The Organ(LaserLight 15 242)


LaserLight 15 242  懐かしいLaserLightのコンピレーションものです。海賊盤ではないけれど、Capriccio原盤の音源、寄せ集め、一時よくホームセンターのカゴやら駅構内などで売られておりました。懐かしい。選曲が凝っているし、演奏も音質も概ね粒の揃ったもの。この切り口はオルガンなんだそう。キリスト教会と不可分な関係にあって、どれも豊かな残響+重低音が聴き応えたっぷり。

Bach トッカータ ニ短調 BWV565

ハンス・ケストナー(or)はたしか旧東独の重鎮だったはず(ライプチヒ聖トー マス教会の首席オルガニスト)。わずか2:42。なぜフーガがないのか、これでは中途半端な感じは否めぬ感じ。時間的には収録可能なんだけどなぁ、ま、荘厳な出足はサワリのみ、ってなところか。

Handel オルガン協奏曲へ長調 作品4/5〜「シチリア風に」〜「Prest」

ガボール・レートカ(or)/カーロイ・ボトヴァイ/ブダペスト・ストリングス。これも第1楽章「Larghetto」第2楽章「Allegro」がないのは不満といえば不満。想像通りし哀愁の「A la Siciliana」〜明るく躍動する終楽章の対比はBach とはまた異なる、明るい魅力があります。ブダペスト・ストリングスは知名度さておき、ワタシ贔屓の現代楽器アンサンブルであります。

Bach 「目覚めよと、われらに呼ばわる物見らの声」BWV 645(シューブラー・コラール集より)

ハンスユルゲン・ショルツェ(or)。文句なし!誰でも知っている名曲ですよねぇ、カンタータを聴いてもその敬虔さに打たれ、心洗われますもの。

Bach オルガン協奏曲ニ短調(原曲はチェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV1052)

クリスティアーネ・ショルンスハイム(or)/マックス・ポンマー/新ライイプツイヒ・コレギウム・ムジクム。Bach の作品中、ほとんど唯一、その大柄さがあまり好きではない作品。これがオルガンだと親密さ+緊張感があいまってまったく、文句なく名曲と感じさせます。弦楽のみの伴奏のはずが、オーボエ2本入って、この色彩もなかなか新鮮。Handel の合奏協奏曲 作品6にオーボエが入るみたいな感じでしょうか。チェンバロとかフォルテピアノで馴染みのショルンスハイムのオルガン(おそらくポジティヴ・オルガン)は切れ味があって軽快に躍動するもの。終楽章「Allegro」のアツいノリはおみごと。ちゃんと3楽章収録は見識でしょう。

Stanley ヴォランタリー ホ長調 作品7/6

トン・コープマン(or)。チャールズ・ジョン・スタンリー(Charles John Stanley, 1712ー1786)は英国の作曲家、ほとんど「トラペット・ヴォランタリー」くらいしか聴いたことありません。原曲はオルガン作品らしいけど、雰囲気は似て別な作品(初耳)でした。名手コープマンはかなり自在な躍動するタッチ、先に登場した独逸勢とは雰囲気は随分と異なりました。コープマンの個性なのか、会場のサウンドか、音楽の風情も祝典的な明るいもの。Bach /Handel とは全然方向性が違う3:54也。

Buxtehude 前奏曲ハ長調 BuxVW188

クリストフ・クリュマッヒャー(or)。ディートリヒ・ブクステフーデ(Dieterich Buxtehude, 1637頃-1707)は、大Bach がそのオルガンに魅了されたという先輩格。荘厳なバロックであって、もっと聴かれるべき名曲であります。6:23

Liszt B-A-C-Hの名による前奏曲とフーガ

ヨアヒム・ダリツ(or)(1985年)。これ、オリジナルCD持っているので、録音年情報がわかりました。ド・シロウトのイメージとしては浪漫派のオルガンって?みたいな感じだけど、欧州では教会は日常のものだから、著名な作曲家はオルガン曲を作っているのですね。ほとんど即興曲?みたいに自在な旋律が雄弁に、粗野に語って、敬虔な宗教的イメージより煩悩バリバリ表に出てますよ。ふだんは苦手なLisztも滅茶苦茶カッコ良い!ロックバンドのライヴ中、いきなりキーボードが延々とソロで奏した、みたいな劇的イメージでっせ。

Saint-Sae"ns 交響曲第3番ハ短調〜第2楽章第2部「Allegro」

マルク・スーストロ/ロワール・フィル/フランソワ=アンリ・ウバール(or)。これはForlaneレーベルだよね。(2004年倒産)例のラスト、ドミソ和音がオルガンで突入!から開始。いきなりエエトコ取り!クライマックス!みたいな締めくくりとなります。マルク・スーストロ(Marc Soustrot, 1949-)は最近噂を聞かんなぁ、ロワール・フィルは独墺系な重さとか厚みとは異なって、淡い、軽快な響きが身上でしょう。このCDは後半に向けて浪漫派の大きな音楽に締めくくられました。

(2015年11月28日)

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written by wabisuke hayashi