Stravinsky 室内作品集(ウラディーミル・アシュケナージ(p)/ ドミトリー・アシュケナージ(cl)/ヨーロピアン・ソロイスツ・アンサンブル)
Stravinsky
ラグタイム
八重奏曲
クラリネット・ソロのための三つの小品
組曲「兵士の物語」(クラリネット、ヴァイオリンとピアノのための)
パストラーレ
12の楽器のためのコンチェルティーノ
七重奏曲
フェルステンベルクのマックス公の墓碑
2台ピアノのためのコンチェルティーノ*
ウラディミール・アシュケナージ(p)/ドミトリー・アシュケナージ(cl)/ヨーロピアン・ソロイスツ・アンサンブル/アンドレイ・ガヴリーロフ(p)*
DECCA 473-810-2 1991、1994年録音
コロナ禍に閉塞気味な日々、大好きなStravinskyでも聴きましょう。
有名な三大バレエのみならず、知名度では劣る他の管弦楽、起承転結がない(シロウト耳にはそう聴こえる)エピソード連続のような「兵士の物語」とか、このようなあまり聴かれぬ室内的作品も。いずれヴィヴィッド、ハードであり、そして剽軽な味わい豊かな珠玉の佳曲ばかり。露西亜の民話を連想させるような素朴な味わいもたっぷり、かなり以前より愛聴していた作品でした。(他自演CBS録音、寄せ集めCDなど)激しい情感のうねりとか暴力的なサウンド大爆発!に非ず、淡々といつ終わるとも知れぬ逸話を聴かされているような・・・ほっとするような作品、演奏続きました。記憶では第1次世界対戦の戦火を避けて瑞西での作曲生活、編成の大きなものを避けた成果のはず。この一枚すべてピアニストであるアシュケナージが主導しているようです。
「ラグタイム」は旋律とノー天気なリズム、歩みはまるで人を喰ったようにユーモラス。ツィンバロンのローカルな音色がちょいと心擽ります。編成はフルート、クラリネット、ホルン、コルネット、トロンボーン、大太鼓、スネアドラム、ドラム、シンバル、ヴァイオリン2、ヴィオラ、コントラバス(4:31)「八重奏曲」はSinfonia(3:47)主題と変奏(7:01)フィナーレ(3:21)編成はフルート、クラリネット、ファゴット2、トランペット2、トロンボーン2。新古典派時代の端正な、やや生真面目な音楽であります。皆滅茶苦茶上手い!。ヨーロピアン・ソロイスツ・アンサンブルってどの辺りのメンバーなのでしょう。「主題」はなんとなく調子ハズレに「怒りの日」を連想させました。
「クラリネット・ソロのための三つの小品」を担当するドミトリーはアシュケナージの息子でしたっけ。1919年に次の「兵士の物語」三重奏版とともにローザンヌで初演されたそう。(1:56-1:05-1:16)ほんの短い自在な技巧を駆使する珍しいクラリネット・ソロ作品。第2曲〜第3曲、ノリノリにジャジィな雰囲気満載。いちばん有名なのは「兵士の物語」でしょう。これは編成も小さく、あっという間に終わる短縮縮小版(12:8-2:31-2:44-6:07-1:29)。それでも馴染みのナレーター入り原曲のエッセンスしっかり濃縮、一切のムダを削ぎ落として+乾いて素っ頓狂風情は自分の嗜好のツボ。ヴァイオリンは誰かなぁ、あまり自己主張せずしっかりアンサンブルに溶け込んで、クラリネットは相変わらず超絶技巧でした。
「パストラーレ」のオリジナルはヴォカリーズによる声楽作品だった由。ここではヴァイオリン、オーボエ、コーラングレー、クラリネット、ファゴットによる、なんともノンビリとした味わいであります。(3:02)「コンチェルティーノ」のオリジナルは弦楽四重奏だったらしい。フルート、オーボエ、コーラングレ、クラリネット、ファゴット2、トランペット2、トロンボーン2、ヴァイオリン、チェロの編成に編曲され(1952年)かなりハード、フクザツな音楽に仕上がって、後半ノリノリの楽しさ。(6:06)
「七重奏曲」は前作品と同じ1952年のもの。編成はクラリネット、ホルン、ファゴット、ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ(「1」2:50-「2 Passacaglia」4:50-「3 Gigue」3:20)「セリエル音楽」とやら、ムツかしい理屈はド・シロウトの理解の外、それでも難解晦渋さの欠片もなし。音色がユーモラスであり、淡々とした対話が続きました。「墓碑」はピアノと管楽器、低音ハープ?静かな、わずか1:29の淡い作品。調べても詳細わかりません。
「2台ピアノのためのコンチェルティーノ」は「春の祭典」に負けず激しいリズムと切迫感、カッコ良い作品也。(5:32-5:17-4:17-4:35)第2楽章「Nottrurno」辺り、淡々とわかりやすい風情でした。 (2020年4月12日)
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