Shostakovich 交響曲第8番ハ短調
(ルドルフ・バルシャイ/ケルン放送響楽団)


Brilliant BRL6324 Shostakovich

交響曲第8番ハ短調

ルドルフ・バルシャイ/ケルン放送響楽団

Brilliant BRL6324 1994年録音

 Rudolf Barshai(1924-2010露西亜→以色列)による全集録音の登場は衝撃でした。音質は良好、オーケストの実力にも間違いないけれど、必ずしも世評盤石でもないらしい・・・けど虚心に、自分の耳でしっかり拝聴いたしましょう。この演奏はなかなか上出来かと。音質もクリアそのもの。たしかボーンマス交響楽団との旧録音があったはず。

 この作品は1943年初演。四管編成。前作交響曲第7番が勇壮な戦い!勝利!風作品であったのに対して、こちらぐっと内省的な、亡くなった方々への追悼を感じさせる作品。最近、気に入っております。

 第1楽章「Adagio/Allegro/Adagio」冒頭「スパイ大作戦」風ごりごりとした低弦の迫力は抑制気味、ムラヴィンスキー入魂の表情が記憶にあれば、それは物足りないのかも。その後、延々と続く弱音は極度な緊張感に非ず、クールな風情にわかりやすく明晰、音楽の行方が迷子になることもない。徐々にパワーを上げての怒りの高揚も壮絶な迫力!迄に至らぬ抑制を感じさせました。イングリッシュ・ホルンの長い虚無的なソロも印象的。管楽器の音色、打楽器の存在感、オーケストラの厚みあるサウンドには色気有。(27:22)

 第2楽章「Allegretto」晴れやかに、剽軽に、そして壮絶に躍動するスケルツォ。ここも一歩引いて冷静に噛み締めるような風情にあまり急がない。大仰な表情に非ず、クリアなサウンドに狂気をほとんど表出させぬバランスを感じさせました。(6:41)

 第3楽章「Allegro non troppo (Attacca)」弦の無機的無感情な繰り返し、ヒステリックな木管、打楽器の合いの手が印象的な始まり。やがてそれは金管に受け継がれ、緊張感を高めていくけれど、バルシャイは一貫して激昂しない。中間部のトランペットと小太鼓は妙にシニカル、ちょっと人をバカにしたような?いかにもShostakovichらしいアクセントもあって、元の弦の無機的無感情な繰り返しに戻ってヤケクソ感高まりました。ここが個人的には一番好き。(6:43)

 第4楽章「Largo」はPassacaglia。嬰ト短調の陰鬱かつ哀悼、安らぎに充ちた緩徐楽章。静謐な弦は油断すると流れが行方不明になる可能性もあるけれど、バルシャイの緻密かつデリケートな統率に弦、ホルンもフルートも幻想的に表現されてわかりやすい。(10:06) (Attacca)

 第5楽章「Allegretto」ファゴットの牧歌的な旋律から始まって、爽やかな弦、ピッコロとホルンの囁きを経、戦争勝利を声高に叫ばない、微妙に不安な静謐が続きました。じょじょにエネルギーを高め、高らかな管や盛大なる打楽器も参入、この辺りオーケストラの技量を感じさせる厚みがありました。やがてそれは静謐に収束して、ヴァイオリン・ソロ、そしてファゴット・ソロはいったいなにを表現してるのでしょう。(13:35)

(2026年8月15日)

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written by wabisuke hayashi