Mozart 交響曲第39番 変ホ長調/第40番ト短調
(エルネスト・ブール/バーデン・バーデン南西ドイツ放送交響楽団)


CASCADE am@do clasiccs 01040

Mozart

交響曲第39番 変ホ長調K.543
交響曲第40番ト短調K.550

エルネスト・ブール/バーデン・バーデン南西ドイツ放送交響楽団

CASCADE am@do clasiccs 01040「Mozart Pemium Edition 40枚組」2,980円にて購入(録音年不明/1970年前後か)

 交響曲第29/41番の演奏に対して、あまり芳しからぬコメントして3年経過。オーディオ環境も変わったし、なにより聴き手の嗜好も日々変化しております。そろそろ再聴再確認の時到来。ワタシはますます古楽器系へ接近しており、現代楽器によるMozart 録音はかなり処分してしまいました。でもね、是々非々でちゃんと聴いてますよ、いろいろ、先入観なしで。エルネスト・ブールのMozart は100円ショップダイソーでも買えるらしい(最近、100円ショップに魅力を感じないので現物未確認)。

 結論的に端正で生真面目、クールで夾雑物のない演奏ということでしょう。弦は(おそらくは録音要因のみならず)やや硬質で金属的な響きながら、前回聴取時より気になりません。管楽器群も正確無比、ブールのリズム感は精密に刻んで、揺れたり遊んだり、が存在しない。要らぬ情念の強調やら、細部曖昧さ皆無。これはもしかして作品に対する敬意なのかも。四角四面な無為無策ではなく、アンサンブルのメリハリ、テンションに不足はないんです。余裕がないのではなく、”そういうものを目指して”実現した禁欲的世界〜愉悦にはちょいと無縁かも。テンポは常に常に中庸。繰り返しなし。楽器編成はかなり大きいと類推。

 変ホ長調交響曲K.543は、牧歌的な明るい持ち味の作品でしょう。キモは第3楽章「メヌエット」であって、躍動する舞曲〜中間部クラリネットがシンプルに歌うところに注目。全体に愛想はよろしくないけれど、正確に三拍子を刻んで結果、例の浮世離れした旋律が浮かび上がります。第1楽章は壮麗を強調せず、終楽章は慌てず騒がず、粛々と表情も変えずにユーモアを連発している感じ。

 ト短調交響曲K.550は、シリアスな作品だからブールの表現にいっそう似合っていると感じます。第1楽章「アレグロ」には(彼にしては)やや前のめりの”ノリ”がありました。短二度下降型「ため息のモチーフ」を執拗に繰り返すところが、エルネスト・ブールはいつになく(端正生真面目を前提に)情感(激情に非ず)を表に出してちょいとアツい。第2楽章「アンダンテ」は淡々としてリズミカル、やがて静かに昂揚いたします。第3楽章「メヌエット」は意外とゆったり優雅で、劇性を強調しない。弦はレガートで旋律にメリハリを付けないが(もちろん、言うまでもなく)カラヤンとは別世界の禁欲が前提であります。

 終楽章は劇的交響曲中もっとも劇的なところだろうが、冷静沈着なる基本姿勢を崩さぬまま、冷たい炎が燃えている〜そんな勢いがありました。

(2010年6月11日)


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written by wabisuke hayashi