ルドルフ・バルシャイ/ヴィオラ小品集(1954-56年)


 ICAB5136 Schumann

おとぎの絵本 作品113(Nicht schnell-Lebhaft-Rasch-Langsam, mit melancholischem Ausdruck)

Prokofiev

バレエ音楽「ロメオとジュリエット」作品64より5つの小品 (Barshai編)
Act I: The street awakens-Act III: Dance of the Antilles Maids-Act I: Masques-Act II: Friar Laurence-Act II: Death of Mercutio

Cecil Forsyth(1870-1941英国)

ケルトの歌*

Chopin

練習曲 ヘ短調 作品25-2(Barshai編)

Girieg

春に寄す 作品43-6

Ravel

亡き王女のためのパヴァーヌ

Debussy

フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ
Pastorale-Interlude-Final
亜麻色の髪の乙女
「小組曲」より「小舟にて」

ルドルフ・バルシャイ(va)/ウラディーミル・シュライブマン(p)/セミョン・ストゥチェフスキー(p)*/アレクサンダー・コルニーフ(fl)/オルガ・エルデリ(hp)

ICA Classics ICAB5136 1954-56年録音

 Rudolf Barshay(1924- 2010露西亜→以色列?)は指揮者になる前ヴィオリストとして活躍していたんだそう。室内楽にけっこうな物量の録音が探せます。これは旧ソヴィエット時代の録音、幸いどれも状態のよろしいモノラル録音。しっとりとしたヴィオラの中音域、深々として落ち着いた音色や超絶技巧をたっぷり堪能できます。ProkofievとChopinは自らの編曲とのこと。

 夢見るように遣る瀬ない旋律を誇る「おとぎの絵本」はヴィオラ作品として代表的な作品でしょう。バルシャイのヴイオラは落ち着いて、たっぷり歌って浪漫派の気紛れなテイストも引き立つもの。Raschに於ける細かいパッセージは超絶技巧でしょう。ラスト、mit melancholischem Ausdruckも纏綿切々と歌って陶酔のひとときは名残惜しい。(3:16-4:13-2:20-5:03)デリケートな伴奏を付けているVladimir Shraibmanの詳細情報はネットから探せませんでした。「ロメオとジュリエット」は馴染みの旋律より抜粋、表情豊かなボウイングに、くぐもって太い音色にピチカートやフラジオレット、重音奏法が特殊な効果を出して、馴染の旋律を怪しい風情に仕上げております。Dance of the Antilles Maidsは弱音器付?鼻声のような抑えた音色も印象的。Masquesはユーモラス、Death of Mercutioは低音を強調して荒々しく、音色の変化も多彩でした。(1:36-2:27-2:26-2:41-3:10)

 「ケルトの歌」は初耳、古老のしみじみ懐かしいモノローグのような切ない旋律でした。(8:02)Chopinの練習曲はオリジナルの姿から遠く、ヴィオラの指運練習のような姿に変貌。(1:30)Griegは清涼にデリケートな歌。ここの重音奏法もおそらく凄いテクニックを駆使しているのでしょう。(3:18)Ravaelによる著名な「パヴァーヌ」は思わぬ低音が重厚な風情を醸し出して、華奢な女王に非ず、ちょっと豊満な貫禄と色気、落ち着きあり過ぎでしょう。後半オクターブ上げた旋律はオリジナルの風情が漂いました。おそらくここも凄いテクニックと類推。(6:05)

 Debussyソナタは静謐に神秘的なテイストを持った名曲。アレクサンダー・コルニーフ(fl)はモスクワ室内管弦楽団のメンバーでしょう。太く明瞭な音色は仏蘭西の風情とは大きく異なります。ここのヴィオラも際立った個性を発揮して、デリケートなアンサンブルの主役を張っておりました。Finaleのつぶした音色も効果的。(7:40-5:00-4:47)誰でも知っている「亜麻色の髪の乙女」はフラジオレットが夢見るような音色で始まって。高音はたっぷり甘く歌います。懐かしい風情満載な「小舟にて」はBu"sserの管弦楽編曲に負けぬ魅力、表情も音色も多彩な変化を見せておりました。(3:22ー5:33)

(2023年2月11日)

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written by wabisuke hayashi