Prokofiev 交響曲第1番ニ長調「古典」/第5番 変ロ長調
(ヤッシャ・ホーレンシュタイン/コンセール・コロンヌ)


LP時代のデザイン Prokofiev

交響曲第5番 変ロ長調
交響曲第1番ニ長調「古典」

ヤッシャ・ホーレンシュタイン/コンセール・コロンヌ

VOX2-7810 1952年録音

 Jascha Horenstein (1899-1973烏克蘭出身)は特定のポストに就かなかったのに、数多くの録音を残して、廉価盤フリークだった自分には若い頃から馴染みの存在、どれも立派な演奏ばかり。Concerts Colonneは1873年創立歴史あるパリのオーケストラ。かなり以前ネットより入手したパブリック・ドメイン音源をDVDに焼いて保存、久々に再発見した少々昔のもの、もともと評判芳しくないVOX録音、しかもビットレートの低い.mp3(LP復刻/A面B面2ファイル30:05ー22:10)情けなさ気な音質でもけっこう聴けることに気付いたものです。作品がお気に入りだったら、どんな演奏でも愉しく聴けそうなものだけど、けっこうオーケストラの技術はモロに出るもの。

 交響曲第5番 変ロ長調は硬派な作品揃えたProkofiev中、随分ウケ狙いっぽい、わかりやすい作品でしょう。けっこうお気に入り。8種の打楽器+ピアノ+ハープというのは大掛かりだけど二管編成、意外とフツウの古典的サイズオーケストラなんですね。

 第1楽章「Allegro」はスケール大きな露西亜の大地に日が昇る・・・みたいな、爽やかな広がりと希望を感じさせる曲想。金管に明るいヴィヴラートが掛かって、華やかに軽快な響き。粘着質とか重苦しさとは異なる個性であります。(11:32)第2楽章「Allegro marcato」はリズミカル(乾いて情感のわかりにくい)ユーモラスなスケルツォ楽章。この辺りの疾走感はいかにもProkofiev、打楽器ピアノの活躍も顕著、アンサンブルはちょいと雑だけど、オーケストラの響き明るく華やかにノリノリ、停滞感のない軽快な疾走躍動が続きました。(8:18)

 第3楽章「Adagio」は優雅に甘い安らぎの緩徐楽章。しっとりとした弦の響きを期待したいところ。ホーレンシュタインは適度な詠嘆に盛り上げ上手、音質的にはちょいと残念でしょう。後半の大仰な大音響もオーケストラの響きに薄さは感じさせない。(9:59)第4楽章「Allegro giocoso」は第1楽章の主題が序奏で静かに回帰したあと、躍動する主部へ突入。くぐもったヴィオラ(?)の呼び水がよう聴こえんのは残念な音質、第2楽章にも一脈通じるリズミカルに明るい楽想が続いて、木管ホルンは思いっきりお仏蘭西な魅惑のエッチな音色満開。アンサンブルは几帳面なものに非ず、ややラフに勢い流れ重視、重厚さとは無縁の小粋なもの。リズムはオモロいんだけど、打楽器の多彩な響きが浮き立たぬ音質はやや残念でした。(9:02)

 交響曲第1番ニ長調は誰でも知っている、平易な古典的風情を湛えた作品、これも二管編成。第1楽章「Allegro」はきりりと速めのテンポにテンション高く緊張感たっぷり。途中シンプルなバソンのアルペジオはやはり鼻声のお仏蘭西。(3:49)第2楽章「Larghetto」衣装は古典的でもサウンド旋律はモダーンに優雅な緩徐楽章でしょう。ここもホーレンシュタインの語り口はさらりと上手い。(4:25)第3楽章「Gavotta-non troppo Allegro」はメヌエットに非ず、更に時代を遡った「ガヴォット」。大仰な表情がいかにもProkofievらしい個性(わずか1:36)軽快軽妙な第4楽章「FinalleーMolt Vivace」も流れよく、アンサンブルはややラフだけど、神経質に整った風情は必要ないでしょう。(2:10)

(2020年5月30日)

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written by wabisuke hayashi