Tchaikovsky 交響曲第4番ヘ短調 作品36
(ヘルベルト・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団1953年)


この写真はWarner 2564633620 Tchaikovsky

交響曲第4番ヘ短調 作品36(1953年)
バレエ組曲「くるみ割り人形」(1952年)

ヘルベルト・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団

ネットより音源拝借(.mp3と記憶)/自主CD(写真はWarner 2564633620)

 20年前阪神大震災時、大阪に居住して救援活動の拠点でした。自分が直接被災したワケじゃないけど、彼(か)の経験は自分の人生観というか、んなエラそうなもんじゃなくてリアルに”まず生命(いのち)あってこそ”〜現在の物欲減退の大元を作ったと自覚しております。昨夜そんなことを思い出しつつ、ネットに溢れ出るフリー音源より作成する自主CDの整理をしておりました。2015年に入って2週間ほど、ぼちぼち6-7年目に至って溜まり過ぎた自主CDの(本格的)整理に入っております。(既に”貯まり”といった意味合いに非ず)CDもかなり在庫整理は進んで、必要に応じてデータから音楽拝聴する日々。所有する意味合いを徐々に感じなくなりつつあります。

 この作品をカラヤンは得意として、セッションだけでも4-5回ほど?ほとんど話題にならぬ最初の録音がこれでしょう。その後の録音は”聴いたことがある”程度。6年程前?パブリック・ドメイン音源からCDRに焼き込むのが楽しくて仕方がなかった頃のもの。EMIがステレオ録音導入直前の時期、この音源は広がりを人工的に付加、やや低音不足以外かなり良好、聴きやすい音質であります。冒頭のホルンは彼(か)のデニス・ブレインが参加している由。猫に小判なワタシにはそーでっか、程度の知識に過ぎぬけれど。

 第1楽章「Andante sostenuto - Moderato con anima - Moderato assai, quasi Andante - Allegro vivo」序奏、ホルンとファゴットによる「運命のファンファーレ」はこの作品を支配して、終楽章にも再登場して締め括ります。ネット上断片的な情報によると、圧巻の響きを求めてカラヤンや団員はいろいろとテストをしたらしい。ボリュームを上げて、その意気込み、豪快、輝かしい厚みを愉しみましょう。カラヤン45歳壮年の精力熱気溢れ、語り口の上手さは既に顕著、細部入念な(イヤらしいほどの)描き込みに、オーケストラの明るい、清潔な響きが切れ味鋭く響きます。流麗だけどレガート奏法はさほどに非ず。トランペットの迫力もテンション高く、聴き手を興奮の渦に叩き込んで、作品のイメージある重苦しさ、暗鬱さとは別種の感銘がありました。露西亜風泥臭さとは縁のない、颯爽としたカッコよさ、勢い充分。

 第2楽章「Andantino in modo di canzona - Piu mosso」この主題はいかにもTchaikovskyらしい、哀愁漂う歌謡的名旋律でしょう。弦の歌は予想よりさっぱりサラリとして、陰影深い粘着質に非ず(アンサンブルの揃い方は尋常に非ず)。第1楽章は金管大活躍、ここでは木管が浮き立つように暖かく(やはり)清潔に存在感を主張しました。後半に登場する途方に暮れたファゴットはテンポを落として、効果的印象的であります。上手いオーケストラやな。

 第3楽章「Scherzo: Pizzicato ostinato. Allegro - Meno mosso」ここは誰でも知っているピチカートの饗宴!慌てず着実なリズムを感じさせ、中間部(トリオ)は木管の華やか、切れ味ある響き、存在感〜金管も参入して、弦のピチカートに回帰します。テンポ設定の適切さ、流れの良さ、アンサンブルの精度はプロなら当たり前?ま、ムラヴィンスキー先頭に凄いのが世間には揃っておりますから。ま、ここ中間2楽章は力まずサラリと流して〜

 第4楽章「Finale: Allegro con fuoco」実演ではアタッカで突入していただきたい大爆発!久々に登場したぴかぴかのトランペット、打楽器群もやがて苦悩と安寧を繰り返して(この辺りの対比の上手いこと)テンションの高さ、カッコ良さ、明るい響きに圧倒されるアツい響き。第1楽章「運命のファンファーレ」回帰して、フィナーレに向けてのテンポの落とし方、一気にテンポアップして輝かしい金管炸裂!疾走!オーケストラは清潔を失わぬ情熱のサウンドであります。こんな都会的なTchaikovskyも良いじゃないの。

 フィル・アップは時間を見計らって適当に入れたもの。カラヤンは需要に応えたのか?三大バレエ抜粋をオーケストラを替えて3度ほど録音してるのですね。この辺り、フルトヴェングラー辺り、前世代との姿勢の違いか。これも疑似ステレオ、音質は悪くありません。(ネットから拾った.mp3音源でも)メルヘンな雰囲気、アンサンブルのテンションの高さ、明るく歯切れのよいオーケストラの響きに文句はありません。

(2015年1月17日)


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written by wabisuke hayashi