レコード芸術2002年7月号

混迷のクラシック音楽CD事情
音楽之友社 2002年発行 1,250円

 「本で聴く音楽」更新に苦戦しております。ちょっと逃げっぽい更新ご容赦。レコ芸は小学生以来の読者だったが、ここ一年ほとんど買いません。この度は出張で、いつもより少々長い移動時間があったので列車に乗る前に購入。読んだ感想は「う〜む」・・・・・。

 一番目立つ広告となる裏表紙が「EXTON」〜江崎さんのJapanレーベルで、アファナシェフ/新日フィルのBRAHMS交響曲第2/4番という意欲的な新録音がメイン(2枚組4,200円!)。表紙裏が「カラヤンの遺産」(画像)+ジョシュア・ベルとアックスの新録音(SONY。これは偉い)ま、DG、DECCA、などメジャー・レーベルがカラー・ページ頑張ってくれているが、新譜はホントに寂しくなりました。

 「21世紀の名曲名盤300」(5)〜相変わらず「名盤ランキング」やっているのか?と、そのマンネリぶりに驚くが、ま、評価の変遷に興味がないわけでもない。しかし、「コメント」用の対談に驚くほど内容がない。これほどツマらない、空しい内容にお金を払うことにやや疑念有。

 歯応えのあるのは「指揮台の神々〜大指揮者列伝」〜今回はハンス・フォン・ビューロー。これはドキドキするほどスキャンダラスで興奮します。海外の評論家による最新レポートも相変わらず臨場感と主張が明快で気持ちヨロシ。スヴェトラーノフ追悼で、熱心なホームページを主催されているはやし ひろしさんの「盤歴と名盤」が圧倒的迫力。

 ズナイダーと篠崎和子さん、高橋多佳子さんのインタービューは、若い人を育てていくために大切な記事でしょう。でも、残りはすべて「宣伝」(広告・本文問わず)です。内外のめぼしいディスク、シリーズの紹介。骨のあるのは「海外盤試聴記」くらいか?(いまどき、海外/国内と分けるのもなにかと思うが)「新譜月評」など論外。

 大手CDショップの入庫状況や価格相場がまとまっている(これは広告であって、本文ではないが)のはありがたいが、その程度なら立ち読みでも充分。あまりにも、クソミソに言い過ぎたが「ディスク・ディスカション」で現代音楽(ブーレーズ、リゲティ)を取り上げているのは賞賛に余りあります。

 かつての感動や鮮度を感じられなくなったのは、ワタシの感性の摩滅か、はたまた「巨匠不在」の時代のせいか、クラシック音楽そのものの時代との不整合か?それとも「レコ芸」の編集方針の問題か?「Gramophone Japan」を受け入れなかった、日本の音楽愛好家の嗜好の問題でしょうか。(2002年6月29日)


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written by wabisuke hayashi