William Steinberg(ウィリアム・スタインバーグ)
Wagner and the Pittsburgh Symphony
Wagner
楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲
歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
歌劇「リエンツィ」序曲
楽劇「ラインの黄金」より「神々のワルハラへの入城」
楽劇「ワァルキューレ」より「魔法の火の音楽」「ヴァルキューレの騎行」
楽劇「神々の黄昏」より「夜明けとジークフリートのラインへの旅」「ジークフリートの葬送行進曲」
ウィリアム・スタインバーグ/ピッツバーグ交響楽団
http://randomclassics.blogspot.com/2010/02/william-steinberg-wagner-and-pittsburgh.htmlよりダウンロード音源。(既にリンク切れ)
以下のコメントはおそらく20世紀中のもので、件(くだん)のCDはとうに処分済み。それにしてもクソミソなコメントだ・・・閑話休題(それはさておき)数年を経、似たような作品録音はネットで拾える時代に変遷いたしました。米CAPITALとは別の音源らしい(1960年前後のステレオ/米COMMAND録音)。掲載ジャケットは「ラインの三人の乙女」を表現しているのでしょう(エエ写真やないか!)。じつはLP2枚分を1枚の自主CDにしたもので、残り、ファウスト序曲をここでは省略。もちろんラインスドルフは登場の機会なし。国内盤は出なかったと記憶します。自信ないが。本名ハンス・ウィルヘルム・シュタインベルグ1899年〜1978年存命、最晩年はボストン響のシェフとして小澤征爾の前任であったことも昔話。
randomclassicsは、いかにも好事家がそのまま手持ちLP音源を上梓しました、的サウンドであって、針音、時に針飛び、必ずしも万全の音質保全状況でない・・・懐かしい雰囲気、アナログな空気満載、LP時代を彷彿とさせます。壮麗でスケールの大きな「マイスタージンガー」前奏曲、明るくキレと重量感あるサウンドだけれど、かつての印象ほど”金属的金管印象”に非ず。上手い具合に音質劣化して、カドが丸くなったか。凄い熱気+ノリに溢れてテンポのタメも決まっております。快調な出足。
針音、時に針飛び、必ずしも万全の音質保全状況でない・・・更に、微妙な音揺れ(オフ・センターか?それともプレーヤー不調か)があって、勇壮な「ローエングリン」にそれは顕著でした。少々キモチ悪いくらい。第3幕への前奏曲の演奏そのものは、颯爽とテンションの高いもの。「オランダ人」ではそれも治まって、熱気溢れる推進力たっぷり堪能可能でしょう。”音が金属的でアメリカしています。ピッチも悪いようで、アンサンブルもイマイチ、管楽器もずいぶんそっけない”とはかつての酷評だけれど、ほんまか?いまや再確認する術もなし。明るい響きともかく、ピッチもアンサンブルにも問題ないどころか、文句なくストレート系一流の演奏であります。
「リエンツィ」序曲も同様。落ち着いてシミジミとした情感(弦)〜沸き上がるように華やか、情感の盛り上がりがやってきました。リズム感の良さ、トランペットも上手い。これで、もうちょっと音質がマシだったらなぁ。きっとオリジナル音源はもっと良好と類推されます。
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スタインバーグはもともとフランクフルトのオペラ畑出身だったらしく(一昔前の独墺系指揮者はほとんどそんな経歴だった)「リング」もレパートリーだったのでしょう。こちらの盤はぐっと状態が改善され、最初の「ワルハラへの入城」から颯爽爽快朗々としたスケール、金管はよく歌って絶好調(金属的キンキンとしたサウンドに非ず)であります。「リング」演奏会用管弦楽は指揮者により微妙に様子が違っていて、ここでも途中思わぬ旋律割り込み有。「魔法の火の音楽」も、馴染みの開始よりかなり前の部分より始まっていて、これが流れとして自然でエエ感じです。弦も美しいですね。金管(とくにホルン)にも深みと厚み充分。以前の平板な印象は、録音の責任もあったのか。
「リング中」最売筋「ヴァルキューレの騎行」に於ける、速めのテンポと沸き上がるアツいもの、疾走、緊張感重量感に文句なし。ピッツバーグ響って、当時からこんなに上手いオーケストラだったのか。ワタシ一番のお気に入りは「夜明けとジークフリートのラインへの旅」でして、荘厳なる夜明け前に針飛び一ヶ所有(リアルなLP再現)。金管の奥深さ、木管のデリカシー、弦の爽やかな「夜明け」に文句なし。基本ストレート系だけれど、意外と流麗なスタインバーグの表現にも驚かされました。テンポはどんどんアップして、熱気も勢いも充分。「旅立ち」のホルンもエエ音で鳴ってまっせ。この名手は誰だ?それ以降は、華やかに鳴り切ったオーケストラの饗宴であります。
「葬送行進曲」に於ける静謐、かつ、ものものしい雰囲気。やがて引き継がれる金管の威力にも文句なし。セットで収録されることの多い「終曲」はないが、静かに収束するパターンも悪くありません。 (2011年6月18日)
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Wagner
楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
舞台神聖祭典劇「パルシファル」より第1幕への前奏曲
舞台神聖祭典劇「パルシファル」より聖金曜日の音楽
ウィルヘルム・スタインバーグ/ピッツバーグ交響楽団(1956年録音)
歌劇「タンホイザー」より「ヴェーヌスベルグの音楽」
エーリヒ・ラインスドルフ/コンサート・アーツ交響楽団(1958年録音)
ジークフリート牧歌
ウィルヘルム・スタインバーグ/ピッツバーグ交響楽団(1956年録音)
楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と「愛の死」
エーリヒ・ラインスドルフ/ロサンゼルス・フィルハーモニー(1961年録音)
EMI CDM724356520820 690円で購入
これはもともと米キャピトルのFull Dimensional Soundとか云って、ステレオ初期に録音を売りものにしていた演奏のはず。奇しくもMCAのダブル・デッカーで活躍し、のちボストン響のシェフとなる二人が収録されており、1960年前後からアメリカで話題となっていた演奏家だったことを想像させます。
期待の録音はたいしたことはなくて、なんか旧い映画音楽を聴くようなきめの粗い音。定位もおかしい。ラストの「トリスタン」が一番マシな音でしょうか。同時期録音のマーキュリーがいかに優れた技術を持っていたかがわかります。
1994年発売とのことですが、たしか当時は1,700円で位で売ってました。おそらくこれは売れ残りの在庫処分価格でしょう。
スタインバーグは、ブラームスの交響曲全集で「録音のせいか」と擁護していていましたが、レーベルが変わっても印象は同じ。
堂々としたスケールの表現ですが、音が金属的でアメリカしています。ピッチも悪いようで、アンサンブルもイマイチ、管楽器もずいぶんそっけない表現。ワーグナーの音ではなくて、例えていえば「自衛隊の吹奏楽」風(聴いたことはあまりないけど)の元気の良い、明るい雰囲気に溢れています。「ジークフリート牧歌」なんか、愛想なさの極みでさっさと演奏し終わってしまう。はっきり云って、かなりスカです。
ラインスドルフはさすがにオペラの人で、すっきりして響き〜「ツボ」は抑えていて、それなりに聴かせます。コンサート・アーツ交響楽団という怪しげな団体(この時期にかなりの録音有。ミルシテインのバックにも登場)が、ピッツバーグ響よりしっとりとした味わいを聴かせて意外な出来。
「トリスタン」は、ロス・フィルがけっこう厚みのある音でほっとひと安心。ワーグナーに付きものの濃厚な表現とは無縁で、さっぱりとした歌い口ですが、楽しめる演奏です。
レコード屋さんで見かけたときは「やった、みつけた」と感動したのですが、あまりに予想通りの結末で呆れるばかり。「私は旧き良きアメリカが大好き」という趣味の人向けのCDです。
【♪ KechiKechi Classics ♪】 ●愉しく、とことん味わって音楽を●
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