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歴史的音源処分/入手の顛末


 2009年でオークションでのCD処分は3年目を迎えたが、ここ最近「歴史的録音」の処分を加速させております。その数300枚ほど。21世紀とともに出現したHISTORY(現DOCUMENTS)10枚組は当時3,000円前後、これがクラシックCD全体の価格破壊を引き起こしました。原材料であるCDの価格下落、そしてCD化するディジタル機器そのものが大衆化し、更に著作(隣接)権の消滅により無料で音源が利用できることとあいまって、この相場下落が実現いたしました。

 やがて不況の色濃く、更に時代は”データ・ダウンロード”へと移行し、同様のCDボックスは2,000円以下(10枚でっせ)となり、既存音源を膨大に抱えるメジャーレーベルもその価格帯へと追随いたしました。エエ時代になったのか、それとも音楽を大切に聴かなくなったのか(未踏峰ミチョランマもあちこちで話題に)・・・ワタシはそれなりに新しいCDも購入しているが、所有枚数は激減し、収納棚はスカスカとなって参りました。まだまだ処分しますよ、精力的に。人生に音楽を聴く時間は、そう潤沢には残っていないんです。

 MEMORIES MR2028/34 7枚組 998円2009年3月出張帰り、珍しくレコード屋に(一年ぶりに)寄ったらフェリックス・ワインガルトナーのBeethoven 交響曲全集7枚組が998円(MEMORIES MR2028/34)、Beeやんも歴史的録音も処分真っ最中で避けていたのに、思わず購入したのは「ハンマークラヴィーア」の管弦楽曲版を聴きたかったから。この復刻は針音盛大にハイ上がりでヒステリックな音質に閉口したが、演奏そのものはオーソドックスで円満なスタイルが端正で気品がある。珍しく購入3日間で全部聴き終えました。

 おそらくは、この間Wagnerを集中的に聴いていて、苦手Beeやんへの耐性が出来上がったのでしょう。けっこう愉しんで聴き通せましたよ。但し、この太古録音を座右に置いて日常的に〜ということにはならぬでしょう。交響曲第7番など、聴いていてかなり、そうとうツラい音。やがてオークションにて処分することになるのかも。棚中には、良好なる音質のBeethoven 交響曲全集がいくつも残っているんです。なんという傲慢な音源への接し方!という自戒の念はありますよ、ちょっとだけ。

 時代は”データ・ダウンロード”となり、著作(隣接)権切れの歴史的音源はネット上にて(有料無料)入手可能です。データ圧縮した音質云々の問題は、歴史的音源ではあまり気にしないことにしております。じつはワタシは時代遅れ人間故、メモリー・オーディオは使っていないんです。パソコンで音楽を聴くといった習慣もない。CDというオーデイオ媒体は、ワタシの寿命中おそらく保って下さることでしょう。.mp3も.wmaも、データ変換して.wavにすればCDRに焼けるんです*。歴史的音源は、必要に応じてぼちぼちそうしようかな、と。

 ある日、オークションを眺めていたら著名歴史的音源DVD4枚分(.mp3)焼いて、送料込1,000円で出ておりました。DVDって4gbほどの容量でしたっけ?ものは試しと送ってもらったら、この間処分した歴史的録音CDボックスの音源がたくさん、ごっそり含まれておりました。上記、ワインガルトナーの交響曲も5曲ほど入っておりました。ダウンロードする手間を1,000円でお願いした、といった感じか。

 なんか罰当たりな感じ。CD製品としての衣装って、もう郷愁でしかないのかな。

<追記>

 届いたDVD中、いくつか馴染みの音源の音質水準を確かめるべく、.mp3→.wav変換(何の設定の要らぬ操作簡単なフリーソフトがあるんです)、それを愛用のCD焼き込みソフトで作業しようと・・・できまへん。これまで数度の経験ではなんの痛痒もなく、順調にできていたんんだけれど。いろいろ調べてみると.wavファイル変換の設定があって、いつも愛用のシンプル変換ソフトでは元音源そのままで(CDで焼ける状態に)変換ができない、ということらしい。

 で、ネットでもう少し機能がありそうなフリーソフトを検索、いままで上手くいっていた音源設定に(やや)似たように変換設定〜無事、焼けました!いやはや、苦労したな。こんな作業手順も楽しみのひとつなんだけど。

 嗚呼、とうとうジャケデザインの楽しみもなくなったなSchubert 交響曲第9番ハ長調(遺作)〜ウィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィル(1951年)・・・子供の頃、LPレコードで痺れた、静謐かつ白熱した演奏です。(CDでは再聴機会がなかった)う〜む、昔の記憶だから怪しいが、ややスカのような、少々気が抜けたような、そんな音質の感じか。もともとかなり良好な音質だったはずだけれど。でも、.mp3のままメモリー・オーディオのイヤホンで聴いてもいっしょだ、ということですよね。せいぜい想像力を働かせて、ノーミソ内で補完して聴いておきましょう。

 更に再聴確認、その筋のオーディオ通にはバカにされるかも知れないが、ま、それなりにちゃんと聴ける、ということです。第1楽章の深遠さ、第2楽章は途中、異様にテンポを落として陶酔境に至る感激蘇りました。第3/4楽章のリズム感の良さも特筆すべきでしょう。”これで出会った”というだけではなく、ほんまにこの演奏は図抜けた魅力に溢れて、作品の価値を高めておりました。

(2009年3月27日)

【♪ KechiKechi Classics ♪】

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written by wabisuke hayashi