Brahms /Dvora'k「舞曲集」(ライナー/ウィーン・フィル)


FIC(英DECCA)  ANC44
Dvora'k

スラヴ舞曲 作品46-1/3/8、作品72-2/1

Brahms

ハンガリー舞曲 第5/6/7/12/13/19/21/1番

フリッツ・ライナー/ウィーン・フィルハーモニー

FIC(英DECCA 非ライセンス盤)  ANC-44  1960年録音  1,000円で購入した(うぅ、もったいな!)、はず。

 「弾丸ライナー」は大好き。あの小柄で眼光鋭く、意地悪そうな顔も実にいい感じ。CSOの演奏はいうまでもないが、数枚残されたウィーン・フィルとの録音は貴重です。Verdiのレクイエムは激安で復活しないものでしょうか。かつては有名な録音だったんですが、若い人はもう知らないかな。

 スラヴ舞曲は名曲だなぁ。最初、ハ長調ではなんかオーケストラが重いんですよ。ライナーが頑固なオーケストラを叱咤激励して引っ張っている感じ。(後年、バーンスタインが同じ思いをする)次の変イ長調になると、のんびりしたところのチェロ、木管の優しい歌がかなりスムーズ。でも、アップテンポのところは勢いがつくまでにちょっと時間がかかって、そのうちとうとうライナー・ペースに。

 残り3曲は、すっかりライナーの術中にはまって強引で、奥行きがあって、よく歌う演奏になりました。ホ短調のヴァイオリンなんて、泣けるくらい繊細な節回し。(この音色はぜったいほかでは聴けない)ウィーン・フィルのユルフンをライナーがぎゅっと引き締めてますね。かなり集中したアンサンブル。テンポは想像よりずっと普通で、むしろ遅いくらい。

 ハンガリー舞曲もテンポの揺れと、分厚い響きのド迫力、繊細な弱音の対比が、もう最高。リズムが明快で、こんなスッパリとしたリズムのウィーン・フィルも珍しい。しかも、柔軟さも失ってないし、華やかさも健在。よ〜く知っている曲ばかりだけど、こんなにウキウキとノッて楽しめる演奏も滅多にないでしょう・・・・・・・と、ここまで書いて思い出したけど、ライナーってハンガリーの人でした。おクニものなんですね。

 さすがの自信。Brahms もあわてず、騒がず、確信に満ちたテンポ。録音は最新のようにはいかないけれど、往年のDECCA名録音。人工的ではありますが、奥行きや楽器の位置関係も感じられます。ちょっと静謐さは欠く。収録43分はもったいない。(これがオリジナル収録です)

 CSOも凄い。しかし、ウィーン・フィルもライナーとは異質の組み合わせながら、両者の美しいところが融和した、立派な一枚。いつもはPILZを擁護するワタシですが、ショルツ/ロンドン・フェスティヴァル管の全曲盤ではまったく歯が立たない。このCDに対峙できるのは、唯一カラヤン/ベルリン・フィルでしょう。


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written by wabisuke hayashi