Gluck 歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」抜粋


Gluck

歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」抜粋

ルカーチ/ハンガリー国立歌劇場室内合唱団/管弦楽団/ハマリ(ms)キンセス(s)ゼンプレーニ(s)

レーザーライト COCO78471 国内盤 税込み1,000円で購入

 1995年に日本コロムビアが出した「プロミネント1000」シリーズより。ここでは1762年ウィーン版使用とのこと。いずれにせよこのCD以外聴いたことはないので「版」がどうとやら、と言われてもわかりません。ハンガリーのヴェテラン・ルカーチの珍しい録音だけれど、デジタル録音となっているので1980年以降の録音でしょう。明快だけれど、ハイ上がりで、いかにもデジタル初期風のカタい音質。

 これ言うまでもないが名曲です。躍動感あふれる序曲は、ちょうど「フィガロ」を想像していただくと印象が近いかも。Gluckは1714-1787だからMozart やHaydnの世代に近いし、Beethoven にも引っかかっています。だから古楽器で演奏するのも良いかも知れません。これはメリハリも勢いもあって、編成は小さいが立派な現代楽器によるアンサンブル。

 筋は知っているでしょ?エウリディーチェが亡くなってしまって、嘆き悲しむオルフェオは黄泉の世界に妻を迎えに行きます。「振り返ってはダメ」という掟を破って云々・・・までは日本の物語と筋は同じ。でも、ハッピィ・エンドなんですよ、こちらは。これは文化の違いか、それとも聴衆の希望に添ったものか。

 ハマリはかなり雄弁です。これ本来カストラートが歌うべきオルフェオ役なんでしょうか。(解説にはコントラルト、パリ版ではテノールと書いてあるが)手練れのカウンター・テナーで聴いてみたい気がします。「私は愛する人をこのように呼んでいるのだ」も「見たくても我慢をし」も、やすらぎの名旋律。第2幕第2場「エレベの濃い霧の中に・・・」は、まるでMozart のレクイエムを思わせるような劇的な迫力でした。(合唱のスケールの大きい歌いぶりは少々違和感有)

 有名な「精霊たちの踊り」はパリ版(1774年)で更に追加されたそうで、美しいが短いのが残念。(3分かからない)でもそれに負けない価値ある旋律が目白押しで、「おお美しい人よ〜」(精霊たちの合唱)にも心洗われる思い。ルカーチの表現は、激しいところとゆったりとした優しさの対比が見事でした。第3幕のバレエ音楽は独立して演奏されても良い魅力ある曲と思います。(10分以上かかる)

 全体で一時間くらいの抜粋ですが、全曲でもそんなに長くないはずだから、なんとか安く出ないもんでしょうか。ま、CD一枚に収まっているのも、ワタシみたいな永遠の声楽初心者には手軽でありがたいものですが。(2002年3月15日)


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written by wabisuke hayashi