Schubert 4つの即興曲 D.899 作品90/
4つの即興曲 D.935 作品142/
ドイツ舞曲D783(アルフレッド・ブレンデル(p))
Schubert
4つの即興曲 D.899 作品90
4つの即興曲 D.935 作品142
16のドイツ舞曲 D783
アルフレッド・ブレンデル(p)
PHILIPS 1972/74年録音
先日作品への敬意を込めて、できるだけ現役世代を聴くように心掛けてアンドレイ・ガヴリーロフを聴いたけれど、時に硬質に無愛想なタッチに違和感があったものです。Alfred Brendel(1931ー捷克?墺太利)は既に引退して、現役時代は盤石の評価を得た人。個人的には廉価盤時代のVOX録音に多く馴染みがありました。これは未だ40歳代のPHILIPS録音、力みのないタッチ、ほとんど恣意的作為を感じさせぬニュアンスに打ちのめされました。叩くような乱暴なタッチはどこにもありません。ガヴリーロフには申し訳ないけれど、全然水準が違う!ファンの方々申し訳ない。誰の演奏でも例外なく感銘をいただける名曲中の名曲だけど、ブレンデルに聴き惚れて全曲あっという間に過ぎ去りました。ピアノにしっかり芯を感じさせる佳き音質。
D.899 作品90。「Allegro molto moderato」(ハ短調)は淡々とした旋律、リズムを刻んで適度な力感を伴って、湧き上がるような推進力を感じさせます。途中切ない憧憬に変遷して、ここのわずかな対比も名残惜しく絶品でした。(9:22)「Allegro」(変ホ長調)は可憐なる無窮動は清潔なタッチに粒立って、、デリケートなニュアンス、心情は微妙に変化を続けます。ラスト弾むようなわずかテンポ・アップもお見事。(4:35)「Andante」(変ト長調)は無言歌とのこと。ちょっぴり切ない微笑みが静かに揺れて、抑制の効いた表現は躊躇(ためら)いがちにつぶやいて万感胸に迫ります。(5:51)「Allegretto」(変イ長調)は儚く散りゆく桜の花びらが清流に漂いつつ、ゆっくり流れ去るよう。ここもほとんど特別な主張を感じさせず、粛々と力みなく自然体の華やかさ、揺れを感じさせるもの。(7:43)名曲が続きます。
D935作品142。「Allegro moderato」(ヘ短調)はちょっぴり劇性を感じさせて、時にせっかくの明るい風情も、陰影に富んだ旋律に哀しみが漂いました。ピアノのタッチには温かい余裕有、もちろん叩くような力みはありません。(11:14)「Allegretto」(変イ長調)は自分の先入観?人生にさようならを告げるような、懐かしく過去を振り返るような名残惜しさ、清潔な寂寥が漂いました。ラストの一節は「さらば」と響きます。(5:48)「Andante」(変ロ長調)著名な「ロザムンデ」の主題による優雅な変奏曲、ここが全曲中一番長いのですね。各変奏曲はていねいに描き分けられ、しっとり楷書の表現による端正生真面目なピアノ。ここも万感胸に迫ります。(11:54)「Allegro scherzando」(ヘ短調)ラストは狂詩曲。リズムは軽快に颯爽流麗、肩の力も抜けて流れよろしい締めくくり、華やかな風情が漂いました。(5:31)最高。
16のドイツ舞曲 D783は初耳だったかな?シンプルに短い、素朴に懐かしい旋律リズムが続きました。(10:51) (2023年3月4日)
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