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Ibert 管弦楽曲集(佐渡 裕/コンセール・コロンヌ)


NAXOS 8.554222 Ibert

バッカナール(管弦楽のためのスケルツォ)
嬉遊曲
祝典序曲
海の交響曲
交響組曲「寄港地」

佐渡 裕/コンセール・ラムルー

NAXOS 8.554222 1996年録音  1,000円で購入(日本語解説付き)

 2005年再聴。京都出身のエネルギッシュな巨漢指揮者・佐渡 裕は、出身地ご近所のオバはんに「裕ちゃん、なにやってんの」と訊かれ、「新日(本フィル)の・・・」と言いかけたら、「ああ、新日本プロレスね」と理解されたという素晴らしきキャラクター。相変わらずの大活躍ぶりで、パリでは大人気なのかな?録音も続々登場するようです。このCDは佐渡のデビュー盤でして、コンセール・ラムルーの自主制作録音をNAXOSが発売したそうです。「NAXOSでは一番売れたCD」とのことらしいが、ほんまでしょうか。

 以下1999年(もう5年以上前だ!)のワタシは手放しの評価ですな。こうして心身共に「耳年増」度を深めていく現在のワタシが聴いても、(その共感に)違和感はありません。旧くはフレスティエ、デルヴォー、マルケヴィッチ(この方は少々硬派)辺りで小粋な演奏を聴かせてくれた、コンセール・コロンヌ久々の新しい録音(初めてのディジタル録音ですか?)でもありました。(やや乾き気味だけれど、鮮明な音質)

 LONDON 223E 1159再聴のキッカケはマルティノン/パリ音楽院管(1960年)による「嬉遊曲」でして、華やかで賑々しい響きが官能にまで昇華されているような、輝くような演奏!嗚呼、佐渡盤はこんなんじゃなかったよな、と・・・でも、けっこう楽しめますよね。それは熱気であり、若き勢いの魅力だと思います。

 バッカナール(「剣の舞」に似てますよね)、祝典序曲(日本国紀元2600年=1940年記念作品)辺りの熱狂的盛り上がりはたいしたものです。若手はそれで良いと思うんです。数年前のワタシは「ラムルーの響きが透明で繊細」「響きが薄くて腰がなくてフランスの典型のようなオーケストラ。でも、洒落た響き(弦も管も)があちこち」との評価だけれど、それはそれとしてその通りだけれど、”大人の粋”とか”官能”には少々足りない感じ。技術的に特別に優れている、とか、アンサンブルが驚異的!方面を売り物にするオーケストラではない。

 嬉遊曲は意欲がやや空回り(マルティノン盤の羽目のハズし方を経験して初めて気付いた、というか、遊びが足りない)、「寄港地」はしっとり美しいが、若者に深く妖しい世界は表現しきれないのは当たり前でしょう。清潔で爽やかな魅力ありながら、(贅沢言えば)カスタネットも入る「ヴァレンシア」にはもっと濃厚な匂いと、明快なリズム感が欲しいところ。

 「海の交響曲」(1931年)って、交響曲とは名ばかりの14分ほどの作品だけれど、サキソフォーンがセクシーなんです。Debussyの「海」(1903-1905年)とは一風異なった、小味で粋な作品でした。コンセール・ラムルーの要請で決まった演目なのだろうが、佐渡向けの作品かどうかは少々疑問ながら、存分に楽しめる一枚であることを再確認しましたね。これからのいっそうの活躍を祈ります。ウワサのナマ・パフォーマンスも一経験したいもの。(2005年1月28日)


 「日本人ならお茶漬けやろが!」と、かつて(かなり古いか)ラモスも云っていたように、「日本人なら日本の若手を応援せずしてどうする」とリキみたいところ。1998年の2月に店頭で大々的に宣伝していたところを、素直に1,000円で買いました。

 佐渡がパリで人気らしいのは、テレビで見て薄々知っていましたが、本当みたいですね。久々のコンセール・ラムルーの新録音、しかもNAXOSの廉価盤、渋いイベールでデビューなんて最高のパターンでしょ。

 佐渡は椎名誠が太ったみたいで良い顔していますし、ラムルー、コロンヌ、パドルー辺りのパリの地元オーケストラ(ややローカル色が強い)は以前から好きなんですよ。嬉遊曲、寄港地なんかは曲目的にも注目。珍しく発売日を待って買ったCDです。期待大!

 ・・・・・・で、期待通りの元気よく、ストレートな演奏の連続でおおいに気に入りました。

 「バッカナール」は、いかにも佐渡が汗水飛び散らせて、全力の指揮ぶりが目に浮かぶよう。「嬉遊曲」は、遊びというか余裕が足りないようですが、若手はこれでいいんですよ。ラムルーの響きが透明で繊細ですしね。

 「祝典序曲」「海の交響曲」は初めて聴く曲ですが、けっこうガッシリとした厳格な旋律が躍動する名曲だと思います。佐渡はこの曲にはあんまり慣れていないのかな、ちょっとまとまりとメリハリは不足気味。でも、じょじょに後半にいくにしたがって、熱を帯びるところは実演向きと推察。サキソフォーンなんかセクシーな音色ですね。

 「寄港地」は、そりゃパレーなんかの練り上げられた演奏にはかないませんよ。でも、なんと爽やかで、ていねいなアンサンブルでしょう。(ちょっと薄味だけど)じゅうぶん美しい演奏だと思います。

 コンセール・ラムルーは、響きが薄くて腰がなくてフランスの典型のようなオーケストラ。でも、洒落た響き(弦も管も)があちこちで聴かれて、これからの復活が期待されます。

 その後、佐渡はエラートから「メジャー・デビュー」(なんちゃって)CDを出してますけど、手兵とNAXOSにバリバリ録音して欲しいもの。ラヴェルなんてどうでしょう。まだまだ若いんだし、協奏曲のバックなんかも意欲的に録音して欲しいですね。

 ラムルーとともに日本に来い!万難を排して演奏会に行きまっせ。(岡山まで来てね。1999年)


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written by wabisuke hayashi