Shostakovich 交響曲第9番 変ホ長調/
交響曲第10番ホ短調(ルドルフ・バルシャイ/ケルン放送交響楽団)


BRL6324 Shostakovich

交響曲第9番 変ホ長調(1995年)
交響曲第10番ホ短調(1996年)

ルドルフ・バルシャイ/ケルン放送交響楽団

Brilliant BRL6324

 ラディスラフ・スロヴァーク全集(NAXOS)の存在価値を駆逐してしまったRudolf Barshay(1924-2010露西亜?→以色列?)衝撃の激安全集発売。これもMy Shostakovich受容には重要な存在でした。音質もオーケストラの技量も上々。ケルンWDR交響楽団はガリー・ベルティーニによるMahler交響曲全集と並んで、これは忘れられぬ大交響曲全集録音でしょう。

 交響曲第9番 変ホ長調は例外的に妙に明るく、軽快な勢いも感じさせて、これはお気に入りの作品です。第1楽章「Allegro」からメリハリとリズム感ヴィヴィッドにノリノリ、アンサンブルは整って元気よろしい勢いあるもの。金管は輝かしいけれどサウンドはシニカルに渋めでしょう。(5:17)第2楽章「Moderato - Adagio」はクラリネットから始まる虚無的に掴みどころのない緩徐楽章。ここは苦い情感を漂よわせつつ歩みは進みます。(5:43)第3楽章「Presto」はクラリネットの細かい音型よりスタート、快速木管アンサンブルは緻密に勢いを加えて、パワフルかつヒステリックなスケルツオ楽章。途中のトランペット・ソロは俗っぽくてカッコ良いですよ。上手いオーケストラですね。(2:54)第4楽章「Largo」の大仰な金管ファンファーレは終楽章への橋渡し。(3:01)第5楽章「Allegrett」はユーモラスだけれど、どこか不安げな行進曲風主題にスタート。暗い風情神妙に走り続けてテンポはじょじょに上がって、青白い炎に燃える熱狂がやってきても、どこかクールに辛口にかっちり真面目。ここはもっと馬鹿騒ぎ風無遠慮に締めくくっても良かったかも。(7:07)

 交響曲第10番ホ短調はまた例の如く、重苦しくも暗く苦い風情が戻っております。これも三管編成ですか?カラヤンが愛して二度録音した作品として有名でした。第1楽章「Moderato」暗い夜明けのように深く、ある種妖しくも爽やかな弦による始まり。それは怪しく盛り上がって、この辺りキレのあるサウンド、木管はかなり硬質でした。やがて打楽器金管の炸裂はかなりパワフルに壮絶に盛り上がって、それは都会的な洗練されたサウンド。かつてうねうねとつかみどころがないと感じたこの楽章も、バルシャイのメリハリある正確な表現、泥臭さとは無縁に明晰と感じました。そして冒頭の怪しい静謐に戻る長丁場。(23:15)第2楽章「Allegro」はスケルツォ、厳しいリズムを刻む弦と木管、そして小太鼓から始まって、金管の鋭い爆発、木管のヒステリックな呼応が衝撃。ここは正確精緻に整ったアンサンブルが疾走して興奮を呼ぶところ。(4:32)

 第3楽章「Allegretto」これは緩徐楽章ですか?途方にくれたような歩みに始まって、「大地の歌」風ホルンが幾度しつこく無機的に無情に木霊するところ。やがて狂気を孕んで切迫したテンポ・アップにホルンも更に絶叫、この辺りキレがあって、響きは鋭く洗練されております。(12:09)第4楽章「Andante - Allegro」ここも暗鬱な弦、木管のつぶやき(これがけっこう雄弁)から始まって前楽章の重苦しさを引き継いだ始まり。そして軽快にテンポ・アップして、木管は軽妙、弦は緊張感を湛えて、引き締まった響きと正確に整ったアンサンブルとリズムが素晴らしい。パワフルに徐々にボリュームはアップ、木管も金管もヒステリックに疾走するけれど、重苦しさ泥臭さを感じさせない。やがてとぼけたファゴットが木管の主旋律を導き出して、ホルンも参入、場違いな弦?登場してこの辺りほんまにおもろいフィナーレの締め括りと感じます。上手いオーケストラですよ。(12:18)

(2024年10月12日)

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written by wabisuke hayashi