Rossini 歌劇「セヴィリャの理髪師」
(ブレディシーヌ/ブカレスト・ルーマニア歌劇場)


Rossini 

歌劇「セヴィリャの理髪師」(全曲)

ブレディシーヌ/ブカレスト・ルーマニア歌劇場管弦楽団・合唱団
テオドリアン(t)ガボール(b)ランクレスク(s)ロギン(b)サンドレスク(ms)ヘルレア(br)ペトレスク(t)
(名前の読み方いい加減)

World of the Opera 5255 録音年不明のアナログ録音  24枚組7,500円で購入したセットのうちの一組

 ルーマニア・エレクトレコード原盤。1996年頃博多にて購入、何年も本棚のコヤシになっていたもの。もしかして、VOXでもCD化されていたかもしれません。名前から想像して、オール・ルーマニア勢による録音でしょうか。音の状態は悪くありません。オペラ方面には疎いワタシでも、「セヴィリア」は馴染みです。(LP時代のラインスドルフ、グイ〜いずれも抜粋盤ですが〜以来)

 おそらくチャウシェスク時代の録音でしょうが、日本では知られていないとはいえ、どの都市にもちゃんとオペラ・ハウスはあるみたいですね。メジャーなCDで聴けるようなオール・スター・プレイヤーじゃなくて、地元座付き歌手による日常的レパートリーの録音と想像されます。とても楽しい演奏で、堪能しました。でも、2枚にゆうゆう収まっているからカットがあるかも。(このへんがおおいに知識不足)

 有名な序曲開始。これがじつにショボイ。音がスカスカ、響きが薄い。録音の加減かも知れないが、いかにも奈落の底(オーケストラ・ピット)で演奏しているような、遠慮がちの演奏なんです。ロッシーニは「リズム命」だから、そうとうにヤバイと先行き危惧して、ここで聴くのを止めては行けません。これは、オペラ・ハウスにありがちの「伴奏専門」のオーケストラなんでしょう。

 じつはこのCD、12曲の代表的なイタリア・オペラを集めたセットもので、演奏者がほとんどルーマニア勢なんです。なかには「ルーマニア放送スタジオ交響楽団」による演奏もあって、もしかしたら放送用(例えばテレビなんかの)録音のCD化かもしれません。音の録り方が歌い手中心なんですね。(ときどき不自然なエコーもある)それでもオーケストラが輝かしくないのはまちがいなし。

 序曲が終わって、歌い手が出てくるじゃないですか。これがどれもこれも朗々として、イキイキとしてとても立派なんです。フィガロの押し出しの強さ、例の有名な「私は街のなんでも屋」の堂々たること。あまり立派すぎて、少々ユーモアには欠けるようだけれど、無名CDの水準ではありません。(ヘルレア?)

 アルマヴィーヴァ伯爵(テオドリアン)の若々しく、明るいテナーは文句なし。ロジーナ(ランクレスク)のコロラトゥーラ・ソプラノの技巧の冴え。知的で可愛らしい感じも出ている・・・・ということで、歌に聴き惚れていると、オーケストラの弱さが気にならなくなる不思議。伴奏に徹して、歌い手を生かすことにかけては手慣れたもんなんでしょう。ツボを押さえた演奏家。

 ・・・な〜んて、わかったようなこと書きましたが、「バーロー、シロウトが」と叱ってやって下さい。有名な作品というのは、やはり歴史的な荒波にもまれて生き残っているだけのことがあって、ワタシのような経験の薄い者にもわかりやすいのが嬉しい。なんか縁遠い気がしていた「歌もの」に少々近づいたような気がしました。(2000年11月25日更新)


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written by wabisuke hayashi