Mozart 交響曲第40番ト短調K.550/交響曲第41番ハ長調K.551
(アレッサンドロ・アリゴーニ/トリノ・イタリア・フィル)
Mozart
交響曲第40番ト短調K.550(クラリネット入)
交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
アレッサンドロ・アリゴーニ/トリノ・イタリア・フィル
Past Perfect 203300/CD10
馴染みのお気に入りばかり聴いていると、音楽との距離感が難しくなる・・・できるだけ多種多様な音楽、演奏家を聴くように心掛けて、逆に昔の感動を忘れがちになる今日この頃、愛しのヴォルフガングのラスト交響曲はかつて、カルロ・マリア・ジュリーニ(1965年)に心底惚れ込んだ記憶も曖昧な今日この頃。似非金満中年を経、廉価盤CDの意味もなさなくなった音源入手、引退の世代に至って古楽器系”新しい”演奏も聴き放題、挙句原点を見失ったような自覚もあります。この著名作品もめったに聴かなくなりました。
こども時代〜若く貧しかった頃、例えばMozart交響曲全集など高嶺の花、やがて社会人に至ってLP時代カール・ベームの全集を中古壱万円入手したときには達成感ありましたよ。やがて幾星霜。ラインスドルフ(五味康祐さんの著作に言及があった・・・はず)先頭に種々全集を聴くようになって、彼(か)の感動何処?華麗なる加齢な日々、10年ほど前話題となったアレッサンドロ・アリゴーニ全集に久々再会いたしました。ここしばらく聴き続けて飽きることはない。これが許光俊さん曰く”困ったCD”、 一番困る恋は、つまらない女に対する恋である・・・特に何か抜きん出ているとも思えない女への恋はたちが悪い。「あの女には、こういう欠点がある、ああいう欠点もある」、そう数え上げることができるのに、心ひかれる。どうして心ひかれるかもわからない ・・・上手いことを云う(上から目線バリバリ傲慢)。雰囲気はそんな感じかな?
哀愁のト短調交響曲始まりました。
第1楽章「Molto Allegro」泣ける冒頭主題から噛み絞めるように滅茶遅いスロウテンポ。例えばチェリビダッケのように微に入り細を穿つような細密仕上げに非ず、ひたすらゆったり、ノンビリと急がず、あまり上手いオーケストラじゃないかも。わざとらしいテンポの揺れとかタメとかそんな表現でもない。停滞感さえ漂わせて激高せず、粛々しっとり進んでいく風情。(8:21)第2楽章「Andante」も緩徐楽章としての対比はあまりなくて、歩みはゆったり静謐に着実であります。これを”歌っている”といった評価は可能かも。(10:17)第3楽章「MenuettoーAllegretto」は切迫感溢れる(従来イメージとは異なる)メヌエット、ここも急がぬけれど、前2楽章がナニなので結果として厳しさ際立ちます。トリオの明るさにほっといたします。(3:01)
第4楽章「Allegro assai」。出足の主題がカッコよく疾走したいところ。しかし、アリゴーニは着実なイン・テンポを崩しません。オーケストラは低音が弱いし、もっとキレのあるリズムが欲しい楽章だけど、淡々と味わいある慎重な歩みのまま音楽は進みます。響きの洗練とかもっと欲しいところだけど、アンサンブルは悪くないでしょう。(5:16)凄みはないけれど、作品の魅力を充分伝えて下さる演奏也。
平明にスケールの大きなハ長調交響曲「ジュピター」でも基本姿勢は変わらない。序奏なく、いきなり力強いハ長調の和音で開始する第1楽章「Allegro vivace」。聴き手の耳も馴染んだのか、テンポの停滞感は消えました(あまり上手いオーケストラとは思えぬけれど)。ゴリゴリとした大きさ、力感はないけれど、それなりスケールは充分。嗚呼、晴れやかでエエ曲やなぁ、そう感じさせて下さる(各パートに色気をあまり感じさせぬ)爽やかな響き。例の如し暗転していくMozartのワザをたっぷり堪能させて下さいます。(9:11)第2楽章「Andante cantabile」も渺々として線は細いけど、しっとりデリケートに歌います。ここは遅いテンポ、ゆったりとした歩みが似合うところでしょう。かなり好きな演奏です。(9:42)
第3楽章「MenuettoーAllegro 」は天女が天上から舞い降りるところ。ここはちょいと弱すぎる慎重な開始、悠々とした 3/4拍子がノンビリ快いもの。なんとなくあっけなく終わりました。(3:04)第4楽章「Molto allegro」は巨大なフーガがクライマックスを作り上げるところ。もちろんアリゴーニは歩みを速めず、ここはちょいとアンサンブルの緊張感、推進力ノリも足りない感じ。「ジュピター音型」によるフーガはいまいち、息切れしたのかな?(7:07)
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●Mozart 初期交響曲集(2002年10月18日)。 (2018年1月20日)
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