Mozart 交響曲第40番ト短調K.550/
交響曲第41番ハ長調K.551
(トレヴァー・ピノック/イングリッシュ・コンサート)


Archiv 447 048-2 Mozart

交響曲第40番ト短調K.550
交響曲第41番ハ長調K.551

トレヴァー・ピノック/イングリッシュ・コンサート

Archiv 447 048-2 1994-95年録音

 Trevor Pinnock(1946ー英国)による交響曲全曲録音より。あまりに馴染んだ名曲中の名曲、不遜にもちょいと食傷気味なラスト交響曲2曲は古楽器による小編成。モダーン楽器に比べて慌てず急がず、リズムも過激にエッジを立てぬ、ちょっぴり速めのテンポ設定、響きは痩せ過ぎず味わい深い音色にすっきりデリケートなもの。繰り返し実行が効果的でしょう。この時期にして古楽器演奏の技術はほとんど完成の域に達しております。残響豊かな録音も極上。

 ト短調交響曲K.550はティンパニを欠いた2管編成。ここではクラリネットを加えた第2稿。第1楽章「Molt allego」は速めのテンポにそっと、マイルド・サウンドに激性を強調しない表現に始まりしました。テンションは充分に楚々とした哀しみが疾走します。(7:23)第2楽章「Andante」も淡々とした歩みに自ずと哀しみが滲み出す風情でしょう。(11:21)第3楽章「Meuetto」も同様。コクのある練り上げられた響きは粛々とアクセント刻んで、悲劇を強調しない。ホルンの重奏は痺れるような音色ですね。(4:48)第4楽章「Allegro assai」もテンポは速めだけれど急き立てるような風情や力みは皆無、音楽は優しくスムースに流れて、しっとりイン・テンポ。ラストに向けてホルンが際立って雄弁だけど軽みを失わない。(9:19)

 天翔けるハ長調交響曲K.551。こちらにはティンパニとトランペットが入ってぐっとアクセント華やか。第1楽章「Allegro vivace」は力強く大きいけれど、軽みがあります。中庸のテンポに円い音色のフルート、金管も粗野だけど響きは濁らない、ティンパニのリズムもヴィヴィッドな始まり、アクセントも明快だけど大柄を強調しない。(11:16)第2楽章「Andante cantabie」は神妙な呼吸の深さ、表情は豊かに、強弱の対比はかなり大きいもの。木管は深く魅惑の響きでした。(11:22)天女が天空から舞いながら降りてくる第3楽章「Menuetto」はノン・ヴィヴラートに清涼な弦、いきいきと賑やかなリズムを刻んで、金管の粗野な響き快い。(5:27)第4楽章「Molt allegro」は抑制の効いた古楽器演奏であることを前提に、かなりメリハリの付いた力強さを感じます。暗転する部分での木管の幻想的な響き、ラストのクライマックス、ホルン、チェロと続くジュピター音形のフーガはじつにジミに際立たない、これが本来の姿なのでしょう(11:27)こんなスケールを大仰に強調しない演奏スタイルが現代のスタンダートと受け止めました。

(2024年2月17日)

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written by wabisuke hayashi