Stravinsky ピアノと管楽器のための協奏曲/
エボニー協奏曲/管楽器のためのサンフォニー/管楽八重奏曲
(エド・デ・ワールト/オランダ管楽アンサンブル)


PHILIPS 6500 841 Stravinsky

ピアノと管楽器のための協奏曲
エボニー協奏曲
管楽器のためのサンフォニー(1920年原典版)
管楽八重奏曲

エド・デ・ワールト/オランダ管楽アンサンブル/テオ・ブラインス(p)/ゲオルグ・ピーターソン(cl)

PHILIPS 6500 841(1975年リリース)

 既に引退したEdo de Waart(1941-阿蘭陀)が未だ若手だった頃の意欲的録音。Mozartの録音も新鮮でしたね。音質上々、メンバーはコンセルトヘボウ中心でしょうか、皆上手いもんですよ。この辺りの乾いたユーモア、みたいな作品は大好き。

 Theo Bruins(1929-1993)は阿蘭陀のピアニスト。ピアノと管楽器のための協奏曲は弦楽群を欠く四管編成+ティンパニ+コントラバス。1924年初演、この時期特有のムダのない平易に乾いた旋律、ピアノは有機的に浮き立って暴力的な破壊的風情は見えません。 Largo - Allegro - Piu mosso - Maestoso (Largo con principo)(7:24)/Largo(6:46)/Allegro(5:07)

 エボニー協奏曲は1945年初演されたジャズ・コンチェルト・グロッソ。ジャズバンド管楽器群に+ピアノ、ハープ、ギター、コントラバス、タムタム、シンバル、大太鼓が加わって小粋に賑やかな作品はお気に入り。George Pieterson (1942-2016阿蘭陀)は1975-2004年コンセルトヘボウ管弦楽団の首席。彼がクレジットされているけれど、クラリネットが突出して活躍するわけでもない。 「Allegro moderato」は5本のトランペットがノリノリのリズムを刻みます。(3:24) 「Andante」ここはサキソフォーンの物憂い風情が活躍(2:23)「Moderato」に至ってクラリネットが前面、Wikiには中国風旋律?と書いてあるけれど、なんともジャズの風情が漂って、それはStravinsky風情にたっぷり味付けされて新鮮でした。(3:43)

 管楽器のためのサンフォニーは1921年初演、大失敗だったとのこと。改訂版は1948年初演、ここでの収録はオリジナルだそう。三管編成の管楽器のみ、打楽器はありません。素っ頓狂な木管の高音、自在な各パートのアンサンブルの絡み、乾いた情感に荘厳な緊張感もあって現代では演奏会でもよく取り上げられようになりました。(9:06)

 管楽八重奏曲の編成はフルート/クラリネット/ファゴット2/トランペット2/トロンボーン2、1923年初演。「Sinfonia: Lento - Allegro moderato」はちょっぴりユーモラスな風情に始まって、ノーテンキに元気な行進曲風に至ります。破壊的に前衛の欠片もなし。(4:05)「Tema con variazioni」神妙暗鬱な始まりから、「怒りの日」みたいな?旋律が繰り返されて、軽妙なリズムやテンポの変化が愉しめます。(7:52)「Finale」は平明な明るい淡々としたフィナーレ。(3:41)

(2025年9月6日)

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written by wabisuke hayashi