Stravinsky 協奏曲 変ホ長調「ダンバートン・オークス」/
弦楽のためのニ調の協奏曲「バーゼル協奏曲」/
協奏的舞曲/古いイギリスのテキストによるカンタータ
(コリン・デイヴィス/イギリス室内管弦楽団)


英LONODN LP Stravinsky

協奏曲 変ホ長調「ダンバートン・オークス」
弦楽のためのニ調の協奏曲「バーゼル協奏曲」
協奏的舞曲
古いイギリスのテキストによるカンタータ

コリン・デイヴィス/イギリス室内管弦楽団

DECCA UCCD-3128 写真は英LONODN LP 1962/3年録音

 これはColin Davis(1927ー2013英国)が若い頃30歳代の意欲的な記録。後年、春の祭典やペトルーシュカの録音はあるけれど、ちょっと硬派な同時代音楽は貴重でしょう。イギリス室内管弦楽団との顔合わせ、英DECCA録音というのも珍しく、音質はリアルな現役水準でした。戦争の影響で小さい編成が多く用いられた頃の作品が揃っております。

 「ダンバートン・オークス」は擬バロック風情な1938年の作品。編成は小さく、フルート1/クラリネット1/ファゴット1/ホルン2+弦楽。変拍子が続いてカッコよい、クールかつヴィヴィッドな「Tempo giusto」(4:38)ノンビリ淡々と歩みに管楽器が剽軽な彩りを添える「Allegretto」。(4:27)ラストは「Con moto」。不器用な弦の歩みに、管楽器が自在協奏風に絡んで無表情なユーモアも漂いました。(4:57)イギリス室内管弦楽団は各パート管楽器は表情豊かに優秀なアンサンブルでした。

 「バーゼル協奏曲」は現代音楽の擁護者Paul Sacher(1906ー1999瑞西)が委嘱して、1947年初演した弦楽による合奏協奏曲。これもシンプルかつカッコよい痺れるような名曲ですよ。不協和音に不安な切迫感に始まるテンション高い「Vivace」。合奏とソロが掛け合って変拍子連続。(6:07)「Arioso: Andantino」は優雅にのんびりとしたリズムを刻んで、静かに甘い旋律。(2:43)「Rondo: Allegro」は緊張感高まる細かい音型、感情を押し殺して無機的な疾走に締め括りました。(3:22)

 協奏的舞曲は1942年初演。楽器編成はもうちょっと広がってフルート1/オーボエ1/クラリネット1/ファゴット1/ホルン2/トランペット1/トロンボーン1/ティンパニ1+弦楽。これも晦渋に非ずシンプルな旋律、過去の有名作品のあちこち引用もあるらしい(?)平易にわかりやすい合奏協奏曲。ほとんど自在なバロック風情リズムを感じさせる「Marche Introduction」から始まって快活に明るいユーモア。ティンパニが以降一貫して効いております。(2:04)「Pas d'Action」はギクシャクとしてキレのある変拍子も溌溂と明るい。途中戸惑ったように停滞する中間部有。(3:30)「Theme varie」は美しい木管の主題から始まる静かな、牧歌的な変奏曲。ホルンも朗々と、弦もしっとり呼応して、リズムも自在に、無定見に変遷します。(8:14)「Pas de Deux」はメルヘンのように優雅デリケートなところ。途中幾度もフルートによる鳥の声風なソロも印象的。(5:25)「Marche-Conclusion」は冒頭賑やかなバロック風リズム回帰して締め括り。(0:57)

 「古いイギリスのテキストによるカンタータ」は初耳作品?パトリシア・カーン(ms)/アレクサンダー・ヤング(t)/セント・アンソニー・シンガーズ が加わります。1952年初演。管楽器含む室内楽伴奏付き。通夜の音楽とか?言葉の壁はあるけれど、いずれ葬送の意味合いと古語でしょ?しっとりとした風情、時にヒステリックな激情は「詩篇交響曲」も連想させて、朗々としたソロも荘厳、木管との静かな絡みも興味深い作品でした。A Lyke-Wake Dirge (Versus I: Prelude)(1:43)Ricercar No. 1. The Maidens Came-A Lyke(4:05)Wake Dirge (Versus II: Interlude No. 1)(1:40)Ricercar No. 2. Tomorrow Shall Be(10:28)A Lyke-Wake Dirge (Versus III: Interlude No. 2)(1:42)Westron Wind(2:07)A Lyke-Wake Dirge (Versus IV: Postlude)(0:57)

(2025年4月12日)

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written by wabisuke hayashi