The Proms Volume2(Royal Philharmonic Orchestra)


** Tchaikovsky

大序曲「1812年」(フィリップ・エリス)

Mozart

ホルン協奏曲第4番変ホ長調K.495「Rond;Allegro vivace」(マーティン・オーウェン(hr)/ニコラス・スティーヴン・クレオバリー)

Bizet

歌劇「カルメン」〜前奏曲〜闘牛士の歌(管弦楽/ニック・デイヴィーズ)

SaintーSae"ns

白鳥(ティム・ギル(vc)/ロデリック・エルムス(p))

Handel

ジョージ二世の戴冠式のためのアンセムより「司祭ザドク」(ゴールドスミス合唱連盟)

J.Strauss

ワルツ「美しく青きドナウ」

Bach

G線上のアリア(ジョナサン・カーニー)

Grieg

劇音楽「ペール・ギュント」より「朝」

Puccini

歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」(ウェイン・エヴァンス(t))

Elgar

行進曲「威風堂々」第1番(フィリップ・エリス)

Parry

イエルサレム(オウェイン・アーウェル・ヒューズ/ゴールドスミス合唱連盟)

ロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団/他 ジョン・リグビー

The Daily Telegraph (p)(c)2011

 The Promsとは世界最大の音楽祭らしい。「威風堂々」とか「イェルサレム」はラスト・ナイトの定番作品ですよね。このCD2枚組(2枚目)は偶然みつけたもの、いろいろ調べたけれど、詳細担当指揮者はすべて特定できません。ま、あまり小難しいことを言わず、それなり状態のよろしい音質、作品そのものを楽しむべき趣旨ということでしょうか。楽団が自主録音を競う魁となったロイヤル・フィルの音源、オモロいのがいろいろ出ておりました。指揮者は日本では馴染みの薄い人も見掛けます。

 「1812年」は華やかな演奏効果を誇る作品、荘厳なる正教会の聖歌「神よ汝の民を救い」〜フランス軍を連想させる「ラ・マルセイエーズ」の侵攻、激しい大砲の炸裂!やがてロシア帝国国歌が勝利を歌う・・・まことにわかりやすいウケ狙いなデーハーな作品であります。Philip Ellisは英国の中堅ですか?Wikiには生年も載っておりません。ややオフ・マイク、たっぷり会場空気空間を感じさせるサウンドにややクール、オーソドックスな演奏、大砲の音も控えめ、常識的でおとなしい演奏です。

 MozartMartin Owen (1973ー)のソロ、この人はロイヤル・フィル、BBC交響楽団の首席を務めた人。英国はデニス・ブレインを先頭に数々の名人を生み出した国、躍動してヴィヴィッドかつ陰影に富んだ作品を伸びやかに演奏して滅茶苦茶上手い!これは全曲をぜひ聴いてみたいところ。録音は存在するのでしょうか。音質も良好。誰でも知っている「カルメン」の旋律を担当するのはNick Davies、詳細情報を探せぬオペラ畑で活躍している指揮者みたい。テンポはやや動いて、ちょいと元気が足りないというか響きが薄い、腰が軽い感じ。

 「白鳥」はTim Gillの麗しいチェロ、ロイヤル・フィルやロンドン・シンフォニエッタの首席を務めているそう。小学校?中学校でしたっけ、音楽の時間に聴いた床しくも美しい旋律は懐かしさ限りなし。「司祭ザドク」はやたらとめでたくも神聖かつ壮大な雰囲気溢れる合唱作品、 Goldsmiths Choral Unionは1932年より活動を続ける伝統ある団体とか、指揮者は誰が担当しているのでしょうか。Handelらしい金管が活躍して(さすがRPO)声楽が喜ばしく呼応する祝祭的作品、ド・シロウト(=ワシ)にもおなじみな「ハレルヤ!」によう似ておりました。

 誰でも知っているウィンナ・ワルツは英国でも人気なんでしょう。極東の島国でも愛されておりますから。誰の指揮なんでしょうね、RPO Collectionsではペーター・グート担当でしたっけ。やや生真面目に過ぎて、英国紳士らしい演奏であります。「G線上のアリア」は古楽器隆盛となってから、すっかり雰囲気を変えて、こんな荘厳に流麗、美しい演奏は少なくなりました。低弦がピチカートを刻むのがこどもの頃からの刷り込みでしたよ。Bachはどんなスタイルでも音楽の骨格が崩れません。Jonathan Carney(1953-)はもともとヴァイオリニスト、亜米利加の出身とは知りませんでした。ロイヤル・フィルのコンマスだった人、カーネイに非ず。

 Griegも「朝」のみとは残念な心洗われる、美しくも安寧の旋律。これも音質良好。指揮は誰やねん。「誰も寝てはならぬ」はトリノ・オリンピックの荒川静香ちゃんを思い出します。 Tanwen Evans(1973-)は旬のテナーでしょう。端正な美声であります。

 ラストは誰も知っているPromsの代表曲「威風堂々」「イェルサレム」、やはりフィリップ・エリスには少々元気が足りない感じ。Owain Arwel Hughes(1943-)ってウェールズ出身でしたっけ、この人はスケール大きな演奏をする人なんです。ラストを締め括るべくゴールドスミス合唱連盟は勇壮、朗々と歌っておりました。もともとオルガン伴奏の作品とか、Elgarが管弦楽を付けたみたいです。きっと既存音源を集めた”なんちゃってProms”風CD編集なんだけど、本場の演奏家で堪能させていただきました。

(2018年4月28日)

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written by wabisuke hayashi