Mozart 交響曲ニ長調/第18/19/25番
(ヤープ・テル・リンデン/アムステルダム・モーツァルト・アカデミー)


BRILLIANT 92625/20 2002年録音  14枚組全諸経費込1,470円程でオークション入札したウチの1枚 Mozart

交響曲
ニ長調K.111a「アルバのアスカニオ」
第18番ヘ長調K.130
第19番 変ホ長調K.132
第25番ト短調K.183

ヤープ・テル・リンデン/アムステルダム・モーツァルト・アカデミー

BRILLIANT 92625/20 2002年録音  14枚組全諸経費込1,470円程でオークション入札したウチの1枚

 貧しき者は幸いなれ。CD音源だって憧れているいるうちが華であって、いったん入手してしまえばそびえ立つ”ミチョランマ”となりかねない・・・ワタシはジャンル問わず、ほんのこども(小学校低学年)の頃から音楽好きであって、それはプロコルハルムも、Bach も感動の質に違いはなかった。こどもって、飽きもせず同じ曲ばっかり聴くじゃないですか、記憶力も抜群だし。当時レコードは贅沢品であり、学生時代迄は貧しくてエア・チェックばかりしておりました。

 やがて好きなだけ、思うがまま(廉価盤)CDを購(あがな)える身分(年齢)に・・・そして、大切なものを失ったのでしょう。それがなにかはわからない〜とはゲーテの言葉だったか。交響曲ニ長調K.111a歌劇「アルバのアスカニオ」序曲が交響曲として演奏される時用に、アンダンテとプレストを書き足した作品らしい。へぇ、闊達でのびのび楽しい曲じゃないの、と気付いて「歌劇全集」取り出しました。イェド・ヴェンツ/ムジカ・アド・レーヌム/ヴォーカル・アンサンブル・コク/マーイケ・ビークマン/クラディア・パタッカ(2002年)・・・歌声旋律は、まるで馴染みの「エクスルターテ・ユビラーテ」じゃないの。牧歌的でなんと楽しい・・・閑話休題(それはさておき)

 思い立てば即、珍しい交響曲、そしてオペラが棚から取り出せるというのは、贅沢なのでしょう。こどもの頃からの夢は叶ったのです。この天使のように美しい、無垢なる旋律を堪能しなくては。

 交響曲ニ長調K.111a「アルバのアスカニオ」は3楽章わずか6分ほどのウキウキ作品。2管編成で、ホルンもトランペット、ティンパニも入って賑々しくも楽しい風情いっぱいだけれど、あっという間に終わります。イェド・ベンツ(オペラ全曲)盤とヤープ・テル・リンデン全集は同年、いずれも古楽器による録音となります。前者の躍動に対して、後者はずいぶんとまったり穏健派であり、少々頼りないくらいの優しい風情であります。交響曲(全集)全部、力みのない柔らかくも瑞々しい表現であって、物足りないと感じられる人がいてもおかしくはない。ワタシはこのくらいのバランスが好み。

 第18番ヘ長調K.130は、この時期としては驚くべきスケール(ホルン4本の成果か)と、細かい旋律リズムの工夫がされていて、編成にオーボエを欠いているのも珍しい。(ティンパニもなし)全曲で24分ほど。繊細楽しげな雰囲気が支配して初々しい第1楽章「アレグロ」、低弦ピツィカートに乗ってそっと静かな第2楽章「アンダンテ」。第3楽章「メヌエット」を優雅と感じるのは穏健派表現のたまものか、終楽章「アレグロ」も咳いた風情はありません。

 第19番 変ホ長調K.132。これもホルン4本だけれど、フルートではなくオーボエ2本となります。悠々と躍動する第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」は気高く落ち着いた味わいがあって、いつもの親しげなるヴォルフガングらしからぬ生真面目6分半は少々長い。第3楽章「メヌエット」の旋律も彼らしくない、少々堅苦しい感じであって、Haydnに接近しております。終楽章はノンビリとしつつ、いっそうその感が深いのはヤープ・テル・リンデンの牧歌的表現故かもしれません。(追加アンダンテは収録されない)

 さて、映画「アマデウス」ですっかり有名になった、第25番ト短調K.183であります。このような著名作品になると、従来演奏のイメージとの比較が可能でしょう。劇的な切迫感ではない、そして管楽器のバランスが大きい個性と理解可能。アーノンクール辺りの劇的演奏のイメージか、”無条件幸福”Mozart 作品中では少々苦手と感じておりました。

 ホルンとオーボエが粗野に響いて、しかも表現は軟らかく激昂しない第1楽章「アレグロ」。ひっそり繊細な第2楽章「アンダンテ」、あくまでマイルドな第3楽章「メヌエット」を経、終楽章にはじわじわ悲劇が迫ります。全体を通して、優しく、やや弱いが、リズムに曖昧さはない、ということでしょう。

 ヤープ・テル・リンデンはチェロの名手だけれど、弦はずいぶんと地味であって、素朴粗野な古楽器オーケストラの響きは好みを分かつでしょう。個人的嗜好としては、小ト短調交響曲はこれが一番素直に耳に入りました。

(2008年9月26日)


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written by wabisuke hayashi