Schubert 八重奏曲ヘ長調D806
(ボスコフスキー(v)/ウィーン八重奏団)


DOCUMENTS 「GREAT CHAMBER MUSIC」 224074(-321/F) Schubert

八重奏曲ヘ長調 D806

ボスコフスキー(v)/ウィーン八重奏団(1953年ライヴ)

ヴァイオリンとピアノのための二重奏 イ長調 D574

フランコ・グッリ(v)/カヴァッロ(p)(1956年ライヴ)

DOCUMENTS 「GREAT CHAMBER MUSIC」 224074(-321/F)10枚組1,790円
(AURA 189-2 300円で購入したものは処分済)

 2006年再購入したお気に入りの一枚。ERMITGE/AURA音源復活室内楽版10枚組のうち、既存手持ち3枚ダブっていて処分した挙げ句だから、きちんと聴いてあげましょうね。AURA(=旧ERMITAGE)の音質は、いつもながら意外と聴きやすいモノラル録音。ウィーン八重奏団 Wiener Octett は1947年、当時ウィーン・フィルのコンサートマスターだったヴィリー・. ボスコフスキーと首席クラリネット奏者だったアルフレート・ボスコフスキーの兄弟を中心に結成された、とのこと。

 個人的嗜好としてSchubert は交響曲より、ピアノ、室内楽が楽しめます。この八重奏曲は46分ほどの演奏時間を誇る大曲〜いつもながら「もう旋律(歌)が次々湧き出て止まらないよ」風作品です。第1楽章だけで15分〜交響曲第9番ハ長調にたいへんよく似て(旋律といい、曲の構造といい)おります。でも、こちら所謂、嬉遊曲/セレナードでしょ。なんといっても軽快で、悠々として伸びやかな表情が楽しげでした。繊細なるヴィヴラートが床しい。

 第2楽章「アダージョ」は、クラリネットの穏健穏和な表情、茫洋として深いホルン、そして纏綿と歌うチェロが・・・次々と懐かしく、時に切なく歌い交わします。第3楽章は溌剌としたスケルツォ楽章か。クラリネットが優しく登場すると、牧歌的な雰囲気が深まりますね。リズム感は優雅で厳しくならない。第4楽章は、まるでHaydnのようなノンビリとした主題がつぎつぎ変奏されて、いかにもウィーン風。(もちろんHaydnより変化は複雑自在だけれど)ホルンのソロ(誰ですか?)がゆったりと雄弁です。それにチェロが負けじとたっぷりと歌っちゃう。

 第5楽章「メヌエット」はシンプルだけれど意外と陰影の深い旋律であって、静謐安寧感が強い楽章です。終楽章の開始は嵐の接近のようであり、不安な表情から一転、晴れやかなフィナーレが足取りも軽くやってきました。コントラバスのリズム感はたしかであり、クラリネットは常に静かに微笑んでいるようでもあります。

 〜嗚呼、楽しい!クラリネットとホルンが全体の色彩を担当しているんですね。ふくよかでゆったり暖かいアンサンブルは、まさにミニ・ウィーン・フィルであります。

 イタリアの名手、フランコ・グッリのヴァイオリンはほんま艶やかに美しい・・・この「グラン・デュオ」は、シンプルなピアノの繰り返しから、やがて深い眠りから覚醒するようにヴァイオリンが立ち上がります。夢見るような優しい旋律であり、華やかで歯切れの良いヴァイオリン。演奏者としては妙なカップリングのCDだけれど、作品的にはなんの違和感もなく、両者とも素敵でゆったりとした作品であり、演奏表現でもあります。

(2006年11月17日)


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