮らしはしているつもり。でもやっぱり「贅沢三昧」。


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written by wabisuke hayashi