Shostakovich チェロ協奏曲第1番 変ホ長調/チェロ・ソナタニ短調/
Saint-Sae"ns チェロ協奏曲第1番イ短調
(カルロス・プリエト(vc)/エレラ・デ・ラ・フエンテ)


IMP PCD 1084 Shostakovich

チェロ協奏曲第1番 変ホ長調
チェロ・ソナタニ短調

エレラ・デ・ラ・フエンテ/ハラパ交響楽団/ドリス・スティーヴンソン(p)

Saint-Sae"ns

チェロ協奏曲第1番イ短調

エレラ・デ・ラ・フエンテ/ミネリア交響楽団(ライヴ)

カルロス・プリエト(vc)(Carlos Prieto/1937-墨西哥)

IMP PCD 1084 (p)1994

 このCDはいつどこで入手たものか、記憶雲散霧消、おそらく20世紀中でしょう。そもそもCDはほとんど取り出さなくなって、もちろんIMPレーベルもとっくに解散、希少盤!に間違いないけれど、誰も欲しがらぬでしょう・・・まず作品を!演奏家は二の次といった自分の嗜好を象徴するような一枚が棚中に生き残っておりました。ALL Mexico勢によるShstaokovich/Saint-Sae"ns録音、ソロも指揮者もオーケストラも他に拝聴機会はありませんでした。カルロス・プリエトはピエール・フルニエの弟子とのこと。Herrera de la Fuente(1916ー2014墨西哥)もチェリビダッケやシェルヘンに学んで母国を代表する指揮者であった由。

 Shostakovichチェロ協奏曲第1番 変ホ長調は苦手系作品の代表、つい先日マリア・クリーゲル(vc)/アントニー・ヴィト/ポーランド放送交響楽団(1995年)の演奏を聴いて目覚めたばかり、曰く”シニカルかつユーモラスな旋律に苦節ン拾年、ようやくその魅力に目覚め”たもの。”鮮やかスムースな技巧、色気ある音色は師匠譲り、この録音は驚くほどクリアな音質にはっとするほど鮮烈”と。こちらも負けぬほど音質は鮮明そのもの(録音時期情報不明)演奏も緊張感があって悪くないし、Xalapa Symphony Orchestraだって知名度から想像もつかぬほど端正なアンサンブルでしょう。

 ソロはていねいに細部仕上げて、技術的な不安はまったくないのは当たり前、瑞々しい音色に(ほんのちょっぴり)微妙にリズムが緩い感じも味わいのうち、それは伴奏の責任もあるのでしょう。目隠しで聴けばおそらく墨西哥のオーケストラとは気付かない充実したもの。

 第1楽章「Allegretto」は(先に書いたとおり)シニカルかつユーモラスな旋律+リズムが印象的というか官僚的、第2楽章「Moderato」は華麗なる加齢を重ねると緩徐楽章が好みになる(林 侘助。1957-日本)・・・大原則どおり哀愁安寧詠嘆の旋律に苦渋が滲むみつつ、情感が高まるもの。クライマックスに於けるホルンの咆哮が印象的。ここが作品の白眉でしょうね。第3楽章「Cadenza」は物憂くも苦渋に充ちたソロのモノローグ(無伴奏超絶技巧要求されそう5:50)アタッカで終楽章突入「Allegro con moto」は、細かいパッセージに快速ソロの技量を問われるところもスムースそのもの。やがてテンポリズム変わってヒステリックな怒りが続きました。

 チェロ・ソナタニ短調は珍しく馴染みの作品。高校生の時にチェロを弾こうとして結局挫折、その時にロストロポーヴィチのLPを買ったんです。(1957-57年コロムビア・ヒストリカル1000シリーズ)ぎらぎらするような緊張感、作曲者自身のピアノは熱く強靭なものだった記憶が・・・それに比べるとカルロス・プリエトは柔和に温和でありスケール大きく雄弁、ドリス・スティーヴンソンの伴奏はバランスを考慮したものでしょう。作品そのものも記憶よりずっと平易に響きました。もっと四角四面だったような?第2楽章「Scherzo-Allegro」っていかにも彼らしい怒りに充ちた躍動だけど、彼(か)のソロの特殊奏法?はオモロい音色ですね。第3楽章「Largo」は深く瞑想的。

 Saint-Sae"nsとの出会いはやはりロストロポーヴィチ(1953年)コロムビア・ダイヤモンド1000シリーズだっけ。わずか20分ほど切れ目なく演奏される流麗な作品、Shostakovichのあとに相応しい浪漫な気分転換であります。ミネリア(鉱山?)交響楽団もこのCD以外聴いたことはないなぁ、フェスティヴァル用のオーケストラ?だからライヴなのか。雰囲気ガラリと変えて、会場の空気奥行き熱気をたっぷり感じさせるもの。オーケストラもソロも流麗雰囲気たっぷりに洗練された響きであります。終楽章に於ける快速パッセージに拍手。

(2018年12月16日)

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written by wabisuke hayashi