Rodorigo ある貴紳のための幻想曲/Ponce 南の協奏曲/
Bocchrini ギター協奏曲ホ長調(アンドレアス・セゴビア(g))


UCCG-3500 Rodorigo

ある貴紳のための幻想曲

Ponce

南の協奏曲

Bocchrini

ギター協奏曲ホ長調(チェロ協奏曲ニ長調G.479よりCasado編)

アンドレアス・セゴビア(g)/エンリケ・ ホルダ/シンフォニー・オブ・ジ・エア

DG UCCG-3500 1958年録音

 2015年にちょろ聴きしたけれど、腰を据えて再聴いたしました。これは米DECCA録音、音質は21世紀に現役水準でした。Andres Segovia(1893-1987西班牙)は現代ギター奏法の父なんだそう。ギターの音量は小さいので、いずれの作品も少数の木管+弦という小編成のバックが効果的に配置されました。こういった音楽に大音響には似合いません。

 幻想曲はGaspar Sanz(1640-1710西班牙)の残した舞曲を元にセゴヴィアのために作曲された作品とのこと。初演は1958年Enrique Jorda(1911-1996西班牙)が音楽監督を務めていたサンフランシスコ交響楽団(在任1954-1963年)。著名なアランフェスとは趣が違って、牧歌的に落ち着いた昔の舞曲が連続、伴奏はピッコロ、フルート、オーボエ、ファゴット、トランペット+弦のみ。セゴビアの技巧は味わい深く完璧です。
 第1楽章「ビリャーノとリチェルカーレ(Villano y ricercare)」は古式床しい、荘厳に落ち着いた舞曲から始まって、物哀しいギター・ソロが歌います。トランペットのオブリガートが印象的。(4:49)
 第2楽章「エスパニョレータとナポリ騎兵隊のファンファーレ(Espanoleta y fanfare de la Caballeria de Napoles)」静かに寂しい緩徐楽章。Respighiの「リュートのための古代アリアと舞曲」に似ていて、出目は同じかも。それが変奏して、主にオーボエがギターとともに活躍しておりました。中盤はテンポ・アップして軽快な明るい表情を見せました。そして冒頭の静寂が戻って名残惜しく終わる。(9:16)
 第3楽章「たいまつの踊り(Danza de las haches)」なかなか勇壮なリズムを刻んで、トランペットも活躍。微妙に哀しみの影を感じさせるスケルツォ。(2:12)
 第4楽章「カナリオ(Canario)」これはカナリアの啼き声なのでしょう。いかにも民族的、楽しげにリズミカル、ユーモラスに闊達なニ長調。(5:22)

 Manuel Ponce(1882-1948墨西哥)の作品もセゴビアのためのもの。1941年初演。「南」とはグラナダをはじめとするスペイン南部を意味するそう。弦と木管4本+ティンパニ(→これがなかなか認識できない)の伴奏。トランペットはありません。
 第1楽章「Allegretto」こちらは西班牙風情満載にオーボエとフルートに導かれたモダーンな旋律、穏健に妖しく始まりました。中間部のカッコ良いソロ・カデンツァは聴きもの。(13:01)
 第2楽章「Andante」はなんとも遣る瀬ない、寂しげな緩徐楽章。やがてギターのアルペジオに乗ってオーボエ、フルートがオリエンタル風味に懐かしく歌います。(6:27)
 第3楽章「Allegro moderato e festivo」は剽軽な躍動にリズミカル。表情は晴れやかに、フルート、オーボエの合いの手も軽妙でした。(6:01)

 Boccheriniは米DECCAのオリジナルLPには収録されていなかったもの。オーボエやフルートが加わった室内楽伴奏のようです。第1楽章「Andante non tant」からオリジナルはチェロとは信じられぬ控えめにデリケートなソロ。シンプルな風情は朗らかに、陰影ある旋律が落ち着いて魅惑の旋律。カデンツァはしっかり西班牙風ですよ。(8:51)第2楽章「Andante cantabile」はそっと息を潜めるような緩徐楽章。やがて哀しげな足取り旋律が支配的になりました。ここの伴奏は弦のみ。(6:15)第3楽章「Allegretto piu mosso」快活な三拍子に乗って晴れやかに夢見るような旋律。カデンツァのギターはカッコよいですよ。(6:48)

(2025年1月11日)

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written by wabisuke hayashi