Schubert 弦楽五重奏曲ハ長調D.596/三重奏曲第2番 変ホ長調D.581他
(ヤッシャ・ハイフェッツ(v)/ベーカー(v)/プリムローズ(va)/ピアティゴルスキー(vc)/レイト(vc))
Schubert
弦楽五重奏曲ハ長調 D.596
ヤッシャ・ハイフェッツ(v)/イスラエル・ベーカー(v)/ウィリアム・プリムローズ(va)/グレゴール・ピアティゴルスキー(vc)/ガーボル・レイト(vc)(1961年)
三重奏曲第2番 変ホ長調 D.581
Bach
シンフォニア第4番ニ短調BWV790/第9番ヘ短調BWV795/第3番ニ長調BWV789
ヤッシャ・ハイフェッツ(v)/ウィリアム・プリムローズ(va)/グレゴール・ピアティゴルスキー(vc)(以上1960年)
Schubert
アヴェ・マリア
ヤッシャ・ハイフェッツ(v)/エマニュエル・ベイ(p)(1946年)
RCA GD87964
週に一度の雑談でございます。
ハイフェッツ(Jascha Heifetzas 1901-1987)は不世出の名人と信じるけれど、彼(か)のサラサラと早いテンポ、落ち着きのない音色と嫌う方もいらっしゃるのですね。「じつはヘタクソ」との罵声を書籍にて拝読したこともあります。出会いは「ツィゴイネルワイゼン」だっけ?Sibelius の疾走なんて、ほんまに感銘を受けた記憶もあります。ワタシはなにを聴いても彼の個性前面!な演奏を愛しております。時代は進んで、RCAの主要音源はほとんどパブリック・ドメインに至りました。中古の安いCDが出現する度、嬉しく入手していた日々が夢のよう。
ハイフェッツの音源は(その気になれば)いくらでも!聴けるように・・・すべて充たされることが、シアワセかい?
一般に浪漫派の交響曲を聴く機会は少なくて、室内楽とかピアノ作品だったら大丈夫、どこまでも歌が止まらない、延々と長大なる弦楽五重奏曲ハ長調 D.596は大好きな作品です。カザルス(v)/ヴェーグ弦楽四重奏団(1961年)の駅売海賊盤は大切な一枚。あちら4楽章計48分、こちら39分、ほとんど1楽章分短い計算は快速テンポを物語ります。方やカザルス(当時85歳)の存在感顕著(+唸り声も)、こちら五重奏なのにハイフェッツのヴァイオリン前面といった(ある意味)似たような趣向、個性は正反対。
この作品のキモは”チェロ二人”=低弦の強化だから、ハイフェッツのソロ+その他伴奏というのは少々異色というか、邪道なのかも。第1楽章「Allegro ma non troppo」から前のめりウキウキするようなハイフェッツが牽引して、歌謡的な旋律を朗々歌って存在感抜群。それは粘着質に豊満なものではなく、素っ気ないほどさらさらしたもの。第2楽章「Adagio」の自在な表情付け、節回しはけっこうアツくて演歌風、纏綿と歌っても”もっと落ち着いて!瞑想が足らん”との声はあるかも。なんせカザルス;13:28/ハイフェッツ;10:22ですもん。
第3楽章「Scherzo」の躍動、疾走は文句なしでしょう。中間部トリオの「Trio: Andante sostenuto」との対比もおみごと。終楽章「Allegretto」はたしかに低弦(チェロ)が歌っているのに、ハイフェッツの妙技(細かいパッセージ)ばかり聴こえます。やや急ぎ足な付点リズムは前楽章ほどに説得力はないかも。浮き立つような賑々しい風情は悪くないと思いますよ。最終盤のアッチェランドもいや増す快速ぶり。全体として”長い!”といった印象は薄れて、ウキウキ美しい旋律が浮き上がって、これはこれで愉しい演奏でしょう。音質は上々、1960年前後のRCA録音は立派です。
Schubert のトリオは第1番 変ロ長調が未完らしいから、これが実質上唯一のもの。これもハイフェッツのソロ+その他伴奏といった演奏です。屈託のない清楚な旋律連続、喜びの歌声に弾む第1楽章「Allegro moderato」〜ここもやたらとヴァイオリン大活躍!目立ちます。第2楽章「Andante」のシンプルかつ陰影のある可憐な歌〜そのまま歌詞をつけて歌いたくなろような〜第3楽章「Menuet」は典雅なワルツ、第4楽章「Rondo」は上機嫌な歩みにハイフェッツのテクニック(快速パッセージ)が映えました。
Bach のオリジナルは鍵盤作品。3声部を弦3人に振分って、Bach はそれでも原曲のテイストを失わないもの。さすがにハイフェッツ突出!みたいなことはなくて、これは対等平等なもの。アンコールはいささか昔の録音(1946年)、Emanuel Bay(1891-1968)露西亜出身のピアニストは主にハイフェッツの伴奏として知られております。馴染みの甘美な旋律は低音から始まって、重音へ繰り返し、これがテクニックの見せどころなんです。ベイのピアノは華麗ですよ、充分。 (2015年7月11日)
【♪ KechiKechi Classics ♪】
●愉しく、とことん味わって音楽を●
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