Stravinsky バレエ音楽「春の祭典」
(デニス=ラッセル・デイヴィス/バーゼル交響楽団)/
4手ピアノ版(滑川真希/デニス=ラッセル・デイヴィス(p))
Stravinsky
バレエ音楽「春の祭典」
デニス=ラッセル・デイヴィス/バーゼル交響楽団
4手ピアノ版「春の祭典」
滑川真希/デニス=ラッセル・デイヴィス(p)
Basel Symphony Orchestra SOB06 2013年録音
Dennis Russell Davies(1944ー亜米利加)はBrucknerやHaydnの交響曲全集を録音して、同時代の音楽にも造詣が深い人。クールに冷血なイメージがあって、これはほとんど話題にはなっていないけれど、驚きの完成度でした。20世紀現代音楽の古典とされる最高傑作、野蛮なリズムを刻む名曲中の名曲は予想外と云うか、予想通りなのか?クールに冷血路線に間違いはないけど、慌てず走らずイン・テンポに正確なリズム、細部解像度が高く、初耳?内声部パートがリアルに浮き上がってD.R.デイヴィスの統率は緻密そのもの、打楽器の響きも美しく、しっかり低音が響く極上な音質でした。バーゼル交響楽団はバーゼル劇場(Theater Basel)の座付きオーケストラとのこと。技量に優れた集中力アンサンブル、やや細身スリムなサウンド+パワーも充分なサウンドでしょう。
第1部「大地の礼賛」からやや遅めのテンポにメリハリある迫力とバランス、熱血迸(ほとばし)る荒っぽい暴力的疾走をこの作品に求める方にはスカみたいな素っ気なくも一歩引いたスリムな怜悧を感じられるかも。しかしこの低音、金管の叫びは充分衝撃、けっこうアツく盛り上がってますよ。正確にていねいなリズムを刻んでいままで聴いたことのない細部各パートの効果的な掛け合いが発見できました。(17:34)
第2部「生贄の儀式」序奏辺りのデリケートな静謐は彼の個性に似合って洗練され、細部あちこちいろいろな音が聴こえてくる解像度の高い清潔な響き。相変わらず曖昧さや流したところは皆無。やがて来るべきフクザツな変拍子連続に暴力的な大迫力場面も、あくまで淡々と怜悧に響きは濁らない。オーケストラに妙な色気や個性や色合いがない、あくまで作品を正確に語る姿勢を貫いて、馴染み過ぎた作品は充分新鮮に響きました。(18:38)
Stravinskyの三大バレエ録音はすべて奥様とのピアノ4手版が併録され、こちらも管弦楽同様”クールに冷血”、ピアノの打楽器的機能を強調することもなく、相変わらず知的に細部解像度重視なスタイル、作品の骨組み構造(だけ)が透けて見えるようでオモロいっすよ。タイヘンな難曲、滅茶苦茶キレッキレでもないけれど、それでも正確なリズムを刻んでなかなかの迫力と緊張、切迫感が続いて、こちらも破壊的暴力的リズムをたっぷり愉しめました。(17:30-19:32) (2024年4月13日)
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