Schubert 交響曲第9番ハ長調
(ダニエル・バレンボイム/ベルリン・フィル1984年)
Corelli
Schubert
交響曲第9番ハ長調 D944
ダニエル・バレンボイム/ベルリン・フィルハーモニー
CBS MK 43216 1984年録音
いまや音楽界の重鎮であるDaniel Barenboim(1942-亜爾然丁→以色列)42歳の全集録音より。正直なところ、その華麗なる経歴に比して(録音を聴く限り)”どれもそれなり、どれもいまいち”的印象を得て、決定打に欠けるようなド・シロウトの感想であります。これは当時フルトヴェングラーに心酔していたらしい悠然とした演奏スタイル、この美しい交響曲との出会いは中学生時代、まさにそのフルトヴェングラー(1951年)。カラヤンと聴き比べて(当時新録音)貫禄と疾走、緊張感の桁が違う!小遣いはたいてLPを後生大事に抱えて帰宅したものです。
ベルリン・フィルはカラヤン時代末期、これから次世代に移行していく途上、甘さをサウンドに感じさせぬ厚みと艶を堪能できます。この全集録音はちょっと忘れられたような存在になっているかも。意外と素直な表現に作品を堪能いたしました。テンポは古楽器演奏が主流になる前のやや遅め?中庸なもの、熱狂的なアッチェランド、テンポの不自然な揺れもほとんどありません。各楽章ちゃんと繰り返しているもの立派。各パート分離もわかりやすい音質極上。トラック分けも配慮あるもの。CDスリーブのデザインは冴えませんね。
第1楽章「Andante - Allegro ma non troppo」力みのない余裕の開始。冒頭魅惑のホルン・ソロからオーケストラの技量が凄い。序奏からのテンポアップ、最終盤のアッチェランドはパワフルに決まっていて、提示部はリピート有。悠揚たるスケールを狙っても、音楽の作りは若くてやや平板と感じます。(4:30-11:29-1:56)
第2楽章「Andante con moto」淡々とした緩徐楽章はシンプルな魅力、ベルリン・フィルは痺れるほどに美しく(とくに弦)厚みもたっぷり(圧巻のパワフル金管楽器)だけれど凄みとか陶酔にちょっぴり足りない・・・とは贅沢な言い草。力強い几帳面なメリハリも紋切型に響きました。後半に向けて、途方に暮れた風情とか、静謐な歌を堪能するに至らぬ感じ。(16:28)
第3楽章「Scherzo. Allegro vivace」ごりごりとした低弦の開始、躍動するスケルツォ、サウンドにたっぷり厚みはあっても威圧感はありません。どこかお行儀よろしい若々しい推進力と、今一歩ダメ押しの弱さ、繰り返しはやや弛緩気味?トリオの対比もやや一本調子でしょう。(6:35-5:04-3:24)
第4楽章「Finale. Allegro vivace」は速めのテンポ設定、これがちょいと腰が軽くて落ち着きません。アンサンブルの整え方は驚異的、厚みのある響きも迫力だけどコクと陰影、緊張と緩和に足りない。ちゃんと繰り返してくださるのはありがたいけど、ここも一本調子にスウィング感はもっと欲しいところ。ちょっぴり飽きるとは失礼な言い種だけど、ラスト勢いに乗って表層を流した感じ。(3:28-10:36)
なんか辛口になってすみません。洗練された優秀なオーケストラに支えられた優等生的な演奏かと。 (2022年9月3日)
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