Stravinsky 弦楽のための協奏曲ニ調/協奏曲 変ホ長調「ダンバートン・オークス」
(エルネスト・ブール/ストラスブール室内管弦楽団)


TELEFUNKEN LB 6198 Stravinsky

弦楽のための協奏曲ニ調「バーゼル協奏曲」(1946年)
協奏曲 変ホ長調「ダンバートン・オークス」(1938年)

エルネスト・ブール/ストラスブール室内管弦楽団

TELEFUNKEN LB 6198 1956年録音

 いったいこんな音源どこからみつけてきたのか、記憶もありません。Ernest Bour(1913ー2001仏蘭西)は現代音楽の雄、この時期ストラスブール・フィルや歌劇場の指揮をしていたらしいから、その流れで録音したものでしょう。1956年ならMercury辺り、目の醒めるような鮮明なステレオ録音を残していたけれど、このLP音源ははまずまずのモノラル録音、少々潤いに欠けます。

 弦楽のための協奏曲ニ調「バーゼル協奏曲」はパウル・ザッハー(Paul Sacher, 1906ー1999瑞西。この人も現代音楽の普及に尽力があった)の依頼による新古典主義時代の合奏協奏曲。戦争で大きな編成の作品を演奏できなくなったから、節約シンプルなのを作ったのか。3楽章からなる短い作品、変拍子に辛口の旋律が各パート掛け合うVivace(5:35)、やや晦渋ではあるけれど穏健な風情が漂って、リリカルに知的でもあります。著名な「春の祭典」辺りの野蛮な爆発とはかなり趣の異なるもの。Arioso(Andantino)(2:44)は優雅で退屈なワルツ、ここだけ聴けば”ゲンダイオンガク”とは思えぬ保守的な音楽・・・が微妙に崩れるのものオモロいもの。Rondo(Allegro)(3:31)は弦の細かい音形が不安であり、目まぐるしいもの。ここはBartokにちょっと似てますか?

 弦楽アンサンブルの縦線が揃って緻密な演奏。こういった起承転結のはっきりない、エピソード連続みたいな音楽は好みでっせ。

 協奏曲 変ホ長調「ダンバートン・オークス」も新古典主義時代の作品(Tempo giustoーAllegrettoーCon moto続けて14:27)。シンプルな管楽器群が加わって、編成はフルート1、クラリネット1、ファゴット1、ホルン2、ヴァイオリン3、ヴィオラ3、チェロ2、コントラバス2。上記「バーゼル協奏曲」より色彩豊かにわかりやすい、明るい旋律。バロック音楽への回帰をいっそう感じさせるカッコ良い音楽。これは大好きな作品です。これはクリストファー・ホグウッドが録音していて(1989年)バロック畑の人がレパートリーにして違和感のないものでしょう。

 おそらくは作品に馴染みの薄かった時代、エルネスト・ブールの統率はクール、各声部のバランスを整えてオーケストラも上手いものです。CDには復刻されぬであろう珍しい音源を堪能いたしました。

(2020年10月3日)

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written by wabisuke hayashi