「ハンガリー田園幻想曲」フルート名曲集
(ジャン=ピエール・ランパル(fl))
Doppler
ハンガリー田園幻想曲*
Couperin
恋のうぐいす*
Gluck
メロディ(「精霊の踊り」〜(歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」より))*
Rimsky-Korsagov
くまばちは飛ぶ
Faure
シチリアーナ(劇音楽「ペレアスとメリサンド」より)
Bach
ポロネーズーバディネリ(管弦楽組曲第2番ロ短調より)
Marais
スペインのフォリアによる変奏曲
Debussy
シランクス
Bizet
メヌエット(劇音楽「アルルの女」より)
Genin
「ヴェニスの謝肉祭」*
ジャン=ピエール・ランパル(fl)/アニー・ダルコ(p)/*小林道夫(p)(cem)
PIGEON GX88 PHILIPS音源の駅売海賊盤
Jean-Pierre Rampal(1922ー2000仏蘭西)は幾度も来日して、当時華やかな音色がたいへんな人気でした。小林道夫(1933ー日本)との録音は1964年来日時とわかっているけれど、Annie d'Arco(1920ー1998仏蘭西)との録音情報は探せませんでした。1960年頃のステレオ録音?どれもかなり良好な音質、正規盤で入手も可能な現役。これは1990年代前半、CDの相場が@2,000以上だった頃、激安1,000円で売り出された駅売海賊盤、処分しきれずに在庫として残ってしまったもの。もったいないし、ちゃんと一人前にエエ音で鳴るんですよ、間違いなく。
「ハンガリー田園幻想曲」も「ヴェニスの謝肉祭」もフルートには欠かせぬ名曲なんだけど、いまやほとんど一般には人気はないことでしょう。1960-70年辺り、誰でも知っている売れ筋やったと思うけどなぁ、こうした小品集をリビングのステレオで家族揃って愉しむ・・・そんな風景は消えてしまいました。
Franckのヴァイオリン・ソナタを彷彿とさせる官能的なピアノ伴奏に始まるハンガリー田園幻想曲、本旋律はほとんど日本の民謡風、親しみ深い朗唱が続いております。(9:18)Couperinの伴奏は唯一のチェンバロ、オリジナルは著名な鍵盤作品、華やかに朗々とフルートが歌います。(5:36)Gluckは黄泉の国で精霊とともに踊る典雅な間奏曲、彼の残した屈指の名旋律でしょう。思いっきり陰影と詠嘆に充ちた美しい作品は時代(1714ー1787)を超えて甘やかなもの。(3:17)
「くまばちは飛ぶ」はしばしばヴァイオリンの超絶技巧披瀝に使われ、こんなフルートとか、トランペットでも文句なく効果的な作品です。(1:13)憂愁なリズム風情に溢れる「シチリアーナ」(3:29)フルート協奏曲的作品の最高峰と思われるBachはほとんどオリジナルの風情、伴奏がピアノに置き換わったのみ。(4:32)息遣いの余裕、ノリノリのリズム感、曖昧さのない旋律の歌、どれも完璧の技巧でしょう。
Marin Marais(1656ー1728仏蘭西)「スペインのフォリアによる変奏曲」。オリジナルはヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)ですか?シンプルな短い主題が縦横に変化し続ける無伴奏の名曲。テクニックの冴え、緊張感が凄い。(8:12)ほとんど日本の能を連想させる幽玄なDebussy「シランクス」は、Bachのパルティータ イ短調 BWV1013と並んで無伴奏フルートの最高峰でしょう。(2:22)Bizetの「メヌエット」は組曲「アルルの女」中いちばん人気な牧歌的な作品、但し、オリジナルの劇音楽「アルルの女」には含まれなかったはず。(3:30)
Genin の「ヴェニスの謝肉祭」はフルートを愛する人には必須の名曲らしいけれど、自分も馴染み薄いもの、一般にも聴かれる機会は少ないでしょう。これはここに収録された前の作品とは一線を画して、華やかな伊太利亜歌劇アリア風、シンプルな歌と超絶技巧をたっぷり発揮できる変奏曲。単純なアルペジオを繰り返すピアノ伴奏のオモロないこと!まるでPaganiniのヴァイオリン協奏曲みたい。だからこその息もつかせぬフルートの大活躍が映えるものです。 (2020年9月20日)
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