Ravel バレエ音楽「ダフニスとクロエ」/ラ・ヴァルス
(マニュエル・ロザンタール/パリ・オペラ座管弦楽団/フランス国立放送合唱団)


Disques Ades 14.074-2 Ravel

バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲)
ラ・ヴァルス

マニュエル・ロザンタール/パリ・オペラ座管弦楽団/フランス国立放送合唱団

Disques Ades 14.074-2 /Accord 476 1080 1957-59年録音

 Manuel Rosenthal(1904ー2003仏蘭西)はRavel直系の弟子。ややオン・マイクに定位は不自然(ハープや声楽、時に打楽器が前面に浮き出る)時代相応の濁りもあるけれどかなりの解像度、各種打楽器の存在感もリアル、細部緻密に描き込まれた華やかな名曲をたっぷり堪能できました。

 「ダフニス」初演は1912年ピエール・モントゥーの指揮によるロシア・バレエ団、練習不足もあって評判はよろしくなく、当初演奏機会にあまり恵まれなかったとはWikiからの情報、現在では屈指の人気を誇る長大なる「舞踏交響曲」。ギリシア神話を元にした筋書きらしい。(大昔岩波文庫を読んだけれど記憶雲散霧消)

 第1部 序奏と宗教的な踊り(3:45)宗教的な踊り(6:13)若い娘はダフニスの気を引こうとする - 全員の踊り(4:01)第1場 ドルコンのグロテスクな踊り(2:13)ダフニスの優雅で軽やかな踊り(5:09)リュセイオンの踊り(1:39)海賊の登場(1:54)ゆるやかで神秘的な踊り(6:10)第2場 序奏(3:23)戦いの踊り(3:34)ブライアクシスは捕虜を連れて行くよう命ずる(0:51)クロエの哀願の踊り(3:51)突然、雰囲気は異常に(2:12)第3場 夜明け(5:45)老いた山羊飼いラモン - パントマイム(5:34)全員の踊り - バッカナール(4:28) トラック分けは音源によって微妙に違って、自分がファイル名から拾った題名は翻訳も自信はありません。三管編成ですか?14種多種多様な打楽器、ハープも2台、混声4部合唱、ホルン、トランペット(舞台裏)ピッコロ、小クラリネット(舞台上)の別働隊も必要とのこと。実演を拝見する機会がないので、その様子は想像するしかありません。

 なんせ細かい音型連続、デリケートにフクザツな各声部の絡み合い、精緻精密なアンサンブル必須、実際そんなクールな方向で成功している演奏もありますよ。こちらパリ・オペラ座管弦楽団はけっしてかっちりしていないけれど、この微妙に味わい深い緩さ曖昧さ。オーケストラや声楽は(ド・シロウトは期待したい)これぞ仏蘭西!の雰囲気に充ちて、弦は妖しいニュアンスに富んで全編芯のない軽妙な響き、薄い金管、びろびろに甘いホルンのヴィヴラート、セクシーに頼りない木管が堪能できます。冒頭の「序奏と宗教的な踊り」辺りから声楽の妖しい風情、もうこれは現在ほとんど絶滅した色彩にたっぷり充たされて、金管も薄く軽い。危うい神秘のサウンドに包まれて陶然といたしました。第2部に入っての熱気とテンポ・アップ(「戦いの踊り」)第3部「夜明け」は抑制気味、「老いた山羊飼いラモン」(このフルートは絶品!)〜「全員の踊り - バッカナール」への賑やかな迫力は魅力的でしょう。こんな表情豊かなメルヘンや情感、ストーリーを感じさせる演奏も久々、すっかり忘れられた音源だけど、いままでいろいろ聴いたなかではヴェリ・ベストを争う演奏。

  (Accord 476 1080には)ラ・ヴァルス収録。これはモノラル録音?音質は少々落るというか、それなり鮮明だけどおもちゃのような響き。かっちりとしたワルツに薄いサウンド大爆発、これはこれで雰囲気も色気もたっぷり。(17:18)

(2024年7月20日)

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written by wabisuke hayashi