Shostakovich 交響曲第1番ヘ短調/
第2番ロ長調「10月革命に捧ぐ」/第3番 変ホ長調「メーデー」
(アレクサンドル・スラドコフスキー/タタールスタン国立交響楽団)


MEL1002470 Shostakovich

交響曲第1番ヘ短調
交響曲第2番ロ長調「10月革命に捧ぐ」
交響曲第3番 変ホ長調「メーデー」

アレクサンドル・スラドコフスキー/タタールスタン国立交響楽団/全ロシア国営テレビ・ラジオ放送グランド・コアー・マスターズ・オブ・コーラル・シンギング

MEL1002470 2016年録音

 幾度か聴いているAlexander Sladkovsky(1965-露西亜)による交響曲全集録音は思わぬ完成度でした。耳慣れぬオーケストラの技量、泥臭いサウンドにパワーたっぷり、アンサンブルも上々、音質も良好。

 交響曲第1番ヘ短調は1926年初演。二管編成、6種の打楽器にピアノも入って「ペトルーシュカ」の影響を感じさせるとのこと。才気煥発な風情は大好きな若き日の作品ですよ。
 第1楽章「Allegretto - Allegro non troppo」なんとなく剽軽に軽快自在にメリハリ元気ハツラツな風情。途中金管と打楽器のテンションも圧巻のラッシュ。(8:11)
 第2楽章「Allegro - Meno mosso」これってスケルツォですか?ユーモラスな追い掛けっこみたい。まるでピアノ協奏曲、ここも爆発的なテンションに文句なし。(4:19)
 第3楽章「Lento」はオーボエ、チェロの無感情無表情なソロから始まって、徐々に盛り上がって金管の合いの手も無感情な感じ。やがて静謐に怪しいトランペットソロを伴う葬送行進曲に至って、そのまま(9:29)
 第4楽章「Lento - Allegro molto」へ。もったいつけたフィナーレもいかにも華々しく爆発、思いっきり賑やかにド迫力。音質極上にヒステリック、トランペットは強烈、ティンパニ先頭に打楽器の爆発は超リアルですよ。(10:45)

 交響曲第2番ロ長調「10月革命に捧ぐ」は1927年初演。”無調・27声部におよぶウルトラ対位法などの技法”作品とのこと(Wikiによる)三管編成+混声合唱+多種多様7種の打楽器+サイレンまで入る政治的単一楽章作品。こんな時代に至って、政治的意図に関係なく作品を堪能できる様になりました。要はするに当時の権力に阿(おもね)った題材を使って、思いっきりやりたい放題硬派前衛的な作品に仕上げたのでしょう。Largo(序奏)-Fugato(27声によるフガート)ーMeno mosso(それまでより遅く)ー合唱 - Coda「これこそ旗、これこそ生き生きとした世代の名称、10月、コミューン、そしてレーニン」のシュプレヒコールにて締めくくります。(もうカンベンしてよ)(17:31)

 交響曲第3番 変ホ長調「メーデー」も単一楽章、1930年初演。演奏頻度は第2番以上に少ない、不人気作品とのことだけど、思いっきりデーハーに効果的な作品。三管編成+7種の打楽器+合唱。これも第2番同様、権力に迎合しつつ、じつは好きなことをやっている感じ。Allegretto(序奏/不気味な低音は静寂不穏な蠢き。ここはオーディオ映えします)-piu mosso-Allegro(主部。行進が始まる感じ)-Andante-Allegro-Largo(ホルンは強烈であり勇壮。ヴァイオリン・ソロと木管の掛け合いはばるでバロック風、そして破壊的な大爆発から勇壮な旋律へ)-Moderato(サイレンとともに合唱 「最初のメーデーの日に」*翻訳を載せようとと思ったけれど、型通りの「労働者の祭典」への参加呼びかけ、なんの趣もありません/虚しい言葉も立派にゴージャスな旋律、立派に雄弁な管弦楽と声楽に乗せると感銘深く響き渡る好例かと)(31:18)

(2025年2月22日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

●愉しく、とことん味わって音楽を●
▲To Top Page.▲
written by wabisuke hayashi