Wagner 歌劇「ローエングリン」より/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より
(レオポルド・ルートヴィヒ/ハンブルク州立歌劇場管弦楽団)


Ducretet-Thomson  DTL 93054 Wagner

歌劇「ローエングリン」〜第1幕への前奏曲、第3幕への前奏曲
婚礼の合唱(心を込めて先導いたします)、「はるかな国へ」

ワルター・ガイスラー(t)

楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」〜第1幕への前奏曲、第3幕への前奏曲
「どこも迷いだ!」ジェームズ・ピース(br)/「朝はバラ色に輝いて(懸賞の歌)」ワルター・ガイスラー(t)

レオポルド・ルートヴィヒ/ハンブルク州立歌劇場管弦楽団/合唱団(1955年)

Ducretet-Thomson DTL 93054 ネットより入手音源

・・・モノラルLPのリッピングながら、かなり音質は良好。もの凄く雰囲気たっぷり、繊細であり、厚みがあり、ちょっぴり重苦しくも、劇場の雰囲気ぷんぷん漂います。有名な「婚礼の合唱」は神聖な静謐に充ち、二人の男声ソロにはちょっと大時代大仰な表情が素敵です。神々しい「ローエングリン」第1幕への前奏曲、溌剌とした第3幕への叫び・・・「マイスタージンガー」前奏曲は堂々、勇壮、そしてちょっと田舎臭い熱気に溢れて、久々Wagnerの魅力を堪能いたしました。ワルター・ガイスラー(t)の「はるかな国へ」〜あれって第1楽章の静謐なる前奏曲旋律に乗って歌う〜いちどそれを聴いてしまうと前奏曲(管弦楽)のみじゃどーも物足りない、勝手なことを感じておりました。(2012年9月「音楽日誌」より)
 ネットより入手先ではこの音源は既に削除されたおりました。当時はこんな地味目な音源も真面目に自主CD化して、喜んで聴いていたものです。レオポルト・ルートヴィヒ(Leopold Ludwig, 1908-1979)は往年のオペラ指揮者、主に独逸にて活躍、Mahler の交響曲第9番ニ長調(1959年?)なんて史上初のステレオ録音もありました(LP時代所有していたけれど、記憶なし)。歌い手もきっとWagner歌いなんでしょう。上記、以前にコメントしたことに尽きるけれど、こんな”聴きどころ”でお勉強して、全曲拝聴へと進むのも悪くないでしょう。モノラルだけど、かなり鮮明、分離の良い音質でした。

 白鳥の騎士の物語である「ローエングリン」第1幕への前奏曲は静謐に神々しく、夢見るよう。華々しくも輝かしい第3幕への前奏曲は金管が躍動します。そのまま「婚礼の合唱」は敬虔そのものの女声合唱であります。「はるかな国へ」とは有名な「名乗りの歌」(In fernem Land, unnahbar euren Schritten, liegt eine Burg)であって、エルザが禁を破って騎士の素性を尋ねたため、自分の素性を告げて別れがやってくる場面。うわぁ、これっていかにも往年のWagner歌い!とド・シロウトが納得するような”大きく”勇壮朗々とした歌い方ですね。

 冒頭第1幕の静謐な前奏曲を伴奏に決然として、それが合唱に受けと止められる全曲中の白眉であります。わずか4曲分だけどエエとこ選りすぐってまっせ。

 さて、いかにも独逸!スケール大きな「マイスタージンガー」第1幕への前奏曲始まりました。やや遅めのテンポ、噛みしめるような足取りがカッコ良い!旧き佳き時代を感じさせ、ハンブルクの歌劇場オーケストラは理想的な厚み+ニュアンス豊かな微妙なテンポのタメも快いもの。曖昧な雰囲気の半音階旋律に非ず、決然とキレのよい全音階、古典的なソナタ形式はまるで交響曲風の偉容を誇って、ラスト矢を思いっきり引き絞ったようなタメが圧巻の決まり方!ルートヴィヒおみごと・・・だけど、優しい合唱が続いて本編が始まらぬのはなんとも残念無念。

 第3幕前奏曲は「ザックスの諦念の動機」後、ホルンの重奏がドキドキするほど深いもの。ザックスによる「迷いだ、迷いだ!どこも迷いだ!」(Wahn! Wahn! Uberall Wahn!)その沈思黙考は第3幕前奏曲の風情がそのまま続きます。ジェームズ・ピース(br)って誰か知らんけど、カッコ良いですねぇ、色気ある重厚な職人ですねぇ。

 「朝はバラ色に輝いて(懸賞の歌)」ワルター・ガイスラー(t)は美声ですね。女性に人気ありそう。ここに第1幕前奏曲の勇壮な旋律が回帰するのですね。その感銘たるや感極まって筆舌に尽くしがたいもの。ここ白眉。

 これって全曲録音したんでしょうか。それともエエとこどり?永遠の初心者には充分手応えとお勉強になりました。ちょいと収録少ないけど。

(2016年1月24日)

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written by wabisuke hayashi