Shostakovich 交響曲第8番ハ短調
(ローマン・コフマン/ボン・ベートーヴェン管弦楽団)


MDG 93712046 Shostakovich

交響曲第8番ハ短調

ローマン・コフマン/ボン・ベートーヴェン管弦楽団

MDG 93712046 2004年録音

 ほとんど忘れられたRoman Kofman(1936ー烏克蘭)による全集録音より。オケが渋過ぎますもんね。2003−2008年音楽監督在任中の録音でしょう。一部熱狂的な支持者からは”ムラヴィンスキーに匹敵する!”との称賛もあるようだけど、自分は2013年初めて聴いた時より

クール整ったアンサンブルを前提として、各パートの自発性、個性、色に不足して、面白みも色気も迫力も足りない、静謐なところ(例えば第3楽章「ラルゴ」)にて”弱い”(テンションが落ちる)
といった手厳しい印象有(第5番を聴いて)。当時は未だShostakovich開眼前、これは第2次世界大戦の悲惨さを描いた作品なんだそう。

 やがて粘り強くShostakovichを聴き続けて、作品そのものに目覚めました。知名度からは想像できない、けっこう立派なアンサンブルでした。延々とずず暗く長い第1楽章「Adagio - Allegro non troppo - Allegro - Adagio」。作品に馴染む前は、このうねうねとして、つかみどころのない長丁場に挫折したものですよ。冒頭低弦による力強い序奏は「スパイ大作戦」風、延々と暗鬱に変貌し続けて、けっこう飽きさせず諄々と聴かせる説得力有。かつて音楽が途中、行方不明になってしまうのはオーケストラの技量問題と考えていたけれど、宗旨替え。これは繊細デリケートな静謐部分、パワフルな中間部の爆発、切れ味も立派なもの。解像度高い優秀録音。このオーケストラはゴリゴリ厚みのある馬力さておき、”各パートの自発性、個性、色に不足”せず”面白みも色気”もちゃんとありますよ。大切なのは聴き手の集中力だったのでしょう。(30:08)

 第2楽章「Allegretto」はスケルツォ、このバカ騒ぎは妙にシニカルに明るくとてもわかりやすいけれど、サウンドの芯や爆発がやや甘いと感じます。(6:36)第3楽章「Allegro non troppo」は乾いた弦の機械的繰り返しに、管楽器がヒステリックに水を差す!無機的非情な疾走最高、これは大好きなところ。途中トランペット・ソロと小太鼓の掛け合いは妙に俗っぽいユーモラスにノリノリ。オケはかなり頑張っていると思いうけれど、期待する”無機的非情な疾走”感にちょっぴり足りない。弦の機械的な繰り返しリズムにノリは今一歩、それに水を差す木管のヒステリックな響きに鋭さはもう少し欲しいところ。(6:57)

 第4楽章「Largo」はパッサカーリア。冒頭の大爆発はかなりのド迫力、ここの音質は劇的効果抜群。そこから内省的に暗い、暗い音楽が続きました。ホルン・ソロはしっかりと存在を主張するけれど、露西亜の音色に耳慣れるとずいぶんと素直な響きに感じます。洗練された優秀なアンサンブルだけど、静謐なところではどうしてもテンションが下がる印象が拭えません。(11:01)

 アタッカで静かに第5楽章「Allegretto - Adagio - Allegretto」へ。高らかに前向きのような、そうでないような・・・微妙に平明牧歌的なハ長調。徐々に盛り上がって微妙に雄弁な音楽。デリケートなアンサンブルにかなりのテンション維持、ホルン先頭に金管の勇壮さも際立ちました。ヒステリックな爆発もかなりの迫力に悲痛さを感じさせるもの。ラストは消えるように終えて、安易な解決感はありません。(16:15)これは立派な完成度、オーケストラの技量を見直しました。きっと実演では連続演奏会が話題になって、録音に至ったと類推します。”Mahlerの次はShostakovichだ”との予言は当たっていた、今になって思います。

(2022年11月12日)

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written by wabisuke hayashi