Mozart クラリネット協奏曲イ長調K.622/
R.Strauss 2重コンチェルティーノ/
Weber クラリネット協奏曲第1番へ短調
(ハインリヒ・ゴイザー(cl)/フェレンツ・フリッチャイ
/RIAS交響楽団/ベルリン放送交響楽団)


これはArchpelのARPCD0453 Mozart

クラリネット協奏曲イ長調K.622(1957年)

R.Strauss

二重コンチェルティーノ ヘ長調(ウィリー・フーグマン(fg)1953年)

Weber

クラリネット協奏曲第1番へ短調(1957年)

ハインリヒ・ゴイザー(cl)/フェレンツ・フリッチャイ/RIAS交響楽団/ベルリン放送交響楽団

写真はArchipel(一部収録違い)ARPCD0453 DG録音?  ネットより入手した音源

 Mozartの音源データを整理していたら、こんなのが出てきました。つい最近20世紀迄はLPCDは高価なもの、SPLP初期時代は一部のお金持ちの世界、音楽を愛する庶民は数少ない所有音源を大切に聴いたものでしょう。21世紀もぼちぼち20年、少なくとも歴史的音源だったら、こうして自在にネットより音源入手できるようになって、”好きなだけ、お腹いっぱい”音楽を自在に聴ける時代がやってきました。そして聴き手(ワシ)は半引退の身分となって、時間もたっぷり。こどもの頃の夢は叶ったのです。

 Heinrich Geuser(1910ー1996独逸)はカール・ライスター(Karl Leister, 1937ー)の師匠に当たるとのこと。シュターツカペレ・ベルリン(1936ー1950)RIAS交響楽団-ベルリン放送交響楽団(1950ー1977)に在籍、当然フリッチャイ時代もこの時期に入っております。バイロイト音楽祭にも参加したらしい。エーラー式の楽器だろうけど、専門筋によると一筋縄ではいかぬ特殊なリードを使用していたらしい。

 わざわざ太古モノラル録音で屈指の名曲を・・・って1957年、なんとかステレオにならんかったのか!そんな悔しい端境期でした。音質はまずまず、屈指の名曲、彼のスムースな技巧、落ち着いた音色を堪能するに充分な水準でしょう。出会いは英国の名手ジャック・ブライマー/トマス・ビーチャム(1958年)によるしっとり優雅な風情でした。爾来お気に入りの作品には真っ白な諦念を感じて、Mozartが亡くなる1791年の作品也。フリッチャイの入念のバックも文句ない仕上げ・・・そんな一般的なコメントになるのは、この作品を聴いて、どんな演奏でも間違いなく、確実に感銘をいただけるから。往年の名手に敬意を払いつつ、こんな突き抜けた名曲は状態のよろしい音源で聴くべきか、歴史的音源を聴く度に思い悩む課題でもあります。(12:15-7:04-9:00)

 今回最大の発見、収穫はR.Strauss。彼の主要作品は全部聴いている!そんな傲慢な思い込みを余所に、こんな美しい名曲があったのか!と。最晩年1947年の作品は”弦楽オーケストラとハープを伴ったクラリネットとファゴットのための二重小協奏曲”、例の如し多弁であり、晩年の懐かしくもわかりやすい旋律が溢れ出る名曲。オーボエ協奏曲ニ長調に風情が似ております。おそらく団員であるウィリー・フーグマン(fg)と目眩く、華やかな世界が繰り広げられました。これはセッション録音だそうで、音質にさほどの不満も感じさせません。(5:33-2:20-8:16)これも新しい録音で聴きたい!

 Weberは文句なし。この中では一番音質状態がよろしいし、1811年の作品はMozartより楽器の名技性をいっそう発揮させて、旋律は変化に富んだ多彩なもの。時代は古典〜浪漫に向かっております。例の如し”独逸民衆の素朴な喜び”風旋律躍動する第1楽章「Allegro」(12:15)、第2楽章「Adagio, ma non troppo」の落ち着いた風情はMozartに負けぬ陶酔の世界、おそらく楽器性能が進んだためか、音域の幅が広くゴイザーの表情の変化は驚くべきもの。途中、ホルンの重奏と絡むところの深み、安寧はMozartにはない個性でしょう。(6:21)第3楽章「Rondo: Allegretto」には再び”独逸民衆の素朴な喜び”風躍動がやってきて、ユーモラスにくるくる走り回るソロが最高っす。(6:12)

(2019年3月10日)

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written by wabisuke hayashi