Dvora'k 交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界より」/スケルツォ・カプリチオーソ
(パーヴォ・ヤルヴィ/ロイヤル・フィルハーモニー)


BRILLIANT BRL93674 Dvora'k

交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界より」
スケルツォ・カプリチオーソ 作品66

パーヴォ・ヤルヴィ/ロイヤル・フィルハーモニー

BRILLIANT BRL93674  1993年録音

 以下CDは処分してデータ拝聴するようになりました。すると・・・残念「謝肉祭」序曲 作品92が収録から消えております。(Brilliant40枚全集中、別途テオドール・クチャルに演奏を譲っている)十数年前、Paavo Jarvi(1962ー)への素朴なコメントから、基本印象は変わっておりません。

激安であちこち発売されたRPO録音はいずれも目の覚めるほど鮮明な音質、ロイヤル・フィルの明るく力強い、ちょっぴり粗野なサウンドも愉しめます。息子ヤルヴィ31歳、ほとんど最初の録音か、これがゆったりとしたテンポ、自信に溢れた揺れ、歌は効果的、オーケストラを朗々と鳴らす手腕も上々にアツく、爽快、若々しい溌剌演奏にウキウキいたしました。提示部繰り返しも嬉しい。「新世界」との出会いは小学校4年生、バーンスタイン以来お気に入りの座は揺るがぬけれど、ここ最近ちょっとスランプ(心より堪能できない)気味でした。コレ一発で克服出来。

「スケルツォ・カプリチオーソ」はもっと凄い一気呵成の勢い、ダメ押しのような感慨押し寄せます。(「音楽日誌」2015年4月)

 上記に言い尽くされて、まず音質がクリアで素晴らしい。ロイヤル・フィルの鳴りっぷりも豪快そのもの(とくに金管/管の響きがあまり魅力的ではないのと、全体的にやや厚みに欠ける〜との前言撤回)第1楽章 「Adagio - Allegro molto」は思わせぶりな遅いテンポ、ホルンを強奏させて驚きのメリハリ、提示部も繰り返して下さって文句ありません。テンポは大仰に揺れ動いて、ちょいとやり過ぎ?なのが若さなのでしょう。逡巡なくオーケストラを爆発させて、テンポは遅いからスケールを強調した演奏に仕上がりました。13:11。繰り返しを勘案してもそうとう長い。

 第2楽章 「Largo」は著名な懐かしい旋律(「家路」)を、じっくりたっぷり歌わせて、ここもテンポが遅いんです。中間部は一気にテンポ・アップさせ(例の如く)逡巡のない爆発は前後の対比もお見事、ふたたびゆったり静謐に戻って、息も絶え絶え、消えゆくようにデリカシーに充ちた仕上げであります。15:26、これはバーンスタイン(1988年)に次ぐ長さでしょう。第3楽章「Scherzo. Molto vivace」。テンポはフツウに聞こえるけれど11:51、けっこうな時間掛かってますね。スケルツォ楽章に相応しい、きりりとエネルギッシュな若さ漲(みなぎ)って、ロイヤル・フィル絶好調に鳴り切って、賑々しい切れ味と躍動がやってまいりました。爽快。

 第4楽章 「Allegro con fuoco」。風雲急を告げる切迫感、決然とした主題はカッコ良い出足であります。切れ味たっぷりな金管のダメ押しは涙がでるほど凄い!ひたすら昂揚してテンションはマックス!テンポのタメ、疾走のバランス、弱音の抑制対比もお見事。14:51。これも聴き慣れた標準的なものよりかなり長いけど、ここに至ってテンポが遅いなどまったく感じさせぬ推進力であります。華やか、若々しくも清々しい躍動に溢れる「新世界」也。

 「スケルツォ・カプリチオーソ」はユーモラスなホルン(これが痺れるような音色!)から開始、木管が呼応して民族的なリズム爆発!(トランペット最高!)やがて「スラヴ舞曲」を連想させるような甘美なレントラーも登場して、Dvora’kってなんて素敵なメロディ・メーカーなんでしょうか。14:51。この録音から二十余年、パーヴォは立派な指揮者として全世界で活躍しているのはご存知の通り。

(2016年11月6日)

Dvora'k

交響曲第9番ホ短調 作品95「新世界より」
「謝肉祭」序曲 作品92
スケルツォ・カプリチオーソ 作品66

パーヴォ・ヤルヴィ/ロイヤル・フィルハーモニー

BRILLIANT 99572 7枚組2,690円で購入

 これ、コシュラーを主とする交響曲全集の一枚です。なぜか第8・9番が違う人(第8番はメニューイン)の録音で、バカヤローと思っていましたが、パーヴォ・ヤルヴィの演奏はなかなか新鮮でしたよ。シンシナティ響のシェフに就任するとのこと。やはり前途洋々たる若手指揮者にふさわしい曲なのでしょうか。名曲。

 音質よろしい。詳しく知らんが、新しい録音のはず。ホルンやティンパニの鮮度最高。遅めのテンポで、細部まで思い入れタップリにニュアンスを付けて、やる気充分なんです。アンサンブルも充実していて、彼にはそうとうのオーケストラ・コントロール能力があると踏みました。テンポの揺れはかなり作為的だけれど、説得力がある。

 ロイヤル・フィルは予想外に美しいが、管の響きがあまり魅力的ではないのと、全体的にやや厚みに欠ける・・・が、これはマイナスではなくて、非常に爽やかで別な魅力が生まれているんです。第1楽章提示部も繰り返してくれて、ノビノビとたっぷり歌って個性的だけれど、もしこれに厚みと重みが加わるとクドくなりすぎる。

 有名な第2楽章ラルゴも、とことん引きずって、これくらい遅くやってくれると聴き手の心構えも変わろうというもの。ここではイングリッシュ・ホルンが存分に歌うが、弦のサワサワとした控えめなバックが、密やかに広がって新鮮でした。でも後半のフルートとオーボエは、もっとセクシーでなくちゃ。

 第3楽章はうるさくならず、むしろ明快で冷静。よいリズム感です。終楽章の決然としたメリハリも文句なし。でも威圧感がなくて、若々しく、瑞々しい。もしかして、かなりこの曲はいろいろと聴いてきたはずだけれど、もっとも魅力に満ちた演奏かも知れません。個性的で、清楚で、たっぷりと美しい。録音水準のチカラもあるが。


 「謝肉祭」序曲は、モウレツに速くて、元気がよくて気持ちヨロシ。「スケルツォ・カプリチオーソ」は、何度も聴いているようで、じつはこんなに楽しく思えたのは初めてでしょう。フリアントとレントラーはリズムですよね。思わずカラダが揺れるような陶酔がありました。

 嗚呼、音楽が楽しい。価格と見た目の安っぽさにダマされてはいけませんぞ。この指揮者は注目株。(2002年2月8日)


【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi