Shostakovich 交響曲第2番ロ短調/
Prokofiev カンタータ「10月革命20周年記念」
(マーク・エルダー/BBC交響楽団/合唱団)


BBC MUSIC  BBC MM50 1996年録音  $1.99 Shostakovich

交響曲第2番ロ短調 作品14「10月革命に捧げる」

Prokofiev 

カンタータ「10月革命20周年記念」作品74

マーク・エルダー/BBC交響楽団/合唱団、ステゥーヴン・ジャクソン/ジェフリー・ミッチェル合唱団/オレグ・ミロチニコフ(スピーカー?)

BBC MUSIC BBC MM50 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール1996年ライヴ録音 $1.99

 前回の更新には日付がなくて、1999年頃と類推。Mark Elder(1947ー英国)は既に重鎮的存在だけど、20年ほど前?の自らのコメントでは「英国期待の新鋭」、当時は知名度も録音も少なかったと記憶します。こちらもちろん露西亜語とは無縁の人生、作品内容は一切理解できません(でも雰囲気から類推可能な露西亜革命賛美)ソヴィエット連邦は既に崩壊し、こんな音楽も今や悪いジョーダン、純粋に巨魁なる音楽として、騒乱状態の音楽を堪能できるもの。20年前はそんな貴重な作品録音であることを知りませんでした。このCDは現在入手困難。マーク・エルダーはその後、手兵のハレ管とShostakovichの交響曲を数曲録音しております。

 Shostakovich交響曲第2番「10月革命」は実演さておき、数多く録音されるようになった”無調・27声部におよぶウルトラ対位法などの技法”作品とのこと(Wikiによる)管弦楽+混声合唱+多種多様な打楽器+サイレンまで入る19:00。Largo(序奏)-Fugato(27声によるフガート)ーMeno mosso(それまでより遅く)ー合唱 - Coda「これこそ旗、これこそ生き生きとした世代の名称、10月、コミューン、そしてレーニン」のシュプレヒコールにて締めくくります。

 暗鬱として混沌、不安な蠢きに開始され、トランペット・ソロ、チューバもいや増す嘆き苦しみ、やがて力強い歩みが始まって不協和音連続はいかにも”Russian Avant-garde”、そしてヴァイオリン・ソロから開始される複雑怪奇な”27声によるフガート”へ。その爆発の頂点は無調なのにそれなりわかりやすいもの。当時の流行りやったんやろな、やがて当時の権力に阿(おもね)った平易な作品(戦い→勝利)へShostakovichは突き進むのですね(例/大人気な交響曲第5番ニ短調「革命」とか。一直線じゃないけれど)

 やがて合唱バス・パートから声楽参入、これは露西亜の伝統(オペラも低音が主役)でしょう。やがて輝かしい混声合唱へ発展して、喜びと希望に充ちた讃歌へ至ります。そして例のシュプレヒコールへ〜これは純音楽として堪能いたしましょう。会場の拍手も盛大。まるで某隣国のような風情だけど。演奏は立派に充実しております。

 Prokofievカンタータ「10月革命20周年記念」作品74の編成は2群の合唱、管弦楽、吹奏楽、アコーディオン合奏、打楽器群(500人?必要)1937年に作曲されたのに、なぜかお蔵入りして(部分)初演は1966年とか(おそらくコンドラシン。抜粋録音有)。テキストはマルクス、レーニン、スターリンなど政治的意図モロだから、冷戦時代は西側では演奏は難しく、1991年ソヴィエット崩壊後、ようやく”大掛かりで超・技巧的な珍しい作品”として(おそらく英国)初演されたのでしょう。21世紀に至っても他ネーメ・ヤルヴィ、キリル・カラビツの録音があるくらい。じつは滅多に演奏されぬ珍しい作品だったのでした。

1) Intoroduction(共産党宣言からの引用)(2:59)
2) Philosophers(フォイエルバッハに関するマルクスのテーゼ)(2:29)
3) Interlude(間奏曲)(1:41)
4) Marching in Close Ranks(レーニンの演説からの引用)(2:24)
5) Interlude(間奏曲)(1:32)
6) Revolution(レーニンの演説と論文からの引用)(10:15)*ここの機関銃が凄い!サイレンも盛大
7) Victory(レーニンの文章)(6:02)
8) The Pledge(スターリンの誓約。レーニンの棺のそばでのスピーチ)(7:33)
9) Symphony(管弦楽とアコーディオン合奏による社会主義の改造)(6:00)
10) The Constitution(スターリン憲法。第8回ソヴィエット臨時大会でのスターリンの演説)(5:43)

 大仰に深刻、爆発的な打楽器炸裂、勇壮な合唱、破壊的な迫力連続、わかりやすい平易な旋律、あまりに直截な政治的な内容モロ、純粋に巨魁な音楽として愉しめる多彩な響きでしょう。一番の山場はもちろん絶叫「Revolution」機関銃、信号の鐘描写もリアル、晦渋苦渋な「カルミ・ブラーナ」みたい?あれほどの爽快感とは方向性はまったく違うけれど。やがて戦いは収まって「Victory」は静謐な落ち着きへ、この旋律は優しく美しく、感動的な盛り上がりを見せる混声合唱(女声中心)。

 「Symphony」は勇壮な推進とメリハリに充ちた管弦楽、交響曲第5番 変ロ長調によう似ております。アコーディオン合奏は気をつけて聴いたけどわかりませんでした。ラスト「The Constitution」は重い旋律に声楽と管弦楽も大仰に深刻に開始、やがて女声を中心にした讃歌が優しく歌い始め、全員が参加して喜ばしく盛り上げて全曲を閉じる・・・聴衆は熱狂的な拍手喝采。

(2021年5月1日)

 マーク・エルダー、ウィッグルスワース辺りは英国期待の新鋭。こうしたロシア革命にちなんだ曲は、かつてはソヴィエットでしか演奏されず、逆に現在ではロシアではまず演奏されない演目。政治がらみの音楽も、じょじょに古典化していくのでしょう。Shostakovichは全集が出ているので、聴く機会はわりとあるのですが、46分を越えるProkofievのカンタータは初耳でした。

 Shostakovichの交響曲第2番は、1927年の10月革命10周年記念作品だから、Prokofievの作品と同じように「機会音楽」なんでしょう。歌詞(アレクサンドル・ペズイメンスキー作→誰?)は例のごとくまったくわからないけど、いずれにせよ革命賛美、英雄的な犠牲者に対する追悼の内容と想像されます。純音楽的に聴いても、それなりに楽しめる立派な音楽。

 ロイヤル・フェスティヴァル・ホールのライヴで、BBC MUSIC MAGAZINという雑誌の付録の処分品です。(日本の某雑誌も見習って欲しい、意欲的な選曲)「LAND LOVER」の宣伝入り。(BBCの主たるスポンサーだそう)

 Shostakovichの曲は、交響曲とは云いながら単一楽章でわずか19分ほど。なにやらモソモソと不安げな冒頭の静けさ、6分くらいからテンポとヴォリュームが上がって、例の感情の起伏の少ない、乾いた旋律があちこちに見られます。12分辺りから混成合唱が始まり、いやが上でも祝典的な雰囲気が盛り上がります。ラストの小太鼓に乗ったシュプレヒコールもいかにも「それ」風の決め方。

 「ショスタコヴィッチの証言」を読んで以来の先入観のせいか、21歳の青年の作品ながら「このくらいは要望にお応えして作れますよ」と云った印象を持ちました。(心からの祝典ではない感じ)演奏はまったくみごとで、(もちろん)感情移入なんかないでしょうし、合唱共々充実した響き。

 Prokofievは、けっこうカンタータの作品はあるんですね。「アレクサンドル・ネフスキー」は有名ですが、この曲のCDはないはず。きっと旧ソヴィエットでは録音は残っていることでしょう。

 旋律は、Shostakovichよりオーソドックスというか、いかにもロシア風なわかりやすいもの。なにぶん、46分の大作なので、さすがに解説なしでは少々つらいもの事実。で、いちおうインデックスを記しておきます。(ネタもないし)

1) Intoroduction
2) Philosophers
3) Interlude
4) Marching in Close Ranks
5) Interlude
6) Revolution
7) Victory
8) The Pledge
9) Symphony
10) The Constitution

・・・・・なんか、だいたい雰囲気はわかるでしょ?「Revolution」がもっとも長くて10分以上。機関銃の派手なぶっ放しが楽しめます。(小太鼓だろうけど、本物の機関銃のような迫力。もしかしたら効果音かも)途中、踏切警告音、サイレンなども聞こえ、最高の迫力。そして、指導者とおぼしき男による、せっぱ詰まったシュプレヒコール。(失礼ながら、よくできた映画を見る感じ)

 「Victory」も激しい戦いの後、溢れでる勝利の喜びを静かに歌い上げたもので、いかにもありがちな構成です。よけいな揶揄を入れずに聴けば、ここはもっとも美しい旋律。

 「Symphony」の意味合いは理解できないが、細かい音形が続く技巧的な曲。ここでは合唱はありません。単独で演奏会に取り上げても良いくらいの、ちゃんとした小品です。
 ラスト「The Constitution」(これなに?憲法のこと?)は、大団円で「喜びの歌」風祝典の大盛り上がり。じつに決まっていて、観衆の盛大な拍手も納得でしょう。

 なにぶん、普段聴き慣れない曲なもので、演奏云々はコメント不能。アンサンブルといい合唱といい、まことに立派で文句ないと思います。録音も極上。イギリスのオケ、若手指揮者でこんな演奏会が持てるようになって、お客さんが入って、CD化されるようになるなんて、時代は変わりました。


おまけのバカ話

 新潮文庫「ソバ屋で憩う」は、ワタシには縁の薄いお江戸方面のソバ屋紹介の楽しい本。テレビでもお馴染みの杉浦日向子さんと「ソ連」編著、というのに惹かれて買いました。「ソバ好き連」の略で、こういう冗談が出ること自体時代の変遷であり、「October」というCDが出現する素地と同一のものがありますね。


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written by wabisuke hayashi