Vivaldi 複数の独奏楽器による協奏曲集
(フェデリコ・マリア・サルデッリ/モード・アンティクォ)


TC672206 Vivaldi

複数の楽器による協奏曲集
合奏協奏曲ニ長調 RV.562a 「聖ロレンツォの祝日のために」(ヴァイオリン、2本のオーボエと2本のホルンのための)
協奏曲ト短調 RV.576 (ヴァイオリン、リコーダー、オーボエ、ファゴットのための)
室内協奏曲ニ短調 RV.566(2本のリーコーダー、2本のオーボエ、ファゴット、2台のヴァイオリンのための)
協奏曲ヘ長調 RV.538(2本のホルンのための)
協奏曲ヘ長調 RV.569(ヴァイオリン、2本のオーボエ、ファゴットと2本のホルンのための)

フェデリコ・マリア・サルデッリ/モード・アンティクォ

Tactus TC672206 1995年

 Antonio Vivaldi(1678ー1741伊太利亜)の器楽作品は膨大、売れ筋の「四季」含む「和声とインベンションへの試み」作品8、著名な「調和の霊感」作品3先頭に、ま、似たようなと云えばそんな感じの(ステキな)作品はゴロゴロ、これもお勉強と愉しみとしていろいろ作品を聴いてみましょう。なんとなく弦楽器の協奏曲中心なイメージだけど、実際は管楽器ソロの色彩豊かな作品もけっこうあるみたい。Federico Maria Sardelli(1963-伊太利亜)はもともとフルート奏者らしくて、ModoAntiquoは彼が創立した古楽器団体なんだそう。初耳でした。どれも弦は控えめな線の細い響き。

 合奏協奏曲ニ長調 RV.562a は第1楽章「Allegro」から賑やかなリズム、ホルンに重ねてティンパニがアクセントしてますよね。よく歌うヴァイオリンの超絶技巧にオーボエの色彩が愉しい。第2楽章「Grave」は「冬」の終楽章出足に似た静かなささやき、ヴァイオリンのソロは「冬」第2楽章の温かい旋律に似ております。ここは管楽器お休み。第3楽章「Allegro」はそっとオーボエが忍び足で様子を見て、一気にホルンとティンパニが闊達なリズムに堂々と突入、線の細いヴィオリン・ソロが晴れやかに技巧を披露します。5:25-3:11-4:00。

 協奏曲ト短調 RV.576は弦楽の伴奏を伴わない協奏曲。通奏低音はファゴット(+リュート?テオルボ?)が担当しているようです。第1楽章「Allegro」はリズミカルなヴァイオリンの哀愁の旋律に、リコーダーとオーボエが緊張感のある合いの手を添えております。第2楽章「Largehetto」は管楽器の切々とした掛け合いが美しいもの。ファゴットの低音が有機的、ここはヴァイオリンが休み。第3楽章「Allegro」はヴァイオリンが復活して、管楽器と切迫して絡み合います。ここでヴァイオリンは細かい音形に技巧を駆使して、オーボエが切々と旋律をつなぎました。これもかなりの技巧を要求されそうなところ。緊張感ある追い込みはいつものVivaldiのパターンでしょう。4:20-2:12-4:06。

 室内協奏曲ニ短調 RV.566は第1楽章「Allegro assai」は切迫する開始。2台のヴァイオリンの快速パッセージに、管楽器が緊張感を増しております。第2楽章「Largo」は2本のリコーダーによるシンプルな旋律にファゴットが低音を支えて、他のパートはお休み。シンプルに寂しげなところ。第3楽章「Allegro」はすべての楽器が復活して、速めのテンポに短調の旋律が色彩華やかに続きました。ここもヴァイオリンの闊達なソロが見せ場でしょう。2:44-1:51-2:42。

 協奏曲ヘ長調 RV.538はホルンが主役の協奏曲。第1楽章「Allegro」はいきなりのホルン2本の絡み合いが牧歌的に華やかな開始。ナチュラル・ホルンっていかにも難しそう。第2楽章「Largo」はチェロによる詠嘆の歌が切々、疲れたホルンにお休みをいただく趣向なのでしょう。ここだけ独立させてチェロ作品として成り立つ完成度。第3楽章「Allegro」はホルンの晴れやか、華やかな掛け合いに、ファゴットが意外としっかり下を支えて活躍しております。朗々たるホルンの響きは快感であります。3:24-4:33-2:45。

 協奏曲ヘ長調 RV.569第1楽章「Allegro」は朗々たるホルンを先頭に管楽器が絡んで、スケール大きな出足。オーボエもヴァイオリンも順繰りに見せ場はたっぷり、ファゴットの扱いが最後迄ようわからない(通奏低音としても目立たない。リュートは?は聴こえる)。第2楽章「Grave」は静かに泣けるヴァイオリン・ソロ。管楽器はお休み。第3楽章「Allegro」はまるで狩りの始まりのようなホルンのファンファーレから、明るい表情に弦もオーボエも参入いたしました。途中チェロのソロも入って、ウキウキするような晴れやかなフィナーレにヴァイオリンの技巧も冴えました。4:54-2:28-4:54。

(2022年2月12日)

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written by wabisuke hayashi