Wagner 楽劇「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲(C.クライバー1976年)/
歌劇「タンホイザー」序曲(カラヤン1987年)/
楽劇「ヴァルキューレ」第1幕への前奏曲/ヴァルキューレの騎行(ショルティ1983年)/
ジークフリート牧歌(ラインスドルフ1975年)/
楽劇「神々の黄昏」〜「葬送行進曲」(ベーム1966年)


LIVECLASSICS LCB130 Wagner

楽劇「トリスタンとイゾルデ」第1幕への前奏曲

カルロス・クライバー/バイロイト音楽祭(1976年ライヴ)

歌劇「タンホイザー」序曲

ヘルベルト・カラヤン/ベルリン・フィル(1987年ライヴ)

楽劇「ヴァルキューレ」第1幕への前奏曲/ヴァルキューレの騎行

ジョージ・ショルティ/バイロイト音楽祭(1983年ライヴ)

ジークフリート牧歌

エーリヒ・ラインスドルフ/バイエルン放送交響楽団(1975年ライヴ)

楽劇「神々の黄昏」〜「葬送行進曲」

カール・ベーム/バイロイト音楽祭(1966年ライヴ)

LIVECLASSICS LCB130 2枚目

 1990年代中盤、駅売海賊盤余波の熱醒めやらぬ頃、LIVECLASSICS怪しげライヴ音源大量に出回りました。内容まさに玉石混交、中には偽装音源?もあったようで、一方でほんまに貴重なるもの、後に正規ライセンス発売されたものも含みます。いずれ、ポイントは音質でして、この2枚組(LCB130)はほどよく良心的(例外的でしょう)。かつては一度聴いて即処分したCDもありました。ずいぶんと集めた記憶もあるが、6年ほど掛けてこのシリーズも徐々に処分、これは売れ残ったものです。わかっていないなぁ、CDの価値(負け惜しみ)2枚組500円にしたのに。

 子供の頃、ジョージ・セルの管弦楽にてWagnerに目覚め、似非金満中年に至って全曲を拝聴するようになったら、「管弦楽ぶった切り寄せ集め」は聴く機会が減りました。なんか隔靴掻痒的印象なのだね、閑話休題(それはさておき)

 カルロス・クライバーの「トリスタン」は1980/82年ドレスデン録音が著名、この作品にてバイロイト・デビューは1974年、「トリスタン」は十八番だったのでしょう。音質良好。弦の洗練された響き、木管の華やかな音色、金管の深み、入念を極めたアンサンブルとセクシーなニュアンス。揺れ動く情感と深い呼吸、圧巻の昂揚を迎えるアッチェランド!せっかくだから「愛の死」も収録して欲しかったところ。

 カラヤンの「タンホイザー」は比較的新しい録音(ほとんど晩年)なのに、少々音質は落ちます。ブート・レグかな?鑑賞に差し支える水準に非ず。表記を信じれば1987年12月30日、または12月31日のベルリン・ライヴ、もしかして1987年8月15日ザルツブルク音楽祭ライヴ、とすればオーケストラはウィーン・フィル!聴き手の耳が問われますよ。語り口の上手さ、流麗スムース・ゴージャスな表現はいつものカラヤンながら、(音質印象か)オーケストラのサウンドはさほどに華やかではありません。端正なるアンサンブル、厚みも充分、ベルリン・フィルだと思うんだけどなぁ・・・

 1983年バイロイトの「リング」に登場したショルティ。全曲ネットにて拝聴可能です(自分は数時間パソコンにらめっこする習慣はないけれど)。ブリュンヒルデはヒルデガルト・ベーレンス(s)、音質も鮮明だけれど、当時71歳ショルティの精力威力テンションが並じゃない。先のクライバーを思い出すと、こちら先鋭なるサウンド、本拠地シカゴから大挙動員を掛けたの?訝るほどショルティの音になっております。ベーレンスのドラマティックな声も文句なし。

 じつはこのCDを中古屋で見つけた時(2005年東京)、お目当てはラインスドルフの「ジークフリート牧歌」でした。これも音質良好。18分だからテンポは中庸?やや速めか。さらりと流れの良い演奏であり、クーベリック時代のバイエルン放響は柔らかく、暖かくも深いサウンドであります。オーケストラのアンサンブルはほとんどライヴとは思えぬ完成度。この人は素っ気ないとか、冷たいとか、そんな評価もあるけれど、あまり色気とか飾りを付けず、オーケストラの個性を活かした演奏に仕上がっていると感じました。

 ラスト、カール・ベームの「黄昏」って、著名なるPHILIPS音源と同じ(または同時期)でしょうか。音質良好。日本で愛された往年の巨匠は、晩年の録音を聴く限り響きも集中力も散漫に感じました。この録音時点72歳、まだ気力充実しております。クライバー、ショルティと聴き続けて、中低音豊か、深い奥行きを感じさせるのは会場の特性なのでしょうか。あとは指揮者の個性であって、カッコ良いクライバー、ハイ・テンションなるショルティとも異なる、ちょっと垢抜けない節回し、アンサンブルも少々甘いかな。

(2012年8月17日)


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written by wabisuke hayashi