R.Strauss 組曲「町人貴族」(フリッツ・ライナー/ピッツバーグ交響楽団1946年)/
ホルン協奏曲第1番変ホ長調(ブレイン/ガリエラ/フィルハーモニア管弦楽団1947年)


DOCUMENTS 223514-321/D  CD5  10枚組1,700円程で入手

R.Strauss

組曲「町人貴族」作品60 Va

フリッツ・ライナー/ピッツバーグ交響楽団/サミュエル・サヴィウ(v)(1946年)

ホルン協奏曲第1番変ホ長調

デニス・ブレイン/アルチェオ・ガリエラ/フィルハーモニア管弦楽団(1947年) 

DOCUMENTS 223514-321/D CD5 10枚組1,700円程で入手(2007年/後1,000円程まで価格下落確認/ネットでも聴けます

 毎度同じネタばかりで恐縮だけれど、21世紀も10年を経、CDは時代遅れの媒体となりつつあります。著作隣接権の切れた歴史的音源がネットで拾え、それをデータで聴く時代となりました。基本、ありがたい時代となった、とするべきでしょう。LP初期は一枚で初任給が吹っ飛んだ!という伝説ともかく、ワタシがこどもの頃は未だ贅沢品だった(だから一枚1,000円の廉価盤を大切に聴くしかなかった)し、1980年代CDの出始めは3,000円中盤でしょ?それがとうとう”無料”ですもん(復刻状態をうるさく言わなければ)。2009年前半、集中的に歴史的音源を(オークション)処分したのは、上記要因と”音質劣悪はちょっと勘弁してくれ”的感慨が深まったから。

 クラシック音楽というジャンルは”保ち”がよろしくて、50年前のステレオ録音というのも充分現役です。少々音質苦しくても、妙に説得力ある個性であったり、演奏スタイルの変遷を感じ取るのも一興、2010年にオーディオ環境を変えたのをキッカケに、こんな歴史的音源も愉しめるようになりました。在庫を厳選したということもあるんだけれど。一般にR.Straussみたいな近代オーケーストレーションの華やかなる作品は、良好なる音質で聴いたほうがよろしいに決まっております。この1946年太古録音をわざわざ聴かんでも、もうちょっとマシな1956年(立派なステレオ/シカゴ交響楽団)録音はちゃんと棚中にあります。(でも、収録曲数が少ない?「リュリのメヌエット」「クーラント」が収録されないみたい)

 でもね、せっかく入手したCDはきちんと聴いてあげるのが、音楽を愛する者の基本的矜持。フリッツ・ライナーは1938〜48年迄ピッツバーグ響の音楽監督を務め、CBSでけっこうな量の録音を残しております。おそらくこれもそう。音質は時代相応、というか、ま、あまりよろしいほうじゃない。ほかライナーの同時期録音もぜんぶ、例外なくこんな感じ。ちょっと悪質音質に耐えて聴いてあげましょう。

   ”近代オーケーストレーションの華やかなる作品”としての人気は映画「2001年宇宙の旅」辺りで確立したのか?時(1968年)あたかもアナログ最盛期を迎えつつあって、存命だった巨匠世代がつぎつぎと新しい録音を発表していた頃。「ツァラ」とか「英雄の生涯」辺りと比べると「町人貴族」は知名度も、演奏会でのレパートリーとしても地味な存在なのでしょう。筋書き及び内容はこちらを参照のこと。一般には歌劇「ナクソス島のアリアドネ」の劇中劇として構想され、その不評から独立させた、という経緯が知られているのみ、CDなんかの売れ行きは悪いんじゃないか?と想像します。

 基本室内楽編成なのに、やたらと打楽器+ハープ+ピアノが加わって多彩というのが変則でしょう。フランス・バロックの引用もある古典的佇まいの作品であり、優雅なるサロン音楽を気楽に聴いている感じ。ワタシはこんな起承転結のはっきりしない、だらだらとエピソードが続くような作品が好みなんです。剽軽な擬バロック的序曲から弦楽アンサンブルの集中力はたいしたものであり、やがて大仰なる金管が加わって優雅、複雑、近代管弦楽作品のテイストが入り交じって開始。続く、メヌエットも旧き良き雰囲気満載の牧歌的フルート活躍して、どこか怪しい。

 「剣術の先生」は金管の野太いソロ〜ピアノ〜弦と引き継がれる旋律が”大衆的かつユーモラスなWebern”を想起させ、「仕立屋の登場と踊り」は前曲の味わいそのままソロ・ヴァイオリン(サミュエル・サヴィウ)超絶技巧大活躍!リズムはノリノリの(ちょっとつっかかるような)ポロネーズであります。「リュリのメヌエット」は優雅ゴージャスであって、原曲(なんの作品か知らぬが)フランス・バロックから大きく離れたスケールたっぷりの静謐な歌。次が筋書きより演奏効果を求めてラスト「クーラント」が配置され、これは晴れやかなワルツであり、粋なサロン音楽が達者なヴァイオリンを中心に再現されました。「クレオントの登場」(やはりリュリの編曲だそう)はは囁くような優しくも神秘的な弦の開始から、中間部では軽妙なる木管の対話が対比。ラスト堂々と盛り上がって、往年のフランス・バロックの味わいが残っております。

 「第2幕への前奏曲(間奏曲」〜弦の主旋律に、木管群の複雑かつユーモラスな対話が絡みます。ラスト「宴会の音楽(ターフェルムジーク)と若い料理人たちの踊り」が約10分に及んで複雑に曲想が転変する長い部分となります。華やかに打楽器と金管も絡んで大きく盛り上がって終了。このCDの編集は粗雑でラストがちょっぴり尻切れになっておりました。

 ホルン協奏曲第1番変ホ長調は名手デニス・ブレインの旧録音であって、音質も意外とマシ。例の如し豪放なるスケールの大きなホルンがのびのび、晴れやかな表情で歌っております。ガリエラのバックも(やはり、例の如し)絶品。

(2010年3月13日)


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written by wabisuke hayashi