Vivaldi リコーダーを含む室内協奏曲集(ラースロー・ケチケメティ(rec)ほか)


NAXOS 8.557215 Vivaldi

リコーダー、オーボエとファゴットと通奏低音と通奏低音のための協奏曲ト短調 RV 103
リコーダー、ヴァイオリンとチェロと通奏低音のための協奏曲ニ長調 RV92
リコーダー、オーボエ、ヴァイオリン、ファゴットと通奏低音のための協奏曲ト短調 RV105
リコーダー、オーボエ、ヴァイオリン、ファゴットと通奏低音のための協奏曲ニ長調 RV94
リコーダー、2本のヴァイオリンと通奏低音のための協奏曲イ短調 RV108
リコーダー、オーボエ、2本のヴァイオリン、チェロと通奏低音のための協奏曲ハ長調 RV87
リコーダー、オーボエ、ヴァイオリン、ファゴットと通奏低音のための協奏曲ト長調 RV101

ラースロー・ケチケメティ - Laszlo Kecskemeti (rec)/ラースロー・ハダディ - Laszlo Hadady (ob)/アッティラ・ファルヴィ - Attila Falvay (v)/カタリーン・パルカニ - Katalin Parkanyi(v)/ジェルジ・オラヨシュ - Gyorgy Olajos (fg)/ジョルジ・ケルテス - Gyorgy Kertesz (vc)/ボルバーラ・ドボジ - Borbala Dobozy (cem)

NAXOS 8.557215 2003年録音

 クラシック音楽は保ちがよろしくて4-50年前の鮮明な音質+往年の名演奏を現役にて拝聴可能です。古今東西古(いにしえ)の名曲を、多種多彩、種々演奏にて堪能可能、経済的負担も少なくなりました・・・ここに落とし穴有。ともすれば似たような作品(評価の定まった著名なもの)ばかり聴くことになりがち、知らず狭い範囲に閉じこもっているかも、と自戒します。若くて貧しかった頃、知名度よりなにより、まず作品を幅広く知ること第1、そんな姿勢を基本に音楽を聴いてまいりました。Vivaldiだったら「四季」(作品8/1-4)+αのみというのもツマらない、表題はあまり付いていない作品8/5-12も充分愉しいし、作品番号なし、知名度のない膨大な作品だって、けっこう愉しめるもの。

 この一枚も偶然発見、震えるほど感動した!みたいなことはないけど、心安らかにシンプルなサウンド、作品風情を堪能いたしました。ブダペスト録音だから、演奏者もハンガリー系乃至ご当地で活躍する演奏者なのでしょう。現在隆盛を誇る古楽器でもなし、知名度はないけど腕利きばかり、比較的新しい鮮明な音質、新しい音楽との素敵な出会いを間違いなく保証してくださいます。協奏曲といっても「室内協奏曲」、ほとんど各パート対等な室内楽風、表題は「リコーダー協奏曲集」となっていて、たしかにその活躍は目立ちました。屈託のない、いつもの明るいVivaldiが躍動しております。この辺りの系統的品揃えはいかにもNAXOSらしい、立派・・・エラソーな上から目線で書いてみても、作品成立経緯、音楽史的な知識皆無なので、ひたすら流れてきた音楽を愉しむのみ。以下、録音の関係?チェンバロはあまり聴こえません。

 概ね陰→陽といった作品の収録順、雰囲気の変化メリハリを配慮しているのでしょう。しかし、どれも”どこかで聴いたような・・・”旋律ばかり。ま、Vivaldiってどれも似たようなもの、愉しさも同じ。第2楽章「Largo」はしっとりしたリコーダー・ソロ中心、といったパターン。典型的伊太利亜風緩急緩協奏曲ほぼ10分の作品連続。協奏曲ニ長調 RV94第2楽章「Largo」って「冬」(作品8/4)クリソツ。

   ト短調 RV 103はほの暗い下降旋律が躍動する「Allegro」から始まって、しっとりとして落ち着いて哀しげな「Largo」(Bach ブランデンブルク協奏曲第2番第2楽章を連想)、溌剌としてやや陰影のある終楽章「Allegro」・・・シンプルに語ってしまったら、どれも同じじゃないか。リコーダーとオーボエは対等、ファゴット(通奏低音)の活躍が印象的な作品でしょう。ニ長調 RV92はチェロ(通奏低音)が印象的なリコーダー協奏曲、オーボエからヴァイオリンに色付けは変わって、これも長調になっているけど意外と陰影があって、厭きさせぬ躍動旋律続きます。第2楽章「Larghetto」はゆったりとした付点のリズムが加わりました。

 ト短調 RV105にはオーボエが復帰して+ヴァイオリン、つまり先の2作品の編成合体して、気持ちスケールも大きく感じます。ファゴットは通奏低音以上の大きな存在を示して快速パッセージ、この辺りになると合奏協奏曲の姿はわかりやすくて、リコーダーを中心として合計3種のソロ+ファゴットが多彩であります。第2楽章「Largo」はリコーダーとファゴットのみ、シンプル端正なもの。終楽章「Allegro molto」は全員参加、三拍子の優雅な、ちょっぴり哀愁漂う締めであります。ニ長調 RV94は同じ編成、曲調は思いっきり明るく、弾むようなテイスト。ここに例の「冬」クリソツ「Largo」登場、但しソロはリコーダーであり、ヴァイオリンが控えめなオブリガート、通奏低音はファゴットとなって、姿はちょっぴり異なります。

 イ短調 RV108にはオーボエとファゴットが抜け、ヴァイオリンは2本となります。通奏低音はチェロ、弦中心の伴奏にリコーダーが際立つ第1楽章「Allegro」は、ちょっぴり暗い曲想であります。第2楽章「Largo」は「lamentazione」(哀歌)と呼びたいくらい、しっとりとた落ち着いた風情であり、リコーダーが纏綿と歌いました。終楽章は疾走する哀しみ、といったところ。ハ長調 RV87にはオーボエ復活、第1楽章に序奏ちょっぴり有、ユーモラスな細かいパッセージ連続はいかにも超絶技巧であります。通奏低音担当はチェロ継続、第2楽章「Largo」の寂しげなリコーダー・ソロ絶品、ようやくチェンバロの活躍(ちょっぴり)聴かれます。終楽章「Allegro assai」も演奏ムツかしそうな旋律連続。(RV87ってイ短調表記になっていることも有/出足いかにもハ長調やけど)

 ラスト7曲目、協奏曲ト長調 RV101。響きに賑々しさが加わります。屈託のないユニゾン伴奏に乗って、リコーダーは自在に歌って、ファゴットの通奏低音が色付けします。ファゴットの存在って大きいですね。ここでは合奏協奏曲に非ず、ほとんどリーコーダー・ソロ協奏曲として伴奏と分かれている感じ。作品スケールはかなり大きめ、それも9:41、長さはあまり変わらない。ここのところ第2楽章「Largo」はリコーダー+通奏低音といったシンプル・パターンが多かったけれど、ここではオーボエやヴァイオリンも加わって色彩有、終楽章「Allegro」が牧歌的な味わい。この作品は、ほかとはちょっと個性が違いました。

(2014年7月27日)


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written by wabisuke hayashi