Stravinsky ヴァイオリン協奏曲ニ長調/イタリア組曲他
(トーマス・アルベルトゥス・イルンベルガー(v)/
ドロン・ザロモン/ウィーン放送交響楽団)


GRAM99204 Stravinsky

ヴァイオリン協奏曲ニ長調
イタリア組曲(ヴァイオリンとピアノ編)
バレエ音楽「ペトルーシュカ」よりロシアの踊り(ヴァイオリンとピアノ編)
歌劇「マヴラ」より「ロシアの娘の歌」(ヴァイオリンとピアノ編)
協奏的二重奏曲

Rimski-Korsakov

ロシアの主題による協奏的幻想曲 ロ短調

トーマス・アルベルトゥス・イルンベルガー(v)/パヴェル・カシュパル(p)/ドロン・ザロモン/ウィーン放送交響楽団

Gramola GRAM99204 2018-19年録音

 Thomas Albertus Irnberger(1985-)はかなりの録音を既にリリースしているけれど、詳細情報を探せません。独墺系の若手でしょうか。線は細すぎず、端正によく歌う美しい音色と充分な技巧を誇ってかなり骨太。神経質に過ぎず、Stravinskyはいつになくわかりやすく優しく、ヒステリックに鋭く響きません。ヴァイオリン協奏曲は各楽章冒頭の破壊的なソロに驚いて、そのあとは意外と牧歌的な旋律が続く愉しい作品。ヴァイオリンの超絶技巧は余裕でクリアされました。第1楽章「Toccata」(5:44)第2楽章「Aria」(4:21-6:40)第3楽章「Capriccio」(6:07)音質は極上。

 「プルチネルラ」の旋律を使って擬バロック的に優雅な「イタリア組曲」は晦渋さの欠片もない晴れやかな名曲。優しく悠々としたヴァイオリンは技巧を前面に感じさせず、文句なく懐かしく、あまりテンポを急がずたっぷり歌うもの。Introduzione(2:10)/Serenata(3:25)/Tarantella(2:14)/Gavotte con due variazioni(3:30)/Scherzino(1:28)/Menuetto e Finale(4:23)馴染みの「ペトルーシュカ」より「ロシアの踊り」はクセのある技巧を要求される難曲らしくて、この賑やかに華やかなリズムはピアノ・ソロで有名でしょう。明晰に、ていねいに細部描き込んでおりました。(2:54)歌劇「マヴラ」は全曲聴いてみて、歯が立たぬほど難解?だったけれど「ロシアの娘の歌」は寂しげに起伏の少ない民謡風モノローグ。(4:07)「協奏的二重奏曲」は5つの部分からなるエキゾチックな作品。どれも平易にけっして晦渋ではない作風は端正にデリケートな演奏に仕上げられました。「Cantilene」(3:21)/Eglogue I(2:38)/Eglogue II(2:49)/Gigue(4:27)/Dithyrambe(2:51)この辺りの作品はSamuel Dushkin(1891ー1976波蘭→亜米利加)と作曲者との演奏旅行のための作品らしい。

 Pavel Kaspar(p)の詳細情報も探せなかったけれど、ヴィオリニストとの息はぴったりでしょう。

 ラストに師匠筋であるRimski-Korsakovの協奏的作品が配置され、ぐっと俗っぽいと云うか泥臭い?大衆的な旋律がしっとりと華やかでした。意外とマイナー?これは初めて聴く作品でした。(13:39)Doron Salomon(1950-以色列)はヴェテラン指揮者らしいけれど、初耳。

(2024年3月16日)

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written by wabisuke hayashi