Stravinsky バレエ音楽「春の祭典」
(レナード・バーンスタイン/ロンドン交響楽団1972年)


SONY SICC1850 Stravinsky

バレエ音楽「春の祭典」

レナード・バーンスタイン/ロンドン交響楽団

SONY SICC1850 1972年録音

 1958年ニューヨーク・フィルとの録音はその熱気を賞賛されても、こちら1972年再録音の評判はイマイチのようです。山本さんのブログによると1966年のライヴのほうが「火を噴くような壮絶な名演」とのこと。当時もてはやされたSQ4chの録音だったはず。こちらオーディオもド・シロウト、充分立派な、鮮明なる音質と感じて、その筋の専門家によると金管やら打楽器のバランスが前に出過ぎるんだそう。こちら、逆にその辺り”やや遠い?”かと。かつてオケ泣かせの難曲だった作品も、学生やら、アマ・オケでも破綻なく聴かせるレパートリーとなりました。粗野な原始のエネルギーを感じさせるカッコ良い名曲、ピエール・ブーレーズによる1963年、1969年録音が刷り込み、クール正確な技巧とリズムあってこその”野蛮”、バーンスタインの1958年録音は若さと熱気前面、1972年録音はそれとは方向性が異なりました。

 あちこちカスタマー・レビューには「個性が薄く、凡演というレベル」「(LSOとの録音はどれも)・・・彼の本領が発揮された演奏ではない」「良くも悪くも教科書的」との手厳しい声も有。久々の拝聴は整ったアンサンブル、アンドレ・プレヴィン時代のロンドン交響曲は各パート技量一流(よく聴き取れる)パワフルに鳴りきってバランスのよろしい、緻密な完成度と聴きました。少々のアンサンブルの破綻なんのその、前のめりの熱狂と入れ込みを求めるのなら、こちら「教科書的」かどうかさておき「優等生」風演奏に当たるのかも。

 第1部「大地の礼賛」。「序奏」冒頭の苦しい音域のファゴットから、木管各パート余裕の洗練と分離も明晰(3:22)「春のきざし(乙女達の踊り)」に於ける厳しいリズムの刻みも響き厚く、打楽器の乱入も迫力充分(3:13)「誘拐」に於ける金管と打楽器の掛け合いもたっぷり力強いもの(1:18)。上手いオケですよ。響きは濁らず、ぎりぎり羽目を外さない抑制、そこが期待外れと感じる方があるのかも。

 「春の輪舞」はゆったりとしたリズムから、やがて盛大なる打楽器と期間の爆発へと成長して(3:31)一転緊迫を強めつつ「敵の部族の遊戯」へ突入。ここの打楽器金管はやかましい。(1:56)「長老の行進」ー「長老の大地への口づけ」は木管の合いの手やら変拍子の一番オモロいところ。(1:07)ラストは地鳴りする大太鼓から「大地の踊り」へ。この緊迫感漂う各パートの掛け合い(トランペットと弦の追いかけっこ)最高潮へ。(1:14)これはバランスを感じさせる立派な演奏じゃないのかな。

 第2部「生贄の儀式」は全体としてテンポは遅め。「序奏」は第1部ラストの喧騒を鎮める静謐、木管も弦もデリケートに妖しい。(5:02)「乙女の神秘的な踊り」も題名通り”神秘”な静寂が続きます。ホルンの合奏が極上。(3:28)「選ばれし生贄への賛美」ここから一気に打楽器乱入+激しい暴力的リズムに危機感が高まるところ。ダメ押しの絶叫、素晴らしい高揚感。(1:41)「祖先の召還」金管のファンファーレのテンポが遅い(0:59)「祖先の儀式」ここも同様のスローテンポにいや増す緊張感、金管の乱舞は堂々たるスケールでしょう。(3:52)

 ラスト「生贄の踊り(選ばれし生贄の乙女)」はヒステリックなほどの弦、管に盛大なる打楽器が絡み合って、クライマックスへ。(4:41)打楽器の存在感はリアル、わかりやすい「春の祭典」として充分な完成度と聴きました。

(2020年5月15日)

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written by wabisuke hayashi