Strings by Starlight
(フェリックス・スラットキン/ハリウッド・ボウル交響楽団)


Capital P 8444 Borodin

弦楽四重奏曲第2番ニ長調 第3楽章 「Nocturne」

Bach

管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068より第2楽章「Air」

Tchaikovsky

弦楽セレナーデ ハ長調 作品48より第2楽章「Waltz」

Grainger

ロンドン・デリー・エア

Tchaikovsky

弦楽四重奏曲第1番ニ長調より第2楽章「Andante Cantabile」

Barber

弦楽四重奏曲第1番 ロ短調 作品11より第2楽章「Adagio」

フェリックス・スラットキン/ハリウッド・ボウル交響楽団

米Capital P 8444  (p)1958 LPよりネット音源(ステレオ)

 いつものノンビリとした日曜、朝歯を磨いたら左奥歯上のかぶせがぽろりと・・・あわててティッシュで包んで日曜営業の歯科医へ〜取れたものをさくっと入れてくっつけて終わり・・・とはならない。部分的に欠けたから取れたのであって、もう一度当該部分を清掃して(麻酔もして)型を取り直して完成は一週間後。ナント二時間も掛かってすっかり疲れてしまいました・・・挙句、出先で中華料理を昼食に摂ったら妙に不味い。

 蒸し暑い熱気もあってすっかり気分は萎えました。Beeやんも硬派な20世紀音楽も聴けぬ精神的状態に。左奥歯上は仮入れですし。例の如しDVDに保存した音源データ「歴史的音源」ぼんやり内容確認していたら、こんな音源出てきました。不快な湿度+歯の状態にこんな気軽な音楽くらいしか聴けない・・・LP音源モロだから針を盤面に落とす微妙なノイズからノスタルジー、Felix Slatkin(1915-1963)は著名なレナードの父親、著名なヴァイオリニストであり指揮者でもありました。ハリウッド辺りで活躍して、米Capitalにけっこう優秀な音質で録音を残してくださいました。

 瑞々しくもたっぷり甘い魅惑のストリングス!上手いもんでっせ。ここ最近、ちょっとムツかしい心情で音楽に接していたかも。こんな馴染みの旋律ばかり聴くのも悪くないでしょ。音楽の時間に「ロシア五人組」って習ったけれど、セザール・キュイ(Cesar Cui。たしかリーダー格?)ってほとんど聴いたことないっすよ。Alexander Borodin(1833-1887)はこの「夜想曲」が最大のヒット曲、眠くなるような陶酔。「ダッタン人の踊りと合唱」も素敵だったなぁ、どれも一種ワン・パターンのオリエンタルな節回しがなんとも泣ける旋律であります。

 次は弦楽名曲の定番「G線上のアリア」。小学生時代に初めてこの作品と出会って「なんてロマンティックな美しさ」と感銘を受けたものです。長じて古楽器を聴いたらびっくり!

リズムを強調せず、ソロ・ヴァイオリン(というか、第1ヴァイオリンが一人なんでしょう)の自由な装飾音前面の素敵な楽章に仕上がっておりました
 ほとんど別な音楽でっせ。刷り込みだから、朗々と荘厳なリズムを刻むこちらに馴染みがありました。

 Tchaikovskyの弦楽セレナーデも名曲中名曲。第1楽章「Andante non troppo - Allegro Moderato」が堂々と立派な押出しで開始、つぎの「Moderato」はちょっと息抜き、ほっとするような優しさ溢れました。(以下B面=死語)「ロンドンデリーの歌」(Londonderry Air)は誰でも知っている旋律、愛蘭土の泣ける、懐かしい名曲であります。ここで再びTchaikovsky登場、これも音楽室で習った音楽でしたっけ。露西亜の懐かしい民謡風旋律をたっぷり「歩く速さで歌うように」・・・LP時代「夜想曲」と「アンダンテ・カンタービレ」が聴きたくてBorodin 弦楽四重奏曲第2番ニ長調とTchaikovsky 弦楽四重奏曲第1番ニ長調 両面LP(ドロルツ弦楽四重奏団)を購入したものです。他の楽章も全部素敵、甘美な旋律に溢れておりました。

 Barberの「アダージョ」は彼最大のヒット曲でしょう。哀切な情感に充ちて胸を締め付ける・・・葬式やら葬送に似つかわしいけれど、作曲者はそれを苦々しく思っていたそう。ところが彼の葬式にはこの「アダージョ」が流れたらしい。

(2017年7月2日)

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written by wabisuke hayashi