R.Strauss 交響詩「英雄の生涯」/交響詩「マクベス」
(セバスチャン・ヴァイグレ/フランクフルト歌劇場管弦楽団)
R.Strauss
交響詩「英雄の生涯」(2011年ライヴ)
交響詩「マクベス」(2013年ライヴ)
セバスチャン・ヴァイグレ/フランクフルト歌劇場管弦楽団/インゴ・デ・ハース(v)
Oehms OC888
この歌劇場のオーケストラはほとんど聴いていなくて、記憶ではミヒャエル・ギーレンによるMahler 交響曲第8番 変ホ長調くらい(1981年ライヴ)記憶では立派な演奏だったはず。Sebastian Weigle(1961-独逸)は日本でもお馴染み、オペラ畑の人みたいです。「英雄の生涯」は4管編成、なんせデーハーに大見得を切って、それに相応しいパワフルなオーケストラに賑々しい表現が似合う(例えばカラヤンとか/駅売り海賊盤が恥ずかしい)。みごとなIngo de Haas(1969-独逸)のヴァイオリン・ソロも妖しい美音に非ず落ち着いて、ホルンもそんな感じにややジミっぽい音色、オーケストラの響きは暖かい艶消しなサウンドに質実素朴、オーソドックスなバランス演奏と感じました。
「Der Held」 (英雄)から時にあまりの力演に、聴き疲れすることもあったごりごり勇壮な開始は親密でした。英雄はR.Straussのことなんですね。(4:19)Des Helden Widersacher (英雄の敵)の喧しい木管の動きにも力みは感じられぬバランス感覚。(3:29)Des Helden Gefahrtin (英雄の伴侶)に於けるヴァイオリン・ソロ(伴侶のテーマ)はしっとりと優しい存在感。潤いとやすらぎが感じられる場面、木管もホルンも素朴さが際立ちます。ラストに「英雄の敵」の嘲笑がちょっぴり遠くに聞こえます。(11:51)Des Helden Walstatt (英雄の戦場)は舞台裏からのトランペットも印象的、ここも厚い響きに不足はなく、慌てず走らず力まずじっくりと聴かせてくださるところ。打楽器大活躍+金管によるデーハーな激しい場面でも、各々パートの存在感はリアルに響きは濁らない。そして冒頭「英雄のテーマ」がダメ押しのような説得力にノリノリまま(7:36)・・・
・・・Des Helden Friedenswerke (英雄の業績)は例の「ドン・ファンのテーマ」がホルン登場! ここもちょっぴり控えめな風情。「ツァラ」「死と変容」「ティル」「ドン・キホーテ」など馴染みの旋律がつぎつぎ回想されるのが「業績」ということか。やがて落ち着いた人生黄昏風情に収束しつつ(5:59)Des Helden Weltflucht und Vollendung der Wissenschaft(英雄の隠遁と完成)に登場する不安な風情や不協和音は「過去の戦いを苦々しく振り返った」ものなんだそう。それも彼(か)の雄壮な「英雄のテーマ」が静かに穏やかに変貌してイングリッシュ・ホルンによって諦念へ、人生を静かに伴侶に看取られながら(優しいヴァイオリン・ソロ)眩しい黄昏を迎えました。遠くから響く控えめなホルンは絶品でしょう。(10:37)
交響詩「マクベス」は三管編成。いまいち人気は少なめな最初の交響詩らしい。劇的深刻な風情を感じさせ、曰くありげな間も頻出する勇壮さはあるけれど、その後の名曲ほど語り上手じゃないと感じました。(20:25拍手有) (2023年8月12日)
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